見出し画像

すきな歌詞を語る:アメイジンググレイス/sanetii

音楽が結構すきなほうだ。しかし楽器が弾けない。
読書はすきな方だから自ずと音楽を聴く際に歌詞に目がいってしまう。なので歌詞の「ここがいいな」と思うところはいっぱい出てくるのだが、周りの人たちはしっかり音楽がすきな人たちで、歌詞<音状態なのだ。要するに、歌詞について語りたいのに、語れる人も場所もない
そんなこんなで「ただただ圓川が語りたい歌詞について語って、ついでに音楽紹介するけど自由に語ってオチとか特につけないマガジン」を連載したい。見切り発車だが、音楽の趣味が合いそうであればぜひ読んでほしい。
あくまでもぼくの解釈です。解釈不一致だったらすいません・・・こんな聴き方と意見もあるんだなあ、くらいに思ってください。


アメイジンググレイス/sanetii

「アメイジンググレイス」の歌詞はこちら

いつか
1、2の3でライフオーバー
目覚ましも鳴らず タイムオーバー 死亡
宿題とか
仕事しなくても
東京は機能してるし
哀と呪霊でごった返し
全知全能なったように
悟る昼下がり

ギターあるけど 弾いてない 上手くないし
夢だとか 分からない お金ないし
好きも嘘も 嫌いも無い
退屈な日々とランデヴー 
いいよな?

バイバイ いつかこんな地獄に
笑って別れをなんて思う
何回目の希望を抱いては 
あと何回と死ねばいけそう?

まあ 大体みんな最終的に形も残らず 
塵になるようで
想定外のバズだけ待っても バスは来ないし、
カスになりそうだ

Ah~

321で いこうかな?
どうせ そう簡単に出来んから
いいさ今日も おふとんの中で聴け
この等身大のラプソディー

その虚しさは10代の象徴
彷徨い歩く不良な少女
行き場の無い幽霊のマネして
身体が宙を舞って
悲しいはずだった 走馬灯
意外に楽しそうで 感動して
落ちたその瞬間 後悔はしなくていいように 
死のう

君のアメイジングデイズ 
アメイジングデイズ
君の居た その六畳半の部屋

なんも無いし いつもやる事ないから
動画見て 眠る 
日々に
アメイジンググレイス
アメイジンググレイス

君は最低で最良な人
存在意義はそんなにないけど
「どうか忘れないで」
「なんて?」

なんて、嘘だよ
気にしないでよ
構わないでよ
分からないでよ
誰も

Lalalala

ワンツー

「アメイジンググレイス」/sanetii

現役大学生のシンガーソングライターらしい。まじか??すごくね??
圓川は特にこういう邦楽ロックがすきすぎるあまり、最近出会ったsanetiiの曲に夢中だ。一番すきなのは「アメイジンググレイス」だが「フォーエバートゥエンティーンズ」や「宇陀噺」なども最高だから聴いてほしい。ちなみにPVのアニメーションは生活さん作。このPVもまたいい。
毎回似た雰囲気の女の子が描かれているがsanetiiのどこか牧歌的な歌詞とポップ&ロックなメロディにとても合う。
一応先に種明かしをしてしまうと、この歌はおそらく「くそみたいな人生でも終わりは来る、でも本当に跡形もなく忘れられてしまう人生でいいのだろうか、という不安もある」という焦燥を歌っている(と勝手に感じたのだが間違っていたらマジでごめんなさい)。
早速歌詞の話。すきなところをかいつまんで行きます。

「アメイジンググレイス」の歌詞のここがすき

いつか 1、2の3でライフオーバー 目覚ましも鳴らず タイムオーバー 死亡 宿題とか 仕事しなくても 東京は機能してるし 哀と呪霊でごった返し 全知全能なったように 悟る昼下がり

ここを朝の通勤電車(激混み)で聴くとマジで「機能、してるよな・・・ぼくが出社しなくても・・・社会は・・・」となる。毎朝感じる「全てがどうでも良くなる瞬間」に対して肯定が得ている。
ちなみに「哀と呪霊でごった返し 全知全能なったように 悟る昼下がり」はどことなく「sanetii、もしや呪術廻戦すき?」と思ってしまうような文字が並ぶがぼくの勘違いだろうか。勘違いだったら本当に謝りたい。なかったことにしてください。

ギターあるけど 弾いてない 上手くないし 夢だとか 分からない お金ないし 好きも嘘も 嫌いも無い 退屈な日々とランデヴー  いいよな?

この曲の中で一番すきなリリックだ。どこか悲しげで全て諦めているような、若さ特有の苦悩を感じる。今ちょうど、若林正恭著「社会人大学人見知り学部卒業見込」を読んでおり、その著書で自身の20代の頃と芸人として売れ始めたを30代頃を語っている。「面白くないのに笑えない」「(いつも)つまんなそうにしている」「いつか消えてしまう焦りを感じる」と日々思っていることや言われたことを綴っているのだが、状況は違えどsanetiiの歌詞と若林が言っていることの根本はおそらく似てるんじゃないかな?と思っている。「自分に対しての不満」、そして「どこを目指していいかわからない焦り」、「悩むだけで無情に過ぎていく時間」・・・だれしもがかつて悩んでいた全ての感情がここに凝縮されている気がしている。
ちなみに「もうぼくは悩んでないですけど」ヅラでこの文章を書いているえ圓川ですが、全然自分に対して不満で何目指していいかわからないままもう数十年経ってます。なのでずっと悩んでいるぼく対してど真ん中に刺さる歌詞なのだ。

バイバイ いつかこんな地獄に 笑って別れをなんて思う 何回目の希望を抱いては  あと何回と死ねばいけそう?
まあ 大体みんな最終的に形も残らず 
塵になるようで 想定外のバズだけ待っても 
バスは来ないし、 カスになりそうだ

ここも出勤時にずっとニヒルな微笑を携えて聴いてます。いつかこんなくそみたいな人生にさよならしてやる、って思いながら満員電車に揺られてます。
あとくそみてえな仕事終わりにここら辺を聴くとある程度救われるというか、いつかこんな日々にも終わりが来るからだいじょうぶっしょ、となる。圓川の日々の仕事における口癖が「どうにかなるっしょ、いつか終わるし。てかどーせいつかみんな死ぬし」なので共感を感じるのだ。
お分かりだろうか、はじめから最初のサビの終わりまで全部すきな歌詞なのだ
ここからBメロ。

321で いこうかな? どうせ 
そう簡単に出来んから いいさ今日も おふとんの中で聴け
この等身大のラプソディー
その虚しさは10代の象徴 彷徨い歩く不良な少女
行き場の無い幽霊のマネして 身体が宙を舞って 悲しいはずだった 
走馬灯 意外に楽しそうで 感動して 落ちたその瞬間 後悔はしなくていいように  死のう

「この等身大のラプソディー」と「その虚しさは〜」からは急な転調。ここら辺のメロディ、音楽がわからないぼくにもわかるくらいにかっこいい。
ここでちょっと飛び降りを連想させる描写が描かれているが「悲しいはずだった 走馬灯 意外に楽しそうで 感動して 落ちたその瞬間 後悔はしなくていいように 死のう」と、「飛び降りた想像をしたが、意外といい人生ぽいから死ぬまでは後悔せずに生きた方がいいよな」と最初のサビまでに感じていた人生に対するだるさや諦めを払拭するような歌詞になっている。

君のアメイジングデイズ  アメイジングデイズ
君の居た その六畳半の部屋
なんも無いし いつもやる事ないから 動画見て 眠る  日々に

ここの歌詞を「20代入ったばかりの若人、一番言われたくないセリフに入る説」を提唱したい。「君の居た 六畳半のへや なんも無いし」は言ってしまえば「君は空っぽな人間」という否定にも聞こえる。そしてこの歌は一貫して自分自身の日々のやるせなさを題材にした歌であるから、おそらく第三者に対して「君はからっぽな人間」って言っている反面、それが特大ブーメランとして自身に返ってきている気がしている。実にセルフダメージが大きい。圓川は20代前半の時にこのようなセリフを他者に言い放つ暴走機関車だったのだが、「おめえは人のこと言えんのかよ・・・」と今になって思う。そう思えるようになった分大人になったのかなあ。

アメイジンググレイス アメイジンググレイス
君は最低で最良な人 存在意義はそんなにないけど
「どうか忘れないで」 「なんて?」
なんて、嘘だよ
気にしないでよ
構わないでよ
分からないでよ 誰も

先程の「君の居た 六畳半のへや なんも無いし」の後の「君は最低で最良な人 存在意義はそんなにないけど 『どうか忘れないで』『なんて?』」。つまらない、普通な人(最低で最良な人、要はパンピーってことなのかな、という解釈)だけど「いたことは忘れないでね」という気持ちと、その気持ちを「なんて?」って聞き返された後の「気にしないで」という気持ち・・・歌の一環としたテーマである「忘れられてしまう人生でいいんだろうか」というメッセージに対して「やっぱ忘れてクレメンス・・・」という哀愁を残してこの歌は終わる。自分の人生はくだらないかもと思う反面くだらないだけで終わらせたくない━こんな相反する気持ち肯定しながらもぼくらは生きていいんだ、というメッセージ。自分の状況をいま全て肯定できないし、肯定する必要もないけど、そしてもしかしたらずっと悩み続けることになるかもしれないけど、いつかは肯定できる日までは生きようよ、という前向きさを与えてくれる。

全然余談:この曲がすきなら漫画「魔法が使えなくても」をお勧めします

ちなみにちょっと話は逸れるが紀伊カンナという漫画家の「魔法が使えなくても」という作品がある。

この作品もsanetiiの曲同様の「毎日くだらないし何者になれない可能性があるけど、まあ頑張って生きるかぁ」という脱力感とちょっとした希望を感じられる作品だ。正直こういうアンニュイだけど「やれやれ毎日がんばりますか」と思わせてくれる作品が大好きなので、この漫画をすきな人はsanetiiを聴いてほしいし、sanetiiを聴いている人は「魔法が使えなくても」を読んでほしい。両方知らないけどこの類の空気感がすきな人は両方に触れてほしい(押し売りしてないですが、触れてほしいだけです。全然押し売りしてない)。

最後に:君もいっしょにsanetiiの古参になろう!!

長々&細々と書いてしまったがめちゃくちゃいい曲なんです、ぼくのおすすめなんてどうでもいいので聴いてください。めっちゃいい曲です。みんな聴き始めてぼくと一緒にsanetiiの古参ぶりましょう!!


(気まぐれで続編更新します)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?