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【ぐるっとパス2024・2周目5】東京都美術館/大地に耳をすます 気配と手ざわり

隣で絶賛開催中の「デ・キリコ展」を正に横目でみつつ、東京都美術館 ギャラリーA・B・Cで開催されている「大地に耳をすます 気配と手ざわり」(2024年7月20日(土)~10月9日(水))を「ぐるっとパス」を使って鑑賞してきた。

2024年8月13日(火)

榎本裕一
川村喜一
倉科光子
ふるさかはるか
ミロコマチコ
5名の現代作家たちの敏感な感覚をとおして触れる自然と人のあり様


川村喜一

「We were here.」と題される、インスタレーション。

この空間そのものが川村氏の芸術作品、ということ。

インスタレーション:現代美術の手法の一つ。作品を、展示する環境をも取り込んで、その総体を芸術的空間として呈示すること。

アイヌ犬・ウパシとの暮らし

川村氏の作品の中でビックリしたのが、これ。この作品を目にした瞬間、

図録から想像するに、この写真は2021年4月10日 17時58分に撮られたらしい。

宮崎学氏の写真集「死」をありありと思い出した。同じ写真かと思ったくらい。

狩猟免許を取得してしだいに生活者となるなか、実感を伴った生命の循環を発表している。


ふるさかはるか

制作の記録の映像を見たら、素通りした「藍」をもう一度きちんと見たくなった。

藍の葉から抽出した顔料
「<ソマの舟>漆掻き」2022年 木版、藍・土、紙
「<ソマの舟>光の話」2023年 木版 藍・土・漆、紙


ミロコマチコ

「竜のしぶき」2022年
フライヤ―の表紙
「2匹の声」2022年
「光のざわめき」2022年

「光のざわめき」の制作映像が流れていた。ミロコマチコ氏に何かが下りてきてその声に導かれているかのよう。全身を使って描く様は巫女さんのようだった。


榎本裕一

「結氷」シリーズ 2024年

映像「根室 制作のための資料」は、見ているだけで心身とも涼やかになれた。

倉科光子

見ていて泣きそうになったのがこれらの作品。私は福島県いわき市の出身なので、こういった作品にふれると胸が締め付けられるような思いをすることがある。理屈ではない、突き上げられるようにそういった感情に囚われる。

フライヤーで見ているときは分からなった、これらの作品は「浜辺や津波の浸水域に生えた植物」だった。

「37°33'22"N 141°01'31"E」2016-20
津波から5年後 夏
津波は田んぼの土を掘り返した
数十年泥に眠っていたミズアオイのタネは目覚め
稲作で駆除されてきた植物とともに繁茂した
福島県南相馬市 2016年8月20日
「Certain place in Fukushima」2018-20
津波から7年後 初夏
津波は遠くからタネを運んだ
福島県に数十年ぶりに根をはったスナビキソウは
今も命を繋いでいる
福島県 2018年6月3日
「37°32'55"N 141°01'32"E」2019-20
津波から8年後 初夏
海近くの*潟湖せきこでツツイトモはからまりあって
水中を埋めつくした
目をこらすと水面から細い茎を出し
小さなつぼみや花や果実をつけていた
福島県南相馬市 2019年6月26日
*潟湖:湾が砂州さすにより外海から隔てられ湖沼こしょう化した地形
「37°46'20"N 140°59'19"E」2020-24
津波から9年後 秋
防潮堤に根を張り大きく成長したシロヨモギ
根を砂をつかんで引き寄せ砂山に植物がが集まる
植物が集まりだすとまた砂山は大きくなっていった
福島県相馬市 2020年10月20日
「37°47'50"N 140°58'59"E」2021
津波から9年後 秋
芽吹いてから2年かけて生きるハマサジ
潮の満ち引きはそれぞれの場所から植物を集めた
移動できない生き物と定義づけられた植物の小さな旅
福島県相馬市 2020年10月21日
「37°47'29"N 140°58'54"E」2021
津波から10年後 初夏
海水を被った湿地に群生したウミミドリは
震災から年月が過ぎ、背の高いヨシが立ち始めると
姿を消していった
そのタネは土中に眠っている
福島県相馬市 2021年5月25日

ぐるっとパス2024で2周目、行ったよ
1. 泉屋博古館東京 1,000円
2. 熊谷守一美術館 700円
3. 東京都庭園 1,400円
4. 松岡美術館 1,200円
5. 郷さくら美術館 800円
6. 東京都美術館 1,100円

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