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スマホで人の不幸を撮影すること

最近のニュースでは、一般の人の動画投稿で、
火災や事故の映像が流される。
この人たちは、どんな思いで撮影しているのだろうか。
近所で起こっている人の不幸を撮影するのは、
どんな気持ちで撮影しているのだろうか。
心配ではないのか、焦らないのか。
そんな思いでいた。


バリ島に旅行中、自分が被害者となっている時に、
真横で撮影する人間に遭遇した。

ヒンドゥー教の寺院に連れて行ってもらった。
野生の猿が多くいて、メガネ、スマホを取ることがあると
タクシーの運転手から注意されたが、
入り口にも注意書きがあった。
入場すると確かに猿がたくさんいる。

かみさんは、首から吊るすタイプのストラップでiPhoneを持っていたが、
一瞬の間に猿がiPhoneをもぎ取って行ってしまった。
指でいじってケースからiPhoneを起用に出して触りまくっている。

現地の方と思われる男性が近づき、
食べ物を差し出して取り返そうと試みてくれたが、
猿は牙を剥き出し、手も足も出ず見守るばかり。
かみさんは、“Help me!”、と叫んでいる。
立ち止まる人々が増えていく。

するとカップルでいた男性が近づき、スマホで録画を始めた。
被害を被って困って焦っている我々の真横で。
彼は撮影が終わったのか、一旦引き下がったが、
また出てきてニヤニヤしながら彼女に何か言いながら撮影を始めた。


被害の当事者が、被害の映像をニュースで見たらどんなに辛いことか、
撮影者、メディアはどんな思いなのだろうか。

パソコンに匹敵する機能を備えたスマートフォン。
人の不幸を追いかける必要などない。
そんなために開発されているのではない。

以前から撮影する人の心情を不思議に思っていたが、
今回は自身が被害者となり、
隣でニヤニヤしながら撮影する人間を見て、
この上ない不愉快さと怒りを感じた。
撮影者、メディアは、被害当事者の気持ちを考えるべき。


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