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覚醒レベルの最適化

みなさん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。また今回も現場ベースの話の2回目としてお話できればと思っております。

早速ですが皆さんは、スポーツで大事な試合前や試合中の重要な場面でどういった心理的状態、もしくは身体的状態でしょうか。もしくは、そういったことを自己分析したことはあるでしょうか。ある選手はより緊張していた方がベストパフォーマンスが出せるかもしれませんし、ある選手はリラックスるしていた方がベストパフォーマンスが出せるかもしれません。そう言った意味で、自分がどういった状態でベストパフォーマンスが出せるのかを分析することは、コンスタントにベストパフォーマンスを出すための最初の一歩と言えるかもしれません。今回はそのようなことについてお話したいと思います。

覚醒レベル

ここでまず紹介したいコンセプトは”覚醒レベル”です。ここでは覚醒レベルを身体的な興奮状態と定義しましょう。例えば、アロマをたいて、リラックスしている状態を覚醒レベルが低い状態、好きな人に告白する時にどきどきしているような状況を覚醒レベルが高い状態としましょう。

逆U字曲線

この覚醒レベルとパフォーマンスの関係について、よく使われるのが逆U字曲線なんて呼ばれるものではないでしょうか。

みなさんがよく目にするであろうこの図はYerkesさんとDodsonさんが20世紀初頭に作ったモデルです。

このモデルによると、横軸に覚醒レベル、縦軸にパフォーマンスレベルを取った時に、覚醒レベルというのは、低すぎてもダメ、高すぎてもだめで、中程度の覚醒レベルの時に、パフォーマンスは最大化するといったものです。覚醒レベルが低すぎると、退屈な状態や、リラックスしすぎな状態になりますし、覚醒レベルが高すぎると、過度に緊張したり、過度に不安を感じるといった状態になってしまうということですね。

逆 U字曲線

少し、このモデルを別の見方をしてみましょう。

暗にこのモデルが前提としていることは、ベストパフォーマンスは常に中程度の覚醒状態が必要とされているという点です。逆に言えば、全ての人間は中程度の覚醒状態でベストパフォーマンスが発揮されるということです。
この前提は正しいでしょうか。例えば、あくまでメディア情報からですが、リラックスして試合に入る遠藤保仁選手と、自分を追い込んで試合に臨む本田圭佑選手。この二人の選手は、常に彼らのベストパフォーマンスを発揮する機会を逃しているのでしょうか。肌感覚、どうやらそうとは考えづらいですよね。

もう少し深ぼると、このモデル、おそらく生物が生存していく上では当てはまると思います。つまり、生物が生存していう上で、常に自分のことを守る必要がある訳です。そうなると、常にリラックスしている訳にもいかず、常に過緊張している訳にもいきません。なぜなら常にリラックスしていると、捕食者から食べられてしまいますし、緊張しすぎても長くは続かず、疲れてしまうからです。そう言った意味で、自分の身を守るためには常に適切なアラートな状態を保つ必要がある訳です。

ただ、生物的モデルを人間の心理に当てはまるのはやや大雑把な気がします。人間は生物と違い、かなり高度な社会の中で生きています。例えば、人間以外の生物は学校に通うこともなければ、資本主義の中でお金のやり取りをする訳でもありません。彼らは、生死を常に気にしながら、種の保存を目的に生きているといえるのではないでしょうか。一方で、人間はある程度、特段死ぬことの危険は生物よりは低いと考えることができると思います。
事実、人間は、死ぬか生きるか、よりも、どう生きるか、という生きる質に注目して生きているといえるかも知れません。そう考えると、どうやらもう少し高度なモデルが必要なのではないか、ということが言えそうです。

少しうがった見方をしましたが、もちろん、このモデルにパフォーマンスがあてはまる場合もあるでしょう。ただ、今回に関しては、こういったことを考えてみて、違うモデル紹介することにしたいと思います。

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