1+1=2 が分からなかった私

今は数学が好きな私ですが
実は小学1年生の初歩の初歩、1+1=2でつまずきました。

と言っても、あまり覚えておらず
母から聞いた話なのですが、
こんな初っ端からつまずいた子でも
数学は好きになれるんだという事を
知って欲しくて書いてみようと思います。


ある日、わざわざ1年の担任の先生が家庭訪問されて
私の母に言われたそうです。
「お宅のお子さんに何度 1+1=2 を教えても分かってもらえないんです。ご家庭で何とかしてください。」
と。
母からのまた聞きなので、ニュアンスは変わってると思いますが、大筋としてはこんな感じのようです。

今の私から見ると良い疑問(モヤモヤ)だなと思うのですが、
当時の先生と母にとっては、衝撃のバカでびっくりしたでしょうね。
「こんな子は初めてです!」とも言われたようですし(笑)

当時の私は母に言っていたそうです。
「1個と1個を足したら2個になるのは分かった。でも 1+1=2 になるのが分からん。」
小1の私はモヤモヤの理由も説明できずにこんな事を言っていたそうです。
そりゃ確かに先生も母も妙な謎かけされた気分で
意味不明ですよね。

当時の私が言いたかったのは、きっとこうだと思います。
「1個と1個を足すと2個になるからと言って、いきなり何か記号を使って 1+1=2 になるのが当然というのは論理が飛躍している、当たり前のように言わないで。そもそも 1 とか 2 とかって記号も何なのよ?」

もちろん小1にこんな事言える語彙もなければ、頭の中も全く整理されてもいなかったでしょうね。
ただ漠然とモヤモヤしていて、説明なんてできなかったのです。
母は根気強く説明してくれたにも関わらず、
私はとりあえず1と1を足して2になる事を
「1+1=2」と書けばいいやと諦めたのだと思います。

恐らく皆さんお気付きかと思いますが
ただ単に私が先生の、たし算はこういう風に式を書きましょう、という最初の説明を聞いてなかったのでしょう。
だから、「なんだこの記号?いきなり何で当たり前のように進んでいるの?」という
自業自得の状況にも関わらず、頑固に分からない事を主張するという面倒な子でした(笑)

これが解決したのは10年以上も経った、こんな事があった事も忘れてしまっていた大学3回生の授業でした。

自然数の定義について知ったのです。
(ここでは省略しますが、気になる方用に後述しますね)
簡単に言うと、基本となるものを 1 と書く、その 1 に自身 1 を加えたものを 2 と書くとする。この2に1を加えたものを 3 とする。同じように繰り返してできたものな自然数なのです。

そう、実は 1+1=2 は定義だったのです。
本当は ”1+1 2” ではなく、”1+1 2” だったのです。

これにとても感動して家で話した所、母から ”1+1 =2 が分からなかった私” の話を聞いたのです。
のんきにも当時の先生や母の心配をよそに、小学生の私やるやん、と調子に乗りましたね(笑)

なので、1+1=2 が分からなくても、数学好きにはなれます。
きっと大人では想像もできない純粋な質問が隠れていると思います。
子どもの純粋さから実は本質をついている事もあります。
そして実は大人でさえ分かっていない事だってあるのです。
分からない事が分からないのは、理解する1歩手前です。
子どもなりに理解できる手助けをぜひしてあげてください。
子どもは柔軟なので、いくつか例を挙げるだけでも自分の中で消化できることもあります。
上の話では、もしかしたら 1 + 1 = 2 と書くように決めたんだよ、と言ってもらえれば納得できたのかもしれません。
当たればラッキーぐらいの気持ちで数打ってみてください。
もしかしたら頑張って手を尽くしても解決してあげられないかもしれません。
でもその経験から、きっと本人はその疑問を忘れずにいるのではないでしょうか。
そして何かのきっかけで理解できる日が来ると思います。
きっとその時の感動は数学好きへの一歩になるはずです。

(補足)自然数の定義に興味ある方へ
自然数の定義(wikipediaより抜粋)
ペアノの公理

  • 自然数 1 が存在する。

  • 任意の自然数 a にはその後者 (successor) の自然数 suc(a) が存在する(suc(a) は a + 1 の "意味")。

  • 異なる自然数は異なる後者を持つ。つまり a ≠ b のとき suc(a) ≠ suc(b) となる。(ある種の単射性)

  • 1 はいかなる自然数の後者でもない(1 より前の自然数は存在しない)。

  • 1 がある性質を満たし、a がある性質を満たせばその後者 suc(a) もその性質を満たすとき、すべての自然数はその性質を満たす。

注釈)実は本来は違った形で書かれており、自然数の定義を意識して作られたものではないようです。また厳密にいうと、”+” の定義もされていないのですが、ペアノの公理から 1 に 1 を加えたものを 2 と書くという事が読み取れます。

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