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【エッセイ】食べるのが遅いことを悩んでいる子供たちへ〜教室の掃除が始まるまで給食を食べていたわたしが伝えたいこと〜

食いしん坊で食べることが好きなわたし。

給食もおいしくて好きだったのですが…
実はずっとある悩みを抱えていました。

それは…

「食べるのが遅いこと」です。



保育園が一緒だった友人とは
小学校が別々で、中学校で久しぶりの再会をしました。
そこでわたしは彼女からの一言に衝撃を受けることになります。

「おさとちゃんって
給食 食べるの遅かったよね!

保育園時代を一緒に過ごした彼女の
わたしへの"1番のイメージ"がこれだったと言うではありませんか!
ショックでした。

でも思い返してみると、確かにその通りなんです。
当時、園児だったわたしも、それなりに気にしていたのでしょう。
早く食べ終えて、みんなとたくさん遊びたかったのかな。
(早く食べなくては!)と思って、お友達のマネをして一生懸命食べたことを今でも覚えているんです。

ある日、向かい合わせで給食を食べ始める幼なじみに対して
「今日、マネして食べるから、よろしくね!」
と彼女にしてみれば、謎の宣言をしてから
〜◯◯ちゃんがご飯を一口食べたから自分も一口食べる。→◯◯ちゃんがおかずを一口食べたから自分も一口食べる。〜…という風に。
それなのになぜか自分だけ食べ終わるのがやっぱり遅くて、不思議でなりませんでした。

小学校にあがってもやはり食べるのが遅く
なんと、家庭訪問でも先生から母にその話が出るほど。
でも母から早く食べるよう言われたことは一度もありませんでした。

小学校でのわたしの様子はこうです。
当時も特に好き嫌いはなかったので、食べられない物はありません。
食事中、お友達に話しかけたりしません。すごくすごく内気で大人しい子供でしたから。
よそ見もしません。学校では給食の時間、校内放送はありましたが、テレビを見たりしませんでしたので。
(夫の通った学校では給食の時間、教室のテレビで毎日ジブリのビデオが流されていたそうです!)

そう。だから、ひとりでただ黙々と食べるだけ!

なのに、なぜでしょう?
お友達は続々と食べ終わり
みんな校庭に遊びに行っているのです。

そんな様子を横目で見ながら、黙々と食べ続けているうち、あっという間に昼休みが終わり
お掃除の時間がやってきてしまいました。
みんなが帰ってきて、机と椅子を教室の後ろに下げ始める頃、わたしはやっと食べ終わった給食の片付けをするのです。

わたしの通った小学校では、"給食当番"の生徒たちが給食を給食室から運んできて、教室で配膳していました。
配膳、食事と昼休みは全部合わせて30分くらいだったのではないかと思います。

わたしは(わたしには少し多いけど、食べられない量じゃないし、おいしいから、残したくない!)そんな思いで給食をいつもマイペースで食べていたと記憶しています。

でも
今まで誰にも急かされなかったし
怒られもしませんでした。

先生にも、親にも、友人にもです。

よく噛んで味わってみんなで楽しく食べることを、特に教えるでもなく、子供の頃からのわたしの習慣にしてくれたのは、たぶん家族でしょう。
実家ではテレビを見たり、話をしたりしながらゆっくり食事をしていました。

学校給食での出来事を交えて
自分は子供の頃から食べるのが遅いんだ
いつも待たせてごめんねと
もはや自虐ネタのように話した時、夫は
「それは悪いことじゃないよ。」
とハッキリ言ってくれました。

「だって、ゆっくり味わって食べることができるんだから。」

と。
子供時代から今までのモヤモヤが全部晴れて
救われたと思った瞬間でした。
嬉しくて涙が出ました。



もし今、自分はみんなに比べて食べるペースが遅いと悩んでいる子がいたら、それは直さなくていいんだよと伝えたい。
わたしのように小学校、中学校と大きくなるにつれ、勉強・運動をたっぷりして、お腹がよく空くようになって、小さい時より少しだけ早く食べられるようになるかもしれない。
もし、そうならなかったとしても大丈夫。

話すことや歩くことがゆっくりの人がいるように、食べることがゆっくりな人もいるんだよ。
みんなひとりひとり自分のペースがある。

それにね
あなたのために時間をかけ
あなたを想って作ったご飯を

味わってゆっくり食べてくれるなんて
こんなに嬉しいことはないよ!!!

給食のおばさんはそう思っています。

ちなみに子供の頃程ではないですが
人と比べると、食べるのは今でも遅いです。
でも、よほど時間に追われている場面でない限り
マイペースを貫いています。
一緒に食べる人を大抵、待たせてしまうけれど
わたしにとって「食べる」ことは何よりの喜びで大切な時間だからです。

子供の頃、お友達と昼休みに遊ぶ時間は削られたかもしれないけど
急かさず、怒らず、見守ってくれた、みなさんのおかげで
"給食のおばさん"が毎日作ってくれる、おいしい給食を、わたしはゆっくりと味わって食べられるという能力を自然と身につけることができました。

「わたしの学校の給食はおいしかった!」


大人になった今でもそれをしっかり覚えていて
自信を持って言えることが
何よりの証拠だと思うのです。


盛り付け方で食べ方が変わるかも…?!




保育園で突然わたしに謎の宣言をされ
給食をマネして食べさせてくれた幼なじみが 
それから30年後、一通のLINEで
わたしの心を救ってくれた話はこちらです!🧑‍🍳


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