悪い癖は、ちょっとしたきっかけで治る

人は反省しても、同じ過ちを何度も繰り返します。その度に後悔してもすぐに忘れてしまうのが人間の性(さが)というものです。

それでもちょっとしたきっかけがあれば悪い癖も治ってしまうこともあります。今回はそんなストーリーを紹介します。

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昔、福井県の味真野というところに、太郎という男の子がいました。太郎の本当の母親は小さいころに死んでしまい、新しい母親に育てられました。

新しい母親は、太郎を自分の子どもとおなじように接しました。ただ、この母親にはすぐに怒る悪い癖がありました。今日も思わずカッとした母親は、太郎を怒鳴って、家から追い出してしまいまいました。

太郎を追い出した後、母親は自分の言動に後悔し、「もう二度と怒らない」と仏様に誓って、太郎の帰りを待ちました。しかし、太郎は何日も帰って来ませんでした。母親はとても心配して、太郎を探し始めました。そんな時、太郎がやっと家に帰ってきました。何日も何も食べていないのに、太郎は丸々と肥えて元気な姿でした。

太郎が帰ってきて安堵した母親は、「これまでどこにいたの」と問いかけたが、太郎は沈黙するだけでした。何も言わない太郎に、母親は段々苛々してきました。「この親不孝者。母さんがどれだけ心配したか」と、母親はまた悪い癖がでてしまい、太郎を再び家から追い出してしまいました。母親は仏様に誓ったことを思い出して、急いで太郎を追いかけました。

母親は太郎を追いかけてくると、お寺に辿り着きました。寺の裏庭には甘い水が湧きだす泉がありました。母親はこの水を一口飲んでみると不思議に元気が湧いてきました。太郎もこの水のおかげで、元気だったことをはじめて知りました。

後にこの不思議な泉は「子育ての泉」とよばれるようになりました。そこの寺の住職は、太郎を引き取って寺で育てることにした。やがて、太郎はお寺の住職になって親のない子どもや恵まれない子供を寺に引き取って育てるようになりました。

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ちょっとしたきっかけもご縁。
いいご縁を引き寄せるかどうかは、あなたの心次第です!


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