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福を運んでくれる鬼もいる!

夢って不思議です。普段は忙しくて忘れている大切なことを教えてくれます。今日は、そんなストーリーを紹介します。

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ある山里に、妻も子どもにも先立たれた一人暮らしの貧乏な爺さんがいました。爺さんは毎日二人のお墓にお参りすることを欠かしませんでした。やがて大雪の季節となり、墓参りもなかなかできなくなりました。

今日は節分の日。村のどの家からも「鬼は外、福は内」と楽しそうな家族団らんの声が聞こえてきます。爺さんは、息子が昔に作ってくれた鬼のお面を取り出し、妻と子どもと過ごした家族団らんの時間を思い出しました。爺さんは悲しくて、涙止まらなくなり、お酒をがぶがぶと飲みはじめました。

「妻も子どもも死んでしまい、福なんてものはなにもない」
爺さんは鬼の面をかぶって泣きながら「鬼は内、福は外」と豆を家じゅうに投げつけました。

その時、家に誰かが訪ねてきた。戸を開けると、節分の豆を投げられ、どの家からも追われた鬼たちがいました。たとえ鬼でも久しぶりの客人に爺さんは嬉しくなりました。

爺さんは鬼たちを家に入れました。鬼たちは持ってきた甘酒やらご馳走で大宴会を始めました。やがて朝になると、鬼たちは「来年も来るから、爺さんもしっかりとな」と言って、上機嫌で帰って行きました。

気が付くと朝になっていました。
「夢か…」

爺さんは、深酒をしていつの間にか寝入ってしまっていました。翌日、爺さんは雪をかき分けて、久しぶりに墓参りに行きました。爺さんは雪に埋もれた墓をきれいにして、手を合わせました。
「さみしいけど、もう少し頑張って長生きしてみるよ。来年も鬼たちが来るからな」と優しい顔でお墓に話しかけました。

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夢で救われることもあるのですね。今日はどんな夢を見るか、楽しみしながら寝たいと思います。



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