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半世紀前(1973 年)作曲の「天国の門」の動画化。(AI 動画)

1973 年、当時中学2 年生だった私は、夏休み前に「自由課題に何を提出
する予定か」をあらかじめ宣言させられる機会があり、何の勝算もなく
(調子乗りだったのでしょう)「…..作曲!(どやっ)」みたいな発言を
したのでした。

漠然とした何かを自身の中に感じていたのでしょうか。
しかし夏休み中に音楽教師が登校している日に、私も中学に出向いて
楽譜の記法を教わりつつ、16 小節程度にこじんまりと纏めたものを
教師に見せながら、教師からは「うまく書けてるやんか」と言われ
ながらも、自身の中では「違う。こんなものをやりたいと思ったの
ではない。こんな小学唱歌みたいなものは誰でも書ける。」としか
思えず、宣言を大いに後悔したものでした。

そうしてその8 月末日。
学習机周辺以外は照明を落としていた空調もない長屋の自室で、
川を流れる水の映像とともに木管楽器系の単音の旋律と漠然と
した和音の動きが、ほぼ完成した形で一気に頭に流れて来ました。
下の階のテレビの音か、と一瞬は思いましたが、そうではなく
耳のそばか頭の中でその音響はありました。

「これは他の誰も書けない音楽だ。自身が他人に聞かせる努力を
する価値のある音楽だ。」と不慣れな楽譜記法は変わらないものの、
頭にある主旋律とおおよそのカウンターメロディにあたるパートを
左手のパートにしてピアノ譜を書き、最初の音楽の時間に即興で
音楽教師がそれを弾いてくれたものの、単音が2 パート鳴るだけ
での不完全な譜面にはピアノの音響が単純過ぎて意図と全く
異なる結果となってしまい、大恥をかきました。

教師からは「なぜ前の楽譜を持って来なかった。悪くなかったのに。」
と言われたものの、それでは納得がいかなかったのでした。
見栄をはった自業自得と思うしかありませんでしたし、そのような
自身の性格を呪いました。

しかしこの時以来、時々今まで聞いたことのない楽曲が頭に流れる
ようになり、五線譜を書くのはもどかしいので我流にカナで音程を、
音長を拍数で記録するメモを残していきました。

当時はまだテープレコーダーの普及もまだまだの時代でした。
やがて「カセットLL 」という規格の録音したトラックの半分だけを
消去して上から別のパートを重ねられる英会話練習用カセット機を
入手することが出来、リコーダーや技術家庭科で教材として組上げた
単音の電気発信器(組み立てラジオ教材に付属したものでむき出し
の電極が音階になっているのを電極棒で触れて発音する)などを
使って2 声での作曲記録をするものの、音響が奇妙過ぎて意図を
伝えるものにはなりませんでした。

大学時代になって、RoLand SH-1 という単音シンセと2 台のカセット
デッキのピンポン録音を重ねる(ミキサーもなく自作の3 股ケーブルで
新たな音を追加する)作業になりましたが、それでも事情はさほど
変わりませんでした。

社会人になり、YAMAHA DX7 で意図した音響を和音で扱える環境と
なってFM 音源の習熟を極めた後、筐体の中で多重のパートを記録・
再生出来る(クラシック演奏のようにテンポにタメなども制御可)
同社のSY77 (FM / PCM 音源)を入手するに至り、今でも何の楽器か
定かでない乾いた木管楽器の主旋律から効果音まで1973 年夏に頭で
鳴った音響を完全に再現するに至りました。

その楽曲にAI 動画をつけました。1973年作曲の「天国の門」です。
インスト曲なので、冒頭に言葉でイメージを示しました。
(毎度ながら再生画質設定は1080p でお願いします。)

厳密にはクライマックスからエンディングは1973 年の時点でしっかり
決まっていて、曲頭からの展開はクライマックスに至る直前で切れた
ままになっていましたので、1993 年の制作の時点で補作が必要となり
ふとした一瞬にその欠けた4 小節がぴったり収まりました。
クライマックスの直前にコーラスとともに曲調が変わる4 小節です。
またクライマックス直後に3 連符基調だった伴奏が一転八分音符刻み
になる2 小節を含めて1973 年の時点で既に授かっていたものです。
(自身の編曲能力で作ったフックではなく、全て当時の「お告げ」で
決まっていたもの。)


冒頭に添えたイメージ:

 「天国の門」

  誰も知らぬ人里離れた山奥で
  春の息吹きと共に咲いた 名もない花一輪が
  その淡い色の花びらを 川のせせらぎと鳥のさえずりの中に
  見事に散らせる様があなたにも見えますか

  眼下に広がる大地
  夕日に照らされた黄金の実りはまだここにはなく
  あるのはただ青くなり始めた草木だけ
  でも疑うことなくここが あなたと私の天国の門
  この幸せが永遠に続きますことを


この「天国の門」という題名と冒頭のストーリーは1993 年制作時点
で、後付けで補作というか半ばでっち挙げ創作したものではあるの
でしたが、この動画のイメージは1973 年の作曲時点で既にあり、
今回それを Stable Diffusion Web UI Forgeによる AI 静止画生成と、
それを Leonardo.Ai での静止画から4 秒動画生成、フォトレガシによる
スローモーション生成で7 秒強動画、16 秒弱動画を生成する一方、
PixaBay からのフリー動画を組み合わせて極力再現することに
こだわりました。

SY77 には特有の音程を伴った背景ノイズがあり、2020 年の
デジタルリマスタリング時には、それが改善された中古のSY99
(一万円台で入手したジャンク品を自力修繕)も保有しましたが、
この楽曲については楽音再現までは至ったものの、
SY99 になって実装された2 系列の内蔵エフェクト(SY77 は
1 系統)の調整がうまく行かず過剰な鳴りになったため、
音程ノイズをKORG D16 の内蔵イコライザで極力低減させつつ
のSY77 でのリマスタ化に留めました。
なので、演奏される音響は1993 年に制作した時点のものです。
(当時のカセットマスタリング版は住宅事情もあってDolby-B
ノイズリダクションもないWカセットコンポステレオでの
ベスト音質から遠いものでした。)

作曲から50 年以上、ようやくあの当時の大恥の無念を払拭する
に至り、当時授かった楽想への肩の重荷から解放されました。
現生で思い残すことがまた一つ減りました。


ご覧いただきありがとうございます。




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