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【エッセイ】 新型コロナへの対応と2020年東京オリンピック開催判断に見る、日本の迷走


二兎を追うものは 一兎をも得ず。


新型コロナウイルスの発生により

日本がいま究極の判断を迫られている。


国民の経済をとるか 国民の健康をとるか である。


経済活動の多くは人間の活動であり

多くの人が動き お互いに場を共有し

直接的であれ間接的であれ

接触を持つことで成り立っている。


一方で今回大きな問題となっているコロナウイルスは

伝染病であり直接的であれ間接的であれ

人と人が接触することで感染が拡がっていく。


人が動けば動き回るほど

より多くの人に感染していくのだ。


そしてこの新型コロナウイルスが恐ろしいのは

これに対処するための治療薬やワクチンを

人類がまだ手に入れていないことである


高齢者や重い持病を持つ人々は

風邪やインフルエンザよりも高い命の危険にさらされるのだ。


世界の疫病専門家らの一説では

人類の70%がこの新型コロナにいずれ感染する可能性があるという。


死亡率は今のところ国によって違うが

ざっとならして3.5%としてみよう。


2019年の世界人口は77億。

その70%は54億人だ。

この54億人の3.5%が死亡する可能性があるのだ。


その数なんと1億8,900万人!


日本の人口よりも多い数の人々が死亡する可能性があるのだ。


もちろんこれは仮説の一説に基づく概算であり

現実がそうならないことを切に願うことは言うまでもない。


しかしこの疫病は

こうした100年に一度あるかないかの大災難になる可能性があることを

頭の片隅に置いておいた方が良いのだ。


そしてこうした疫病は世界を広くして見れば

一気に事態が進むわけではないことに注意すべきだ。


世界各国でじわりじわりと悪化し

ようやくそれらが落ち着いてきたかと思えば

また人々の動きの戻りとともに再発を繰り返したりしながら

状況をさらに悪化させていくのだ。


だからこそどのような選択を取るべきか

非常に判断が難しく

状況の悪化を小出しの対応策が後追いすることになりやすい。


その感染の規模が今までになく大きくなり

かつその状況がこれまでに経験したこともなく長く続くからだ。


中国の例を見て欲しい。

下記の動画は当YouTubeサイトで

2019年11月14日にアップしたものだ。


この時はまだメディアは肺ペストと呼んでいた。

二人の中国人が肺ペストにかかり

中国の保健当局は平静を促す と言ったものだ。


そしてこの当局の促しとともに

このニュースはその後きれいに消えた。


ところがこのニュースは今年の1月後半に入って突如として復活する。

下記は今年の1月20にアップした動画だ。


この時には肺ペストではなく新型肺炎と呼ばれ

それにより中国で3人目の死者が出て

中国社会やメディアで騒がれ始めたのだ。


あとはあれよあれよといった展開で

武漢で感染と死者は拡大し

武漢は全面封鎖となる。


それでも世界への拡大は防ぐことができず

世界で100以上の国や地域に拡がり

今となっている。


この3月の中頃になって

ようやく中国はピークを越え

新たな感染が大きく減少してきたとの報道が出てきた。


そして彼らが今新たなに課題にしているのは

人々が労働に戻った時のウイルスのぶり返しと

外国からの渡航者により再度持ち込まれたウイルスによるぶり返しを

いかに防ぐかということだ。


もう一度ここでこれまでの時間軸を振り返って欲しい。

この問題が中国で出てきたのは去年の11月半ばだ。

そして今現在が年をまたいだ新年3月の半ばだ。


中国での発生からほぼ4ヶ月が過ぎたわけだが

その中国ですら完全に平常を取り戻したとは言えない状況なのだ。


他国よりもドラスティックな手法を用いてこの期間とこの状況である。


日本でこのウイルスの感染が問題になり出したのは今年の2月からだ。


4ヶ月後は6月だ。


そしてその7月からオリンピックの開催が予定されている。


現実的に考えて開催は可能なのだろうか?


仮に日本が国内においてこのウイルスを4ヶ月で抑え込んだとしよう。


その他の国々はどうなっているだろうか?


おそらく全ての国々で終息したとはならないだろう。


オリンピックは選手を含めて世界各国から様々な人が日本に来るのだ。


そのような状況で日本国内での再発や新たな感染を防ぐことはできるのだろうか?


普通に考えれば不可能だろう。


そうでありながら

今現在 日本のオリンピック関係者の指導者層は

口をそろえて開催中止はあり得ない選択だと言っている。


この雰囲気はかつての日本のどこかであったような気がする。


おそらく第2次世界大戦に突入する当時が

こうした雰囲気だったのではなかろうか。


今の指導者層も当時の指導者層も

"予定通りに前に進むという判断"以外に選択肢がないのだ。


そこでは "押してダメなら引いてみな" という発想が許されない。


そういう雰囲気ではないのだ。


もう一度最初に触れたこの新型コロナの問題の大きさに戻って

考えてみよう。


一方で人々の健康と命が 他方で人々の経済がトレードオフになっている。


オリンピックの予定通りの開催は

人々の健康と命をリスクにさらしながら

経済を取るという考えだ。


失うものよりも大きな利益が必ず得られると言えるのだろうか?


選手も運営者も日本国民も海外から来た関係者も応援客も

誰ひとりとして新型コロナによって死にたくはないはずだ。


運営者は予定通りにオリンピックを開催して

健康と命のリスクをなくすことはできるのだろうか?


そしてそのような状況で

投資した資金を最大限に回収することができるのだろうか?


今のスケジュールで開催することがベストであると言うならば

その理由を並べて見せてほしい。


それによって誰のためのオリンピックなのかがはっきりするからだ。


オリンピックは誰のためのもの?

"選手ファースト" だとか  "おもてなし" だとか

そうした言葉は  これまで日本でよく聞かれた言葉だ。


この状況において

運営者である日本人は

何を最も大切にし

どのような判断をすべきなのか?


世界は見ている。


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新型コロナと東京オリンピックの開催判断について
今日はそんなことをまとめてみました。

最後までお読みいただき ありがとうございました。

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