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【エッセイ】 世界から情報を取り, 己の身を守れ!ー プロパガンダの見極め方

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。

先月まで他人事のように振る舞っていた欧米各国も、非常事態宣言や国家封鎖など、緊急対応に追われています。

今を生きる私たちのほとんどが経験のしたことのない領域に、各国が足を踏み込んでいるようです。

3月も終わりに近づく中、それらの国々に比べ、日本は幸か不幸か、新型コロナウイルスへの対応がより緩やかです。

どうしてでしょうか?

各国のメディアは、日本における新型コロナウイルスの症例数の少なさを、いぶかしがっています。

それを見て、日本の症例数の少なさに、前向きな理由を見出そうとする動きも見られます。

日本は欧米と異なり、ハグなどの接触が少ない、街が衛生的である、などなど。

一方で、少なからずの人が、知っています。日本では、新型コロナウイルスの検査数が抑えられていることを。

”検査数を増やせば医療崩壊が起こる!”との一大キャンペーンが展開されていたことを。

"Newsから学ぶ英語"は英語を通し、世界の様々なメディアの情報に触れるようにしていますが、"検査数を増やせば、医療崩壊が起きる!”といった論調を、海外の記事に見ることは、ほぼないです。

逆に、"検査を増やせ!”といった論調をしばしば目にします。


どちらの言っていることが正しいのでしょうか?

少し思考訓練として、考えてみたいと思います。


”医療崩壊が起こるから、検査を増やすな!”

このロジックはどうでしょうか?


このロジックの目的は、”医療崩壊を起こさない”ことです。

そして、その手段が "検査を増やさない"ことです。


"目的"とそれを達成する"手段"は、適切にマッチしているでしょうか?


考えみてください。医療崩壊が起こるということが、どんなことかを?


"医療崩壊が起こる" というのは、"患者数が増え、病院や医療従事者や医療器具などが足りなくなること" です。

新型コロナウイルスの患者が爆発的に増えれば、容易に医療崩壊が起きることは、各国の例を見れば、よく分かることです。

つまり、医療崩壊を起こさないために必要なことは、爆発的な増加を防ぐ施策になるわけですが、その施策を打つべきか否かの判断をどのようにして行うのかが、次に当然問われるべき問題になります。

検査を必要最小限の患者にしか行わない国は、爆発的な増加が起こる前に、医療崩壊を防ぐための施策の必要性の判断を、何を手掛かりに行うのでしょうか?

先ほどもお伝えしたように、現在の日本は、他国と比べ、非常事態宣言や封鎖といった新型コロナを防ぐための厳しい施策が取られていません。

病院に重症患者があふれ出してから、そうした施策を取るのでは遅く、医療崩壊につながると思われますが、その前に必要な施策を、何を基準にして、どう判断するのでしょうか?


新型コロナは、症状が出ない人々も多く、それらの人の動きによって感染が拡がるとともに、症状が出る人も、その症状が出る前に、ウイルスの感染を拡げていることが知られています。

これらの人々へ行動の制限が掛からなければ、自ずと感染数は増えていくはずですが、こうした人々をどう捕捉するのでしょうか?

検査をしないことによって、逆に医療崩壊につながる可能性があると言えるのではないでしょうか?

現在、日本の政府および厚労省の方針は、感染した人を中心にクラスター(集団)として捉え、その感染した人と接触のあった集団を検査し、必要な隔離をすることで、感染の拡大を抑えることにあります。

しかし、この手段は、社会全体の感染状況を捉える上では、いかにもタコ壷的な対応であり、必要な施策を先に打つためのデータや判断基準を、ここから得ることは難しいと思われます。

"測定されないものは、存在しない"という割り切りを、今の日本は、自らの身をもって実践している可能性もあります。

その結果として犠牲になるのは、一人ひとりの国民です。


それでは逆に、なぜ欧米のメディアの多くは、"検査を増やせ!"と主張するのでしょうか?

それは、状況がわからなければ、個人に対しても、社会に対しても、対応のしようがないからです。

では、どのようにして検査を増やすのでしょうか?

まず一つは、企業による検査キットの増産です。これを政府が各企業にお願いをします。

そしてもう一つは、検査方法の多様化です。従来通りに病院内だけで検査を行うのではなく、韓国の例のように、車のドライブスルーを活用したり、事前の判断を高めるための診断アプリを開発したりするなど、様々な方法が実際に考えられています。

日本が、検査の増加は医療崩壊につながる!とキャンペーンを張っている間に、世界の国々は日々より現実的な対応を生み出しているのです。

そして、これらの検査方法は、医療崩壊を防ぐための手段にもなっています。

つまり、先の日本でキャンペーンが張られていた、"検査を増やせば医療崩壊が起こる"との主張が、いかに雑な主張であるかを示しているとも言えます。

今一度ここで確認しておきたいのは、"検査を増やせ!"と主張することの目的です。

それは、"新型コロナ感染の実際の状況を、個人および社会全体として捉えること"にあります。そして、それが必要な施策を、必要な時に打つための前提となるからです。

では、検査を増やしたことにより、患者が増えた場合はどうするのか?そう考える人もいるかもしれません。

しかし、よく考えれば分かりますが、検査数と患者数を分けて考える必要があります。

つまり、検査を増やしたことが、患者数増加の直接的な理由だとはなりません。検査は、感染した人が増えたことを示しているだけであり、検査を行ったこと以外の理由により、感染が増えていることが当然考えられるからです。

現状、検査を必要最小限に抑えている日本としては、可能な限り感染を拡大させない方法で、検査を行えば良いのです。現時点において日本よりも多くの検査を行っている各国においても、その注意を持って検査を行っていることは、先に挙げた通りです。

繰り返しますが、効果的な手を打つためには、状況を的確に把握する必要があり、その手段が検査だということです。

このことは、"闇雲に検査をせよ"と言っているのではありません。"必要な施策を判断するために、必要な検査をせよ"と言っているのです。

ここで大切なことは、"検査をしないことが、効果的な施策を打つことにつながる"とは、ならないことです。もっと言えば、検査をしないことが、必要な対応を遅れさせ得るということです。

世界が検査を増やし、新型コロナの発生を防ごうと懸命になる中、日本の対応は、これから強い批判の対象となる可能性すらあります。"日本は嘘をついている”あるいは"日本は何もしていない"と。

いずれにせよ、今回の問題は、私たち一人ひとりの生命や身体の安全が問われています。

そして、どのような政府の対応、どのようなメディアの情報と接するかにより、私たちの生命や健康へのリスクの度合いが、大きく変わってきます。

自らの命は、自ら守る。

このことを肝に命じ、そのために国内のみならず、海外を含めた幅広い情報に目を向け、自ら考え、行動する。

こうしたことが今、真剣に求められています。


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世界から情報を取り, いかにして自己の身を守るか!?
今日はそんなことをまとめてみました。

最後までお読みいただき ありがとうございました。

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