見出し画像

~言語は“人”をつなぐツール~③2010年代後半 #社内公用語英語化 #企業と英語

社内公用語英語化の歴史をたどる

2010年代後半から耳にすることが増えたキーワードと言えば――?

ダイバーシティ、働き方改革、女性活躍推進、再雇用…

一律的な雇用や働き方だけではなく、より柔軟なあり方を求めていく機運とともに、上記のようなキーワードと概念が市民権を得ていきました。
こうした動きの根底にある社会課題のひとつが《人口減少社会の到来に伴う人手不足》です。
労働力が減少していく日本社会において、いかに働き手を確保していくか?
2010年代後半を迎え、人手不足解消はどの企業にとっても真摯に向き合うべき課題として顕在化してきました。

言語を採用や活躍のハードルにしない

(社内公用語英語化を発表した主な企業)
・2014年:武田薬品(クリストフ・ウェバー氏が同社初の外国人経営トップに就任)
・2016年:HENNGE(外国人エンジニア獲得のため)
・2018年:資生堂(スムーズな社員間コミュニケーションと相互理解のため)

この頃、社内公用語の英語化を発表した企業の意志決定には、人材の多様化が深く関連していると考えられます。日本人に限定することで人材確保が難しくなっていたエンジニアは、海外の学生まで範囲を広げることで採用の裾野を広げることができます。また、特定の職種や経営陣のみならず、どのレイヤーにおいても日本語を母国語としない人材が増加すれば、必然的に事業の推進や日々のコミュニケーションでも英語がなじむようになっていきます。2010年代後半は、こうした“人に紐づく背景”から社内公用語を英語化する企業が増えていきました

人をつなぐ言語だからこそ【話す力】へとシフト

2010年代後半の社内公用語英語化は、人材採用やコミュニケーションを目的としているがゆえに、フォーカスするポイントも従来とは少しずつ変化が兆
してきました。

TOEIC®L&Rは、読む・聞くのスキルをスコアで知るうえでとても有用なテストです。一方で、現場レベルに目を向けると「TOEIC®L&Rのスコアが高くても、仕事では全然英語を話せない」「スコアが低くてもきちんと仕事ができる人はいる」という声が出てきた、という企業があります。
また、アジアの非英語圏出身の外国人材はTOEIC®L&Rのテスト勉強を一切せずとも満点が取れてしまうといったケースもあったそうです。事業のグローバル展開や国籍を超えたコミュニケーションを求めて社内公用語を英語化したにもかかわらず、TOEIC®L&Rを軸とすると《日本人最適》になってしまう。そうした新たな課題も見え始めていたのです。

そこで、一言で《英語》と言っても、読む・聞くから徐々に【話す力】へのシフトが始まります。
たとえば、HENNGEでは“セブ島送り”と銘打って、業務の一環として滞在費と給与を支払いながら社員をフィリピン・セブ島に語学留学させていたそうです。また、資生堂では約3,000名が英語力強化のプログラムに参加。TOEIC®L&Rの学習やスコアによる目標設定と並行し、レベル別の英会話レッスンや海外短期留学なども研修として実施していました。

このように、より実務的に英語を使いながら日々の業務を推進していくための社内公用語英語化という目的から、重視するスキルも少しずつ【話す力】にシフトしていったと言えそうです。

事業拡大の活路を海外に見出す日本企業

2020年代、コロナ禍はいまだ収束とは言えない状況です。ビジネスにおいても数年の間に様変わりしたことも多く、そのなかでは英語の重要性や位置づけも変わりつつあります。

シリーズ最終回の次回は、2020年代の社内公用語英語化事情や、実行から数年が経過した企業における採用活動の成果などもご紹介します。


取材をご希望の方、本件に関してのお問い合わせはこちら
株式会社レアジョブ 広報
メール:press@rarejob.co.jp

【レアジョブが提供する英語関連サービス】