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【読書Remix】外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント


note概要

このnoteは、読んだ本の要約と共に、今ある知識や自身の経験を踏まえ、自分なりにまとめ直したものです。
読書したものに対し、私なりに再構築するという意味を添えて、「読書Remix」としてみました。

自己紹介

名前:ありか
学歴:地方国立大学院修士(理系)
職業:システムエンジニア・PM
職歴:2021年卒→SIer新卒入社
資格:PMP、ITストラテジスト

X(https://twitter.com/engineerarika)や、プロフカード(https://profcard.info/u/DmVjE4Y8N7QaGVXRsWFerWEcuLF2)も参照いただけると幸いです。

本の概要

書名:外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント
筆者:山口周


本の要約

今日、日々の仕事の主流は「手続き型」から「プロジェクト型」に変わりつつある。すべてのビジネスマンにとって、プロジェクトマネジメントは必須スキルとなっていくだろう。

この本はその背景を踏まえつつ、様々なプロジェクトを行ってきた筆者の経験からポイントを解説する本です。
読んだ中で、特に強調されていると思った2つをトピックとして取り上げます。

プロジェクトの目的を明確にすること

プロジェクトの目的を明確にすることは、プロジェクトを始めるときに必要不可欠であり、プロジェクトの成否を決めるといっても過言ではない。
プロジェクトの目的を明確にすることで、以下のような恩恵がある。

  • 「勝てるプロジェクト」、すなわち確実に成功するプロジェクトかどうかを見極めることができる

  • チームマネジメントを効率よく行うことができる。明確になった目的を共有することで「強いチーム」を作ることができる。

  • 目的を明確にする過程で、プロジェクトオーナに言語化してもらうことにより、プロジェクトの期待値をコントロールしやすくなる。

チームの力を最大限発揮させること

プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーは、チームを導く存在として、メンバの育成を含め、チームの持つ力を最大限発揮させる必要がある。
そのためには、以下のようなコツがある。

  • 明確化したプロジェクトの目的を、ことあるごとに共有すること。これにより、具体的な手段まで指示(マイクロマネジメント)せずとも、メンバが自身で考え、自律的に行動できるようになる。

  • チーム内の情報流通量を増やすこと。正しい情報を正しく共有する環境を作ることで、プロジェクトの様々なリスクを減らすことができる。

  • メンバ間の横の繋がりを作ること。こうすることで、リーダーをハブとする状況よりも、情報流通量を増やし、チームの自律性を高めることができる。

Remix

ここからは、本の内容を踏まえ、私が気になったこと・考えたこと・思ったことをメインに再構築していこうと思います。
なお、プロジェクトマネージャーを以下PMと略記することとします。

目的・スコープ・成功確率

おそらくこの本で筆者が一番言いたいこと(プロジェクトマネジメントで一番重要と捉えていそうなこと)は、「プロジェクトの目的を明確にすること」と思われます。
読んでいる中で、ことあるごとに言及していますし。

私は、目的の粒度が荒かったり、目的が不明確なプロジェクトを経験したことがありますが、要求事項の収集(要件定義)がうまくいかなかったり、そのままプロジェクトが進んで大炎上したり、となっていました。
身に染みて感じるところですので、本を読んで共感しかなかったです。

PMBOK的な目線から見れば、プロジェクトの目的は、プロジェクト憲章に表れ、スコープマネジメントに直結するもののはずです。
また、上記は予測型ですが、適応型で言えば、インセプションデッキに表れます。適応型では、プロジェクトの目的がプロジェクトの目標にかなり近いため、ここがおろそかになることは考えにくいですが、予測型ではしばしば起こりうる話だと思います。
予測型であれ、適応型であれ、スコープはプロジェクト三大要素(残り2つはスケジュールとコスト)だと思いますので、目的の大事さは強調しすぎることはないのでしょう。

「明確になっている」と思っても、落とし穴がありえます。
それは、様々なステークホルダーが思っている内容に微妙な食い違いがありえることです。
言語化し、プロジェクト憲章やインセプションデッキを用いて共通認識をとろうとしても、人の捉え方によって微妙に異なるように読めてしまうような目的だと、その微妙なボタンの掛け違えが、のちのち大きな影響を与えるかもしれません。
だからこそ、PMには特に言語化能力が求められるのではないかな、と私は思います。

このあたりの配慮が行き届いていれば、間違えなく成功確率は上がり、「勝てるプロジェクト」に自動的になるのでしょうね。

個々人の力を最大限発揮させる

当たり前ですが、チームというのは個人が集団をなしているという、必要条件があります。チームの力を最大限発揮するには、

  • 個々人の力を最大限発揮させる(力を高める)

  • チームとしての力を高める

の二つの方針があるでしょう。
どちらも間違えなく大事ですので、どちらも書きたいと思います。

まず。個人にフォーカスしてみます。
個人の力を最大限発揮させるには、「今」と「未来」を見据える必要があるでしょう。つまり、「今できること」と「プロジェクトを通してできるようになること」の2つです。

PMとして見ると、この2つは、タスクアサインメント(タスク割り当て)と育成という要素で考えられるのではないかなと思います。
ただし、この2つは対立するものではなく相互に関連しあうものでしょう。
例えば、あるメンバに対して、育成を見据えて少しチャレンジングなタスクを割り当てることで、そのメンバが育ちプロジェクトがより効率的に進むこともあったり、このタスクを見据えてこのように育成しよう、といったような感じです。

タスクアサインメントの話は、この本でも触れられていました。
端的にいってしまうと、「プロジェクトを円滑に進めるためには、優秀なメンバには確実にできることをさせ、チャレンジングなものはリーダがメインで行いつつ、そうでもないメンバをヘルプで入れるのが効率が良い」みたいなことです。
効率が良いのは間違えないのですが、メンバの育成の観点で見た時にはナンセンスな割り当てでしょう。
ただ、育成は時間がかかり、確実でもないとは思いますので、プロジェクト進行中に、どうバランスをとるかが重要なのではないかなと思います。

プロジェクトで育成をメインに据える場合は、間違えなく「勝てるプロジェクト」であり、さらに余裕があることが前提になるでしょう。条件としてはなかなか厳しいですが、もしそのような幸運な状況になったら、ぜひとも育成をメインにしたいものです(私の経験上ではそのようなプロジェクトはなかったですし、作業者のころはむしろ炎上プロジェクトの方が学ぶことが多かった気すらしますが。。。)

育成の観点でもう一つ、私の信念にも関わるようなポイントがこの本には記載されていたので、ぜひ書きたいのですが、それは「行動に対してのフィードバックをなるべく早く行うこと」です。

育成は、「人をより良い方向に変えること」だと思いますが、そのトリガーは間違えなく「行動が変わること」でしょう。
行動が変われば思考が変わり、思考が変われば人としての在り方が変わるはずです。

行動を変えるには、今の行動を振り返る必要がありますが、そこには絶対的にフィードバックが必要です。フィードバックがなければ振り返るきっかけがなかなか無いですし、自分だけで気付けることには限界があります。

この本でも言及されていることですが、下手なフィードバックは人格否定や攻撃になりかねません。そこに配慮する意味でも、絶対的に「行動にフィードバックする」ことが大事なのだと思います。

チームとしての力を高める

チームの力を高めるのに重要なポイントは、この本では以下を指していました。

  • 同じ向きを向くこと

  • 情報流通量が多いこと

これに関しては完全同意で、前者は目的の明確化がほぼすべてだと思うので、ここでは後者にフォーカスしていこうと思います。

情報流通量を増やすには、具体的には「心理的安全性を高めること」と「コミュニケーションチャネルの最大を確保すること」の2点が大事でしょう。

心理的安全性を高めることについては、様々な書籍が出ていますが、私個人としては、結局大事なのは「自己開示」だと思っています。
リスクがある発言に躊躇しないための環境づくりには、チームの雰囲気を作る必要がありますが、そのためには各メンバとの人間関係を作っていく必要があるでしょう。
そこで有効なのが自己開示で、リーダが率先して行うことで、そのような雰囲気を作っていけると思います。

コミュニケーションチャネルについては、要約で述べた「メンバ間の繋がり」の通りですが、数値を出せばより分かりやすいかなと思い、ここで追記していきます。

チームメンバが5人の状況の時、
メンバ間の繋がりがない場合:4のチャネル
メンバ間の繋がりが全てある場合:10のチャネル(5個から2個とる組合せ)
となります。
蛇足ですがPMPで、コミュニケーションチャネルを求めさせる問題が出ることがあるらしいです。チームがn人の場合、コミュニケーションチャネルは理論上、$${nC_2}$$となります。(n個から2個とる組合せ)

ツールと修整

プロジェクトマネジメントでの最重要要素の1つが、ステークホルダーのマネジメントでしょう。

この本でも様々なトピックが触れられていますが、一番印象に残ったのは、「プロジェクト関係者の裏マップ」です。
これは、ステークホルダーを人間関係や政治的部分含め、プロジェクトへの影響度を整理するツールです。(詳細はぜひこの本を読んでください)

パッと見た時に、これはPMBOKで見た「権力と関心度のグリッド」だ!と思ったのですが、よくよく見るとかなり違うものです。

参考までにIPAのPMの問題で出ていたもの(これも縦軸が影響度なのでちょっと違うかもしれませんが)をイメージ共有のために載せます。

2015年PM試験午後Ⅰ第1問より

PMBOKのツールと技法は、あくまで標準化されたものであり、どのように修整(テーラリング)するかがPMの腕を示すところだと思いますが、ここは一本取られたなぁと感じました。ツールの修整例は、個人的にかなり貴重だと思ったので、この本から得た大きな学びの1つです。

終わりに

読書Remixとして、読んだ本のアウトプットを兼ねつつ、自分の考えなども含め記事にしてみました。
少しでも楽しんでもらえたり、参考になったことがあれば幸いです。
今後もnoteは投稿していこうと思うので、ぜひ読んでくださるとうれしいです。

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