《伝達6》イメージを伝える、イメージを描こう
おう、いらっしゃい!
酒場のマスター、シシャモだ。
来て早々すまないが、そこの注意書きの紙に目を通しておいてくれ。
春は防犯意識も大事だからな、こういう場所だからこそ貴重品の管理は客自身にしておいてほしいんだ。
ああ、あのポスターが分かりやすいって?ありがとう。
うちの掲示物はイラストや図表が多いからな。
今のところ、100%お客さんに理解してもらっているぜ。
伝えることでのコミュニケーションロスを防ぎたいなら、
今すぐ紙とペンを持って、目の前で絵をかいてあげるといい。
何かを伝えるとき、文章だけに頼っていないか?
もちろん言葉ですべて伝えられるのが理想だが、現実はそううまくはいかん。
ゲンゴなんてものはただの記号の羅列だ。
重要な伝えたい内容があるのなら、イメージで伝えよう。
絵心のあるなしはあまり関係ない。
図形で構わないから、パッと印象で伝えられる手段を持っておくといい。
お前さんの頭の中を実現するなら、ほかの人の頭にはまだそのイメージはない。
だから、先に描いたもん勝ちだ。
人はイメージできたものは具体化できる。
イメージがあれば、書き出すこともできるし、共有することもできるし、行動に移すこともできる。
人の想像力は非常に強力だ。
試してみようか?
今から俺が言うことをよく聞いていてくれ。
「ピンク色の毛深いゾウさんを想像しないでください」
どうだ?イメージしてしまっただろう?
俺は想像するなと言った。だが頭の中にはぼんやりとでもイメージが浮かんでしまっているんじゃないか?
そのくらい、イメージさせることは力がある。
相手にイメージを伝えるコツは、簡単な言葉、シンプルな表現だ。
相手にもわかる用語を使い、身近なものに例えるといい。
ちびっこに外遊びを教える要領でな。
どの国でもどの年齢層でも想像しやすいものは、自分の中の経験で置き換えができるからだ。
全く見たことのない未知のものを理解しろと言われるより、知っているもので話されたほうがパッと思い浮かぶだろう?
縄跳びを原材料と物理法則で説明されてもよくわからんし、第一、楽しそうじゃない。
持ち手を持って縄を回して、ぴょんと飛び越える。それを何回できるかだ。と楽しそうにやって見せたほうが、やってみたいと思うだろう。
かつて人種差別のない世界を訴えた牧師の夢も、
かつて近未来の世界を描いた漫画家の世界も、
一部はもう現実になっている。
それはより多くの、実現する力を持った人たちへ、頭の中のイメージを伝えたからだ。
お前さんが描いた世界を、ぜひ現実にしてみてくれ!
《基本スキル イメージで伝える》
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