なぜ小学校の体育の指導は難しいのか___3_

体育には「教科書」が無い。【なぜ小学校の体育の指導は難しいのか?#2】

前回は「小学校は学級担任制」であり、担任の先生が体育を教える大変さをお伝えしました。

今回は「体育には教科書がない」ことに関してお伝えします。

■体育には「教科書」がない。

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小学校の教科の中で「体育」の運動領域だけ、検定教科書がありません(※保健領域には、検定教科書がある)。

小学校用教科書目録(平成32年度使用)/文部科学省

そもそも学校教育において「教科書」とはどういう存在なのか? 

文部科学省による説明はこちら↓↓

Q1 教科書は,学校教育の中でどのような位置付けになっていますか?
A . 教科書は,「小学校,中学校,高等学校,中等教育学校及びこれらに準ずる学校において,教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として位置付けられ,児童生徒が学習を進める上で重要な役割を果たしています。

また,教育の機会均等を実質的に保障し,全国的な教育水準の維持向上を図るため,上記の各学校において,教科書を使用することが義務付けられています。我が国の学校教育においては,各学校が編成する教育課程の基準として文部科学省が学習指導要領を定めており,教科書は,この学習指導要領に示された教科・科目等に応じて作成されています。

各学校においては,教科書を中心に,教員の創意工夫により適切な教材を用意しながら学習指導が進められています。
(※文部科学省ホームページ、「教科書Q&A」より。)

「各学校においては,教科書を中心に,教員の創意工夫により適切な教材を活用しながら学習指導が進められています。」とありますが、体育には指導の中心となる教科書が無いのです。

各学校には「年間指導計画」というものがあり、「どの時期に何の種目を行うか」の大枠は決められています。また、小学校学習指導要領の体育編には、「目標や内容」は記載されています。

ただ、実際の授業での指導法は十分な情報が提供されていません。各領域で「具体的に何をどう教えれば良いのか」「授業までに何を準備すれば良いのか」が明確ではないのです。Whatがあって、Howがありません。

無題

体育の指導が他教科と比較して難しいところとして「教え方・伝え方」を挙げる先生の割合が高い。これは「教科書がないこと」が大きな理由の一つだと考えられる。
※出典:小学校教員の体育科学習指導と行政作成資料の活用に関する研究(2013)/白旗 和也

教科書会社や教材会社が発行している「副読本」は存在しますが、学校に使用義務はない為、使用される機会はそう多くありません。

よって指導方法を考えるには、行政から提供される資料を参考にするか、一般で売られている書籍を読み込むか、同じ学校の先生に相談するか、それしか方法はありません。

もちろん体育は身体を動かしますので、授業中に教科書を持ち歩くことは難しいですが、毎回の授業の内容・目標・流れなどを決める為には、拠り所になる教科書(的なモノ)が必須だと考えられます。

教科書がないこと、学ぶ為に十分な情報が無いことに加え、様々なニュースでも報じられている通り、学校の先生は多忙であり、一般の先生が余裕を持って体育を学ぶ時間的・精神的余裕がなかなかありません。

もっと「気軽に」「分かりやすく」「簡単に」学べる方法は無いのでしょうか?ENGINEはその方法を探していきます。

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次回は「運動をする子・しない子の二極化」について書いていきます。

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