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【翻訳メモ】INSIGHTS FOR THE JOURNEY

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■全体目次 https://note.com/enflow/n/n51b86f9d3e39 ■「ティール組織」の著者であるFrederic Laloux によるINSIGHTS… もっと読む
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【7.7】ホールネス(全体性)獲得にむけたアイデア(Some ideas: wholeness)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/77.html ■翻訳メモ あなたの冒険が素晴らしいものになりますようにお祈りをささげながら、今回は始めていきたいと思います。さらには、組織の中のあなたのいる場所に「ホールネス」がもたらされ、メンバーの持ち味がよりはっきりと先鋭化することを願っています。いずれにしても、「セルフマネジメント」「ホールネス」「存在目的」、これら3つのブレークスルーを、組織の一部に根付かせるのが最も理にかなった方法です。そして、もし、あなたの部署と組織内のそれ以外のセクションとの交流があまりないとしたら、あらゆる観点でもってしても、このビデオシリーズのセクションⅤ、つまり「ホールネス」について語ったパートを組織全体でシェアしてもらうに越したことはありません。特に、その「ホールネス」のところは、シニア・リーダーに見てもらうことを意識して作っています。 あなたが社内の他部署ではなく、あなたのチームの中だけに広めようとしているのだとして、私が贈ることのできる唯一の具体的なアドバイスは、普段の会話で使う言葉を大事にしてもらいたいということです。難解なことば、奇妙な言葉は避けるということを極端なくらいに意識して取り組みます。「ホールネス」が担保されるようになるには、仕事に直接的に関係しないことも含めて、感情面の交流が不可欠です。あなたのすべての行動は、あなたのチームの全員とそれ以外の外の世界に向かっても、完全に「潔白」で「明確」でなければなりません。ですので、メンバーがあなたの行動を気にかけだしたり、奇妙と感じている気配を感じたりしたら、あなたの行動原理を明確にするためのミーティングを持つべきです。それによって「ホールネス」は促進されます。しかし、その話し合いの場で、あなたは、チームの原則を「生産性」に求めてはなりません。まして、何かの原因を他人のせいにするなどあってはならないことです。真実の言葉は、本心を語っても大丈夫だという安心感なしに、メンバーの口から発せられることはないでしょう。メンバーが自分の考えを述べる際は、それがどんな内容であっても、その行為は間違いでないと、あらかじめ周知しておきます。もしそこに、「正解」という高い壁を築いてしまったら、彼らは、新しいアイデアを語らなくなるでしょう。これらのことは今さら述べるまでもないことばかりだったと思います。 最初に戻りますが、私は、あなたの冒険が素晴らしいものになることを祈っています。また、あなたが、多くのことを携えてきた人、そしてそれらを実行に移した人であると組織内で見られるようになってもらいたいと思っています。さらに、その見られ方が確固たるものとなり、あなたの行為に尊敬のまなざしが集まり、そして、他の人たちがあなたの模倣を始める、是非こうなってもらいたいと願っています。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【7.6】セルフマネジメント(自主経営)に向けたアイデア(Some ideas: self-management)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/76.html ■翻訳メモ 今回のテーマは、組織の残りの部分を従来の階層型にしたままで、1つの部署、あるいは、あなたが担当する複数の部署だけに限って、「セルフマネジメント」を導入する必要が生じた場合の導入方法です。これにかんしては、いくつか、良いアイデアがあります。 1つ目は、「明日から『セルフマネジメント』を始めるよ」や、もしくは、「階層を分解しないままで始めるよ」と言って開始するやり方です。この宣言は、闘牛における「赤いマント」の効果を発揮します。あなたの振る「赤いマント」が組織のメンバーへの刺激になります。あなたにとっては、「たいへんなこと」だと言えます。あなたは、途端に忙しくなり、やるべきことが山のように積み上がっていくはずです。 進めるにあたって、マネージャーの「役割」に例にとってみましょう。「セルフマネジメント」では、「役割」は1つの箱に入れて単体として扱われることを思い出してください。つまり、マネージャーの仕事は、どんな「役割」に分けられるか検討を始めます。マネージャーの仕事を見直すには、チームとともに定義から始めて、それらをマネージャーから、どれだけ手離れさせることができるか検討してきます。あなたの下にマネージャーがいるのなら、あなたがコンピューターに向かい、同じように、彼らの「役割」を再定義します。そして、その後、それらをほかの人へと分解していきます。基本的には、誰がどのような「役割」を欲しがっているかは本人の意思を尊重し、介入はできるだけしないようにします。あるいは、マネージャーの交代時にも同じことを行います。マネージャーの仕事から、複数の「役割」を再定義して、それらの引き受け先を決めていきます。そうやって「役割」を明確化しておくと、人事考課の際には、1on1の面談の代わりに、複数のメンバー間での対話によって評価を付けることが可能になります。マネージャー抜きで、それを行うこともできます。きっとその方があなたはそれぞれのメンバーの成長を感じとりやすいはずです。また、評価に複数の視点が加わることによって、メンバーの習熟度が高まる効果があります。そして、パフォーマンス管理の観点からも、チームメンバーの結果へのコミットメントが高まる効果があります。 私は以前のビデオで、ベルギーの運輸省の事例を紹介しました。彼らは巧みに工夫することによって、すべてのチームが、以前より多くの自在性を持てるようになりました。彼らは、どんな結果を得たら「誇り」と感じるのかを定義しました。しかし、もし、その結果を手にした人が、過度のエンゲージメントを好まない場合、アドバイスプロセスを利用することができました。それは明確な方法であるとともに、新しい強力な会議体でもあるのです。それは、ソシオクラシーやホラクラシーにおける戦術会議や統治会議といった会議体に近い形態ものです。また、「ベースキャンプ」や「スラック」といった、個人間のチャット機能を持ったツールを導入すれば、自分から情報を取りにいく必要のあった古い習慣を過去に追いやり、メンバー間のコミュニケーションがより簡単になります。アジャイル的な実践もできるようになります。少し走って振り返ってを繰り返せば、チームの全員とチームの「目的」を共同作業で作っていくことも可能になってきます。これらすべては、奇妙でも奇抜でもありません。そして、こういったことの良いところは、得意先など外の世界から見たとき、奇妙な感覚を与えないというところにあります。最初の段階では、まだ組織は明確な階層構造を残したままです。各マネージャーも、依然として、明確な「説明責任」を持ったままです。その時点で、なんら奇妙なことは存在しません。もっとも、これからマネージャーの仕事を分解して、多くの「役割」を定義していく必要があるのですが、この時点ではまだマネージャーも従来の姿で存在しています。その時点で、マネージャーの仕事の一部をすでに切り分けていたとしても、組織図上は、まだマネージャーのポジションが存在します。ただし、その組織図に誰も違和感を抱かないのではあれば、その方が奇妙といえます。繰り返しになりますが、その段階まで来れば、プロジェクトに名前を付けてあげてください。その際は、くれぐれも奇をてらわずに、何をやろうとしているのか直感的に分かる名前のほうが良いと思います。そこまでくれば、おそらく、あらゆる種類のエネルギーが沸き立ってくるのを感じられるようになると思います。すべてが楽しく、スムーズに運ぶ瞬間がやってくるのです。そして、メンバーのエンゲージメントはますます高まり、ポジティブな話題が続いて、得意先など外の世界にもそれらは広がっていくことでしょう。あなたのやろうとしていることに異を唱える人はもう誰もいないはずです。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【7.5】抵抗勢力を抑え込むためには(How to minimize resistance)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/75.html ■翻訳メモ 今回のビデオは、今まで視てもらったほかのビデオとは少し異なります。私が直接訪問して現地で交わした会話が基本になっていない点に違いがあります。体験が前提となっていない代わりに、私の内側にある深い想いを語ることが中心になります。抵抗勢力が示してくる様々な抵抗に対して、それをいかに最小限に食い止めるかというのが今回のテーマです。 明らかに今までに経験してきた改革とはまったく異なった方法でスタートするわけですから、あなたのチーム以外の人、もしくは、あなたのチームであっても、その中の一定数の人は、敏感に反応を示すはずです。したがって、ここでのあなたの課題は、抵抗を最小限に抑えることのできる、限りなくシンプルな方法を採用して、それを実践することです。例えば、こういう表現をするとイメージしやすいでしょうか。熱したナイフでバターを切るがごとく、いともたやすく、もしくは、一日に何回かトイレに行くと思いますが、そのようにそれが当たり前といったように、つまり、抵抗があったのかどうか、それを感じることなく経過できればそれが一番よいということです。あとになって気付くといった、そんな感覚です。そのためには、周囲に対するあなたの「姿勢」が肝心です。あなたが気付いているかどうかは分かりませんが、発言する前に周りがどのように反応するかであったり、電子メールを返答する際にはどのような文章がふさわしいかであったり、会議を開催する際には誰を招集したらよいのかなど、私たちは行動に移る前に、多くの時間を検討に費やしています。しかし、その行動の結果、どこにどんな影響が出るかということについては、意外と考えが及んでいないものです。何が言いたいのかというと、実際に何かが変更になった時など、その変更自体が、それに反対を唱える人たちの憤懣の対象に必ずしもなっているわけではないということです。彼らが対象として捉えているのは、あなたの「姿勢」も含めた、一連のその改革を取り巻くすべてのことなのです。改革を始めるのなら、まずあなたが「姿勢」を正すところがスタートラインです。それでないと、どんないい仕組みを導入していっても、それらが機能するところまでには至らないのです。 うまくいかないパターンには以下のようなものがあります。まず、「怒り」や「痛み」を成長の原動力として現在の地位に至ったリーダーは苦労することがあります。特にそういう人は、今までの自分がたどってきた過程を正当化する傾向があります。それが、「もう待てない」や「だったら辞めてやる」という幼稚ともとれる言葉によって表に出てきます。その言葉の背景に「怒り」や解消されていない「痛み」あると関係者に気付かれた時、多くの抵抗勢力が発生します。 次のうまくいかないパターンは、「優越性」が問題になってきます。あなたがティールを理解しているという立場で、それを理解していないそれ以外の人たちに対して、進化を促してやるという態度をとると、これも確実に失敗します。彼らはあなたの言葉に従って実行するでしょう。すると、ティールの側に来ることができる人がいる一方で、行けない人も出てきます。あなたは言葉に出さないとは思いますが、それでもあなたの態度から、ティールの側に来ることのできた人であってさえも、あなたとの間に大きな溝があると感じるようになるのです。 もう一つのうまくいかないパターンは、納得してもらいたい、もしくは、受け入れてもらいたいという態度そのものが問題になってきます。もしあなたが、ティールへの道のりは困難を極めることを知って、「私を信じてください」とか、「私に説明するチャンスをください」という言葉を使い、仲間に接し続けたら、これもやはり失敗の方向に向かいます。この場合、あなたの持つ「劣等感」や「自信のなさ」が見透かされてしまい、誰もついてこなくなるからです。 抵抗を最小限に抑えるのに最も効果的なのは、そのコミットメントがあなたの内にある「正直さ」から醸し出されている場合です。その内なる源泉こそが「理にかなった場所」と呼ぶにふさわしい場所なのです。これがまさに私の理想としているものです。それは「内なる強さ」と「内なる静けさ」が結びついたところにあります。また、それは、何ら「後ろめたさ」のない「潔白」を示した場所でもあるのです。ティールを具現化するのは簡単ではないと言ってしまうのはあまりにも安易です。例えそう思ったとしても、それを実践する以外にそこに近づいていける方法はないのです。それにはまず、チームメイトとパートナーとコーチと一緒に対話から始めてください。その対話の場で、あなたは、あなたの行動が批判にさらされていると感じるくらいの「つらさ」を体験し、そのままその場所にとどまっていてよいのかどうかを真剣に考える経験をします。 その場所では、「愛」と「思いやり」があなたを苦しめることになります。古いシステムへの「愛」と「思いやり」が、あなたがやろうとしていることに対する葛藤となってやってくるということです。その古いシステムに残ったままの「仲間」も対象になってきます。なにが真実かと言えば、誰も「悪くしたい」とは思っていないということです。現在の、組織が持っている世界観は、組織の営みの歴史とそれによって生まれたトラウマによって不規則な成り立ちを示しています。あなたは今、その世界観の外からその世界を眺めています。今までとは全く異なって見えるはずです。そして、また、あなたの中には、新しい世界を試してみたいという想いしかないはずです。 あなたができる最も強力なスタンスは、自覚した自分を受け入れて、その「目覚め」を完全に認めることです。つまり、「私は分かりました。あなたにも伝わりましたか?こうやったら分かるかもしれません。私は長い間、今の瞬間を望んできました。今回、私はこれをやるつもりです。これが私がやろうとしている方法です。きっとうまくいくと思います。私は誰にも許可は求めていません。私は誰かに許しを求める必要はないと思っているのです。あなたの考えを聞かせてください。私はこうやってやるつもりです」と。 今から述べる事実を知れば、きっとあなたは驚くはずです。どんなことかというと、通常、人はそれぞれが異なった道を歩んでいます。もし彼らが誰かに「判断された」と感じなければ、なんらかの攻撃を受けたとしても、それを「攻撃」として感知し得ないものなのです。もし彼らが、あなたがあなた自身に向けている「愛」と「思いやり」を、彼らの方にも向けてもらっていると感じた場合、そうでない時に生じる複雑な感情を、あなたとの間に割り込ませてくることはないでしょう。この方法が最も抵抗を小さくする方法なのです。 これがまさに私が望むかたちです。あなたの「あり方」とは、真実の「愛」と「思いやり」の中にある「内面的な強さ」に起因します。旅を続けるうちに、あなたは、より伝統的なシステムの中にいるすべての人に対しても、「思いやり」を持って接し、「愛し」続けるようになっていくことでしょう。彼らは彼らのやり方で、あなたはあなたのやり方で、それぞれに成長して、そして、そのそれぞれに、完全に共存できるようになっていきます。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【7.4】傘を広げて部下を守る (Open the shit umbrella (If the CEO is not on board)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/74.html ■翻訳メモ 前回も案内しましたが、このセクションの最初のビデオで、CEOの力に頼らない変革を始める時には2つのルートがあると言いました。1つ目はトップマネジメントから承認を得て進めるという方法でした。これについては前回のビデオで話しました。それともう1つ、誰の承認も得ずに、あなたのできる範囲から始めていくやり方がありました。その場合、後になってそのやり方が認められ、組織内で仕組み化されて、それが周囲に広がるとい道筋がありました。それらのどちらかを選んで取り組めば、多少の希望的観測を含めたとしても、きっとうまくはいくでしょう。最初、一部の人たちは斜に構えているかもしれませんが、そんな人たちが慣れ親しんできた頃には、多くの人にとって、改革には満足感が加わってきていることでしょう。しかし、前回までの内容だけだと、安心して取り組めるとまでは言い切れないのです。進め方の中身にまでは触れてこなかったからです。 取り組みを進めていくには感情的な部分にも注意を向ける必要があります。ワークショップの時によく使われる表現なのですが、「傘を広げる」という表現を聞かれたことはあるでしょうか?シンプルに、組織の上から落ちて来るいろんなもの、特に「つまらないもの」が直接体にあたらないように、傘でよけることのたとえです。あなたが中間管理職だとしたら、あなたが広げるその傘によって、あなたの部下は「つまらないもの」から守られているということです。つまり、あなたは、チームメンバーを守るというインターフェースで会社ゲームをプレイしていると思ったらいいでしょう。具体的には、トップマネジメントなどの管理ラインから生じたものや、人事部から発せられたものが、遮られる対象になることが多いように思います。物事を創造的に捉えようとするのはいいことです。しかし、毎度、そう単純には済まないことの方が多いはずです。時には、困難を伴い、ストレートにぶつかれば多くの人が疲弊してしまう、そういうリスクも孕んでいます。例えば、目標の売上予算を現場チームに落とし込むプロセスで考えてみましょう。数字は上が求めるままでよいのか、現場での判断が入り込む余地はないのか、管理職は結果をシステムに入力するだけでよいのか、など、それらは事前にすり合わせできるのが理想です。しかし、実際にはそのようなプロセスが踏まれることはまずありません。現場はトップダウンの結果を受け入れることになっているからです。本来は、先ほどのような事項を検討しながら、「協調的な売上目標予算」を作っていくべきだと思います。もっとも、あなたに課せられたミッションの最低ラインが、その目標値をすこしでも上回ることだったとしたらです。しかし、この「トップの命令」問題は、依然として並行線をたどっている問題といえます。マネージャーの仕事は、依然として、このシステムに乗っかっているだけのようです。マネージャーが「売上目標」に対して出た結果を、部下の人事評価へ落とし込むとき、例えば、「多角的な視点」などという表現を入れたら、この「会社システム」に順応した人たちは手放しで喜ぶことでしょう。人事部からは、人事評価をどのように行うか、おそらく詳細な指示があるはずです。そして、マネージャーは、次々にメンバーの評価をシステムに入力していきます。彼にとっても、もうとっくに、うんざりした仕事なはずです。これをどうしたらクリエイティブに転換できるのでしょうか?組織の中に本来存在している「人と人との関係性」をベースにして、プロセスを見直そうなどという人は出てこないのでしょうか? 繰り返し言いますが、今、私が言ったような「美しいプロセス」を創造できないか、あなたは、常に意識するようにしてください。では、それについて、2つのバージョンを紹介したいと思います。きっと、人事部は、評価シートの書き方をあなたに細かく指示してくると思います。あなたは、グループセッションではなく、古き良き1対1の業績評価面談を行ったかのように見せかけてシートに記入できそうなら、是非そのようにして下さい。人事部はおそらくその内容に満足することでしょう。評価シートにはグループセッションで出た素晴らしいアウトプットも一緒に添付してあげてください。きっと人事部は、「こんな詳細に記入された素晴らしい評価シートは見たことがない。きっと部門の運営自体も順調なのだろう」と思ってくれるはずです―もちろん、それは、やるもやらないもあなた次第ですが―。どうせ傘をさすのなら、その程度のジャグリングは創造性の範囲といえるでしょう。傘の下に隠して、獣の目を欺くくらいでないと、獣を手なずけることなどできるはずがありません。 ただ、毎度毎度これをやっていると、あなたが疲れてしまいます。ある人が面白い「言い換え」をしました。その人は、「毎度文句を言いながらやっているくらいなら、最初からトップマネジメントや人事部なんて、信ずるに値せず、とした方がいいよ」と言いました。その一言があれば、メンタルのスイッチの切り替えが可能になります。また、それそのものをゲームとして楽しんでしまうことも可能になってきます。「仕事場はゲームスペースだ」という、この感覚です。これは、ある意味、「学びの探究」の成果ということもできます。あなたが単なるインターフェースとして振舞っている以上は、疲労感から逃れることはできないでしょう。その意味では、あなたは、「最も学ぶ機会に恵まれた人」でもあるわけです。なぜなら、あなたは、システムが求める古い方法と、あなたが試したいと思う新しい方法とを常に対比させながら仕事を進めることができるからです。あなたの学ぶ量は、途方もないものになることでしょう。ですので、仕事は、ゲーム感覚で楽しめばいいのです。そうすれば、ある時点で、―それが1年先か2年先か、分かりませんが―、あなたは相当に鍛えられ、そのおかげで、押し戻せるだけの力を持てるようになるというわけです。これは飽くまで私の考えですが、あなたは、場からエネルギーを得られるだけでなく、きっと、その一連のプロセスのすべてを自分自身の中に取り込み、力に変えていくのです。しかし、いくらあなたがパワフルになったとしても、あなたが大きな力で押すと、システムはその分もっと大きな力で押し返してきます。私があなたに提案できるとしたら、それは、最も基本的な原則に立ち戻りなさいということです。もしも、あなたがもはや意味のないものと考えている評価制度について、人事部からその使用を強要された場合、あなたは「そもそもの原則」に立ち戻って考える、ということです。つまり、この窒息しそうなコンプライアンスメカニズムの向こう側で、人事部が達成しようとしているのは何なのか、あなたはそれを考えるということです。そして彼らにはこのように教えてあげたらいいでしょう。「私はあなたが必要としていることを理解しています。それをどうやったら達成できるかも含めて分かっています。それは、必ずしも、あなたが発信するやり方に従わなくても、もっとエキサイティングな、皆が自発的にできる方法があるのなら、そのやり方で行った方がいいと思いませんか。もしそれに興味をお持ちいただけるなら、人がワクワクする方法をお見せしますよ」という具合に。システムは押し戻してくるといっても、あなたがしようとしていることの本質に対して理由なく押し戻してくることはしないものです。あなたは皆のためになる、新しい「より良い方法」を提案することで、システムの稼働をサポートすることになります。彼らはその提案に理解を示さないかもしれませが、しかし、その場合でも、少なくともあなたのことは、他者の意見を尊重しながら自分のやりたいことを提案できる人物として、彼らの脳裏に焼き付くことでしょう。 もし、それを別の方法で行うとしたら、きっと、衝突を避ける方法を選ぶことになります。上から降ってくる規制に対して、傘はそれをブロックしてくれます。その傘の効用については驚くべきものがあります。傘自体は「あたり」を柔らかくしてくれるものであるのと、もう一つは、そこに小さな隙間も作ってくれるのです。しかし私は、積極的にこの傘の使用を勧めているのではありません。それに勝る方法は他にもあるはずという前提は崩したくありません。しかし、多くの場合、既存のやり方に疑問を呈するという行為は、別の選択を考えないといけないほど難しいものなのです。その場合は、傘の下に小さな美しい世界が広がることを祈ります。 ここでひとつ覚えておいて欲しいのは、規制に対抗するという行為は、非常に素晴らしいゲームだということです。そういう見方ができるようになればバーンアウトは防げます。そして、そのプロセスを通して、あなたはたくさんのことを学ぶことになるでしょう。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【7.3】「安全な場」と「実験の場」を確保するために(Negotiate a protected space)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/73.html ■翻訳メモ CEOがいない、もしくは、その力を借りずに「セルフマネジメント」を進めていくには、基本的に2つのやり方があると、このセクションの最初のビデオの中で話しました。それらは、トップマネジメントの承認を受けて行うか、もしくは、あなたのできる範囲から始めていくというものでした。そして、今回は、その1つ目のほう、つまり、トップマネジメントの承認を受けて実行する方法について話そうと思います。複数のやり方があると思いますが、どんなやり方を採用するにしても、取り組みの基本は「対話」にあります。必要な「対話」ができる安心安全な場や、失敗が許される実験スペースを作ることが必要になってきます。一部の人は、「すでにそれらはそろっている」と言います。では、それらがきちんと機能するように、2つの要素について順に見ていきましょう。 まず、最初は、トップマネジメントと取り交わす「約束」についてです。あなたの側から見れば、「与えられた」ものになります。彼らは「任せた」と言ってすべてを委ねてくれるかもしれません。しかし、それは、今日の「結果がすべて」という概念に取りつかれた組織では、あなたに「結果」だけが課せられたことを意味します。与えてもらった「自由」は、彼らの求める「結果」との引き換えなのです。それが、あなたが手にすることのできる1つ目のものです。もうひとつ、あなたには、入手可能なものがあります。今度は誰かから「与えられたもの」ではなく、自分で獲得できるものです。つまり、システムとかかわることで得られる「自在性」がそれです。その「自在性」とは、例えば、人事部門に関係したら「人事権」を手にできる、といったものです。その場合、あなたは、自分の望む方法で人を雇うことが可能になります。それによって、自分の手足となってくれる人たちを雇うことができるのです。そして、自分自身のパフォーマンスに反映させるために、彼らのための研修を企画することになるでしょう。そして、そのパフォーマンスに対しては、いずれ、なんらかの報酬が伴ってくるはずです。それは給料に反映されるかもしれませんし、そうでないかもしれません。あるいは、人によっては、その過程における「会話」が一番の報酬となるかもしれません。また、ケースによっては、あなたが手に入れる「自在性」とは「購入権」かもしれません。それは、必要なものは、自分の決済で何でも購入できるというものです。あなたが入手できるもの、それが何なのか決まってはいませんが、いずれにしても、トップマネジメントとの会話なしに、それらのものを手にはできません。あなたが手にすることになるこれらの2つのコンポーネント、つまり、「自由」と「自在性」は、あなたにとって本当に大切なものですから、トップマネジメントと会話の際には、よく考えて話さなければなりません。あなたが手にするのは、トップマネジメントが担保する「聖域」を含んだ、「裁量権」であるからです。 もしあなたのいる組織が、比較的独立性を重んじた組織であるならば、この「裁量権」が最もものを言います。本の出版のすぐ後にですが、私は南フランスにあるITサービスの企業に勤務する人からメールを受け取りました。トップマネジメントとの交渉が首尾よくいったということと、今の取り組みは数年先にはうまく着地しそうだということを、彼は知らせて来てくれました。彼は自分のチームをある種の実験の場として、素晴らしい取り組みに挑戦中だということでした。そして、彼は、その小さな自由を堪能しているとも知らせてくれました。この組織は地理の面でも独立性が強く、組織構成もシンプルで、やりやすい条件は整った組織でもありました。 あなたの属する組織が複雑に統合された組織である場合は、そのフランスの組織のようには簡単にはいかないでしょう。しかし、どんな組織であっても、やろうと思えばできるものです。より複雑に統合された組織の代表例として、世界的なタイヤメーカーであるミシュラン社を挙げたいと思います。それは一言でいえば、自己組織化チームを作りたいという想いを実践した人事部のバラカン氏の功績といってもいいような改革でした。まず、彼らは、38の独立したチームと工場から始めることでトップマネジメントから承認を得ました。そして、その後、残りの5つの工場にまで取り組みを広げて、現場全体にまで拡大させました。ミシュラン社のような大きな組織でさえ、トップマネジメントは改革のプロジェクトに対して承認を与えました。それは、どんな大きな組織でもやれるということの証となりました。 さらに最近の傾向では、以前に比べれば、トップマネジメントが承認を与えやすい環境になってきています。提案を通し、改革をスムーズに始めるには、取り組み自体を、トップマネジメントが特に関心を抱いている問題の、その解決の場として位置付けるのです。一から十まで、すべてをあなた1人が動かすものでもありません。あなたが優先してやらなければならないのは、彼らの興味を喚起するものを選んで、この提案を通すことです。それさえできてしまえば、実際には、あなたのしようとしていることを彼らが正確に理解している必要はありません。むしろ、ひょっとしたら、彼らが考えていた以上の成果をあなたが上げてしまうことになるかもしれません。ですので、あなたは、彼らが理解できる言語を使って説明する必要があります。そのためには、もしあなたのチームが革新的でなかったとしたら、あなたは致命傷を負いかねません。例えば、あなたのチームからスピード感が感じられない、とか、従業員エンゲージメントの数値が低いなど、もしくは、進め方が官僚的すぎるなど、それらの指摘は絶対に受けないように注意してください。そういった事態を避けるためにも、あなたがトップマネジメントの関心事を把握している必要があるのです。それらの関心事に関係する言葉を使って、実験スペースの話を持ち出すのです。そのためには、あらゆる流行には敏感になっておく必要があり、彼らが最近「アジャイル」という言葉をよく使っていると思ったら、あなたもその言葉を使こなせるくらいになっておかなければなりません。彼らの耳に心地よく響く言葉を使ってこそチャンスは訪れるというものです。それが彼らとのコミュニケーションを成り立たせる上での最も有効な手段です。CEOにはCEOの特別な言葉があります。「アジャイル」などといった言葉は、CEO仲間のあいだでは、日常の会話にも頻繁に登場する言葉です。「パイロットプロジェクト」という別の言葉を使えば、例の実験スペース獲得の際に、効果を発揮してくれるかもしれません。 そして、ミシュラン社には、―飽くまで、私の見解ですが―、非常に父性主義的な家族経営の文化があったと思います。そして、その文化は、彼らが大成功を収めたリーン生産方式を取り込んだ際に崩壊の時を迎えたように思います。そのプロジェクトはすべての工場の無駄を省き、多岐に渡る標準化によって生産効率の改善をもたらしました。しかし、それはどこか無機質なところがあり、ミシュランで働くという古い文化を隅に追いやった感覚は否めないものがありました。そのためか、従業員エンゲージメントはかなり低下しました。その下がってしまった従業員エンゲージメントを向上させること、そして、企業文化を取り戻すことが目的に含まれたために、パイロットチームとトップマネジメントとの間で取り交わされた約束には、現場にかんする裁量権の、パイロットチームへの大きな譲渡がありました。トップマネジメントは、悪化しない限り、口出しはしないと宣言しました。本当に、ただ、やりなさい、と言っただけでした。それは、遮るにも機能しようがない、トップマネジメントにとっては効力がないに等しい約束でした。あなたがトップマネジメントと約束を結ぶ交渉をする際、以下のことを考慮に入れて臨むようにしてください。それは、彼らが抱えている問題と、あなたがやろうとしていることを、うまくリンクさせるということです。「彼らの役に立つ」という観点で考えてみてください。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【7.2】どこまでなら行けますか?(How far are you willing to go?)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/72.html ■翻訳メモ スタートを切る前にさまざまなことを検討する必要がありますが、その検討範囲に、「ここまでやったから大丈夫」といった決まりはありません。組織の一部に対し、「セルフマネジメント」のプラクティスの導入を検討している場合、それに専念できる期間は、先に決めておかなければなりません。言い換えれば、特に大規模な組織の場合に顕著なのですが、今の仕事量にプラスしてどの程度の負荷がかかってくるか、仕事量の兼ね合いを想定しておかなければなりません。もし、移行期間を、1年か2年としか見積もっていないのなら、飽くまで私の感覚ですが、それはあまりに短すぎます。私は、ここからの5年をどう考えるかを想定すべきだと思います。そのためには、根を張るまでの時間を考慮に入れて、学ぶ時間を算出する必要があります。そして、大企業の場合は特に、昇進などで推進者が異動になった場合も考慮にいれなければなりません。でなければ、昇進を放棄せざるをえなくなる、といったことも出てくるかもしれません。マネージャーが2、3年ごとに交代する組織なら、プラクティスの期間は、通常より長く設定すべきです。これらは、事前に行なう必要のある本当に重要な検討項目です。なぜなら、このプラクティスのために、あなたは、あなたの人生のうちの貴重な何年間かを費やすことになるのですから。 2番目の検討事項はリスクと関係しています。それにはまず、どこまで行きたいかというゴール設定と、そこに行くためには、どの程度までならリスクを背負えるかというリスク許容度の検討、それらの2つをしておく必要があります。例えば、あなた本人に降りかかるリスクとしては、この大きな変革への取り組みの結果、解雇される可能性があるのか、といった事柄です。なぜなら、あなたがやろうとしていることは、従来あるすでに描かれた線の外側に色を付けようとする行為だからです。だから、同じ色を塗る行為でも、それが狭い範囲だけなのか、それとも、もっと大きな範囲に対してなのか、先に決めておくわけです。どこかの場所に色を付けようとした時に、ひょっとしたら、あまりに整合性が欠如しているか、あるいは、リスクが大きすぎるという理由で、システムが反抗してくるかもかもしれません。システムの受け入れ拒否が原因で、あなたが解雇される可能性だってあります。私が問いたいのは、あなたは解雇に対して不安を持っているのか、それとも、そういう状況になっても全く困らないのかということです。私は、ニュアンスでの回答が欲しいのではなく、あなたは今言ったことのどちらなのか、明確にしておく必要があると言っています。しかし、その答えに、正解はありません。どちらであってもかまわないと思います。リスクを冒すのは無理だというのなら、それでもいっこうにかまわないと思います。この仕事はあなたにとって、とても重要な仕事ということに変わりありませんが、それよりも、あなた自身がその仕事のリスク度合いを確実に把握していることの方がはるかに重要なのです。それによって、引かれた線の外に向かって、あなたがどこまでなら飛び出していけるかの、その範囲が決まってくるのです。ある組織が実践した方法で、ひとつ、良いアドバイスがあります。それは、まず、線の外側に色を付け始める時は、ぶれないで、強力にやるということです。そして、もう1つ、それは、プランBを持つということです。つまり、あらかじめ、いくつかの場面を想定しておくことを意味します。例えば、システムがあなたを拒絶した場合、あなたはどうなるか、ということや、つまり、解雇された場合も想定しておいてください。そうやって、次々に問いを立てていきます。解雇された時は、次の仕事についての準備がありますか?自分がどんな仕事ならできるかどこまで把握していますか?そうなったとき用の複数の収入源はありますか?役に立ちそうな別の名刺は持っていますか?次のキャリアは、あなたにとって意味があると思える仕事ができそうですか?などと、繰り返していきます。そこまでできてはじめて、あなたはリスクへの準備ができたと言えます。もし、あなたの収入源が今の仕事で、別の選択肢がない場合、これらの検討事項は絶対的に重要なものです。なんの準備もないまま解雇されてしまうと、無意識のレベルでは、あなたは世界の終わりを感じることになってしまいます。人生にシャッターが下ろされたかのように感じるはずです。そうなれば、100万パーセント、あなたは「完全無力」に陥ります。 そんなことを言われたら、線の外側に飛び出すなど、ほとんど不可能だと思うかもしれませんが、その一方には、そうならないためのもう1つのプラン、つまりプランBがあります。これは、私が今活動していることとかかわってくるのですが、とても魅力的な方法でもあります。おそらく、それを知っているだけで、あなたは信じられないほどパワフルになるはずです。例えば・・・、「上手くいくかいかないかは、単に相性だけの問題だよ。私はどこにだって行くことができる。つまり、ノープロブレムさ!」といった具合にです。 この方法は、私が、マッキンゼーという大きなコンサルティング会社で働いていた経験と密接に関係しています。当時の私は、プランBについて、何ひとつ知りませんでした。その存在は知っていても、それがどう機能するかまでは分かっていなかったのです。つまり、当時の私は、いかなるオプションも持っていなかったということです。むしろ、仕事がなくなったらどうしようという認識を持ったことで、線の内側に対する色付けのみが上達していきました。できるコンサルタントとして、評価が高まる一方で、線の外側にはまったく着手していませんでした。未着手だったというより、どうやって塗ればいいのか分かっていませんでした。プランBという考え方は、あなたにとって、とても重要なものになるとご理解いただけましたでしょうか。 本当の力を持つ瞬間のことをお伝えするために、2、3年前、ある人からもらったメールのことをお話したいと思います。それは、今まさに私が言おうとしていることを、端的なセンテンスでまとめ上げられています。そこには、「自分自身を裏切るくらいなら、むしろ解雇されたほうがいい」と書いてありました。つまり、あなたにこの心境が訪れた時、あなたは本当にパワフルになれるのです。 最後になりますが、組織には心底うんざりしていて、もう我慢できずに、辞めようとしていた人たちとの会話を紹介したいと思います。「解雇されるくらいなら、自分のほうから辞めてやる」と、彼らは口を揃えて話していたのが印象的でした。どちらにしても組織から去ることに変わりはなく、そこにあったのは、彼ら本人のエゴをどう納得させるかだけの問題でした。あなたが本当に辞めてもいいと思うのなら、組織にいるうちに準備を始めるべきです。あなたが、すでに組織にいない人間として、今の環境を使って実験を始めるのです。あなたにとって最悪のケースは、何の準備もできていない状態で解雇されることです。最も良いケースは、あなたが抱えきれないほどの「楽しみ」を抱えながら働いていることです。その在り方を習得するだけで、組織にいながらにしても、キャリアを開花させ、素晴らしい人脈を築いていくことが可能になります。いつ辞めても生きていけると思って働くのと、そこに留まるしか選択肢がないのとでは、あなたのキャリアはまったく異なってくるはずです。逆に、もし、本気で残りたいと思うのなら、2年後に解雇されると想定を立て、そのための準備に入るのです。そうすれば、そうでない場合と比べて、その間、あなたはとてつもない量の学びを得ることになるでしょう。そうなれば、あなたは新しいタイプのマネージャーとして、周りからの評価もうなぎ上りになること間違いありません。あなたはきっと、組織の内側とは違った別の顔を組織の外に確立していることでしょう。そこまでいけば、多少は名が知れたことで、次のキャリアの扉も開かれているはずです。その一方で、組織にうんざりしたという理由で今辞めても、チャンスの扉は閉じたままです。おそらく、今の不平がいっぱいつまった組織とよく似た別の組織に流れ着くだけです。私が言わんとしていることは、今はいつ辞めてもいいと思って、困る前に多くの検討をやっておいたほうがいいということです。最後に、その逆を聞きます。あなたがあなたの組織に留まっている理由は何ですか?あなたはあなたが望む姿に今の組織を変えることができますか? ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【7.1】CEOがいない組織(What you can do when the CEO is not on board)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/71.html ■翻訳メモ 今回から何回かに別けて、「CEOがいない組織」をテーマに話していこうと思います。したがって、あなたがそのCEOではないということを含めて、その組織にはCEOたる権限を持った人はいないという仮定で話します。それは、CEOになるための出世レースがない世界ということでもあります。そもそも、それに興味がない人にとっては、元々存在しないものかもしれませんが。そして、これを視ているあなたは、何らかの権限を持っているチームを率いているマネージャーであると仮定します。しかし、あなたは組織のトップではありません。そういった仮定のもとで始めていきたいと思います。 まずは、私が『ティール組織』の本に書いた、飛躍を遂げる組織の持つ2つの必要条件が何であったかを思い出してみてください。1つは、CEOと取締役会が「セルフマネジメント」への移行を積極的に推進しているということでした。そして2つ目は、取締役会やオーナーも、その変化に対して恐れをいだいていないか、もしくは、少なくとも、それを邪魔しようとしていないということでした。 組織がシフトしていくためのそれらの条件は、向こう数年間は有効だと思っています。一部のCEOは、「セルフマネジメント」への移行を、テストケースとして一部の部署から徐々に始めていくと言って、それこそが成功の秘訣だなどと言っていますが、これはまったく本質が分かっていない人の言葉です。何人もの人がこの方法に希望を持っているそうですが、私はそのやり方でうまくいったというのを聞いたことがありません。その理由は、今ここで話している「セルフマネジメント」は、単に新しい管理ツールのセット仕様ではないからです。「パワー」についての考え方、「ホールネス」と「パーパス」といった基盤となる考え方は、従来の何ものとも全く異なっているからです。もし、表面的にうまくいったように見えたとしても、見渡す世界が異なるのであれば、それはまったく奇妙な産物であるとしか言いようがありません。それはきっと、あなたにとっても受け入れ難いものであるはずです。 私はよく人から、「あなたは自分の本をCEOたちに売りつけているのですか?」などと尋ねられることがあります。本を売りつけないまでも、しっかりしたコンサルフィーをとって、私は儲かる一方なのだと。私はロジカルな説明によってそういうことが成り立つのは不可能だと思いますし、また、そんなことを試したこともありません。そして、そのように、儲けることが成功だとも思っていません。私の関心は、飽くまで、ある一人のCEOが、あるポイントから別のポイントに成長して、新たなパースペクティブを獲得するといったところにあります。そう表現すると、一見、私は、機械を構成するパーツの一部として人を見ている機械論者のように感じるかもしれませんが、そうではなく、組織を一つの生命体として見ているのです。人をセットアップされた機能としてではなく、出現する能力として見ている点で、まったく異なるのです。それは「エゴ」をチェックする能力と言い換えてもいいでしょう。それは、人生の大きな困難を経験した後に起こる人間性の大きな変化であったり、それを乗り越えた時の、まるで別人かと思わせるような成長であったりといったものです。私が金儲けのためにやっているという人には、理屈を提示しただけで誰かが成長を遂げるのですか、と逆に聞いてみたいものです。それが本音です。そうでないのならば、私は自分が受け入れられないような合理的な宣伝文句を書いて、もっと儲けているでしょう。 もし、オレンジのパースペクティブの組織で、CEOがいない世界を作ろうとするなら、あなたにできる最大のことは、自分のチーム、あるいは、組織全体が、健康になるのをサポートすることになります。このオレンジのパースペクティブを持つ機械論的な組織は、それ自体、非常に息苦しく、恐怖に基づいた政治を行っているようであり、また、官僚的もありますが、中には、目標管理を行うことによって多くの自由度を持った組織もあります。したがって、あなたはかなりの確率で、信頼に基づいたオレンジの組織を作ることができるということです。そのためには、それが組織にとって「健康」か「不健康」かを、あらゆる場面で、あなたが見極めていかなければなりません。組織全体のことを考えるのなら、それがあなたにできる最善の策だということです。それはCEOやトップが旗を振ってまったく新しいものに移行するという垂直方向の転換ではなく、不健康な状態から健康な状態へと移る水平方向の転換と言えます。経営者というものは、本来、彼らが受け入れる気がないものは、理解しようとさえしない生き物です。 私は、私の提案が、あなたをけっして満足させるものではないことを知って、それでもあえて提案したいと思います。つまり、私は、「組織全体を変革しなさい」とは言ってはいないのです。あなたは、あなたのチームなど、あなたにできるところで、いくつかのティールのプラクティスを取り入れればいいということです。とにかく、先に進むことが重要です。こう言えば納得してもらえるかもしれませんが、何人かの人に対しては、いきなり「組織全体で」と言っても、それは通用しないことをあなたは知っているはずです。それよりも、自分はかつての古い組織におけるマネージャーではないと、あなた自身が表明するところに新しい何かがあるのです。自分のできるところから、とにかく始めることが先決だということです。そんなことをやっても、システム全体は何も変わらないよ、とあなたは反論するかもしれませんが、進化とは不思議なもので、自己組織化は常に部分から始まるものです。それは、おそらく、あなたのプラクティスにかかわった、数人が起点となるはずです。10年かかるかどうか分かりませんが、出世レースに燃える人がほぼ絶滅した時点が本当のスタートになると思います。10年という言葉を聞いて、あなたはすぐに、もしくはもう今の段階で、すでに「出世レース」は存在しないと言うかもしれませんが、実際には、その状況はかなり限られているのかもしれません。「出世」というパースペクティブはそれほど根深いものです。また一部の人は、あなたがやろうとしていることは公平性を欠くと言うかもしれません。なぜなら、「出世レース」は、一部の人にとっては働く上での大きなモチベーションをなりうるからです。仮に3年間、ティールのプラクティスを続けてみてください、「出世レース」がないと不平を言う人はいなくなっているでしょう。一部はその状況を飲み込むことができ、飲み込むことができなかった別の一部は、すでにほかの組織に移っているはずだからです。いずれにせよ、そこでの価値観の相違は、遅かれ早かれ、同じ組織で共に働くことを拒絶することになるはずです。私はそういった例をたくさん見てきました。あなたのチームのメンバーが皆大きな希望を持っていて、そしてチーム自体は、オープンな運営を続けていたなら、それに不平を言う人たちは、不満がエスカレートして、そのほとんどは自分から辞めていってしまうものです。中にはその「希望」に対してさえ、つまり、組織において「希望」を持つこと自体が不公平だと言う人もいます。そのような環境で働くことはできないと言う人には、手を振って見送る以外、あなたにできることはないのです。ひょっとしたら、あなたのチームの多くのメンバーが去ってしまうかもしれません。キャリアで花を咲かそうと思ったら、彼らにとっては、別の場所の方が向いているのだと思います。彼らは正当な理由があって去っていくのです。 私の提案を聞いて、次に取る行動を選択するのはあなたです。いきなり組織全体を変えようとすることは不可能と悟って、自分の領域でなんとかしたいと思えるかどうかということです。あなたの答えがイエスなら、それを行う2つの方法があるので、それらはこの後の2つのビデオの中で紹介しようと思います。ちなみに、経営陣との交渉は常にオープンであれ、というものと、何か新しいことを始める時、あなたのチームはある程度の保護下にある最高の実験室である、という2つです。それに付け加えるとしたら、あなたは、すぐに始めるべきで、そしてあなたはその変化を常に俯瞰する姿勢が必要といったことです。しかし、今言った2つのことを話す前に、あなたにはとても個人的な質問をさせてもらう必要があります。ただ、今回はここで終了で、その質問も次のビデオにしたいと思います。今までに何度もした質問ですが、あなたはどこまで行きたいのですか、という種の質問が待っています。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1