【7.6】セルフマネジメント(自主経営)に向けたアイデア(Some ideas: self-management)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/76.html

■翻訳メモ
今回のテーマは、組織の残りの部分を従来の階層型にしたままで、1つの部署、あるいは、あなたが担当する複数の部署だけに限って、「セルフマネジメント」を導入する必要が生じた場合の導入方法です。これにかんしては、いくつか、良いアイデアがあります。

1つ目は、「明日から『セルフマネジメント』を始めるよ」や、もしくは、「階層を分解しないままで始めるよ」と言って開始するやり方です。この宣言は、闘牛における「赤いマント」の効果を発揮します。あなたの振る「赤いマント」が組織のメンバーへの刺激になります。あなたにとっては、「たいへんなこと」だと言えます。あなたは、途端に忙しくなり、やるべきことが山のように積み上がっていくはずです。

進めるにあたって、マネージャーの「役割」に例にとってみましょう。「セルフマネジメント」では、「役割」は1つの箱に入れて単体として扱われることを思い出してください。つまり、マネージャーの仕事は、どんな「役割」に分けられるか検討を始めます。マネージャーの仕事を見直すには、チームとともに定義から始めて、それらをマネージャーから、どれだけ手離れさせることができるか検討してきます。あなたの下にマネージャーがいるのなら、あなたがコンピューターに向かい、同じように、彼らの「役割」を再定義します。そして、その後、それらをほかの人へと分解していきます。基本的には、誰がどのような「役割」を欲しがっているかは本人の意思を尊重し、介入はできるだけしないようにします。あるいは、マネージャーの交代時にも同じことを行います。マネージャーの仕事から、複数の「役割」を再定義して、それらの引き受け先を決めていきます。そうやって「役割」を明確化しておくと、人事考課の際には、1on1の面談の代わりに、複数のメンバー間での対話によって評価を付けることが可能になります。マネージャー抜きで、それを行うこともできます。きっとその方があなたはそれぞれのメンバーの成長を感じとりやすいはずです。また、評価に複数の視点が加わることによって、メンバーの習熟度が高まる効果があります。そして、パフォーマンス管理の観点からも、チームメンバーの結果へのコミットメントが高まる効果があります。

私は以前のビデオで、ベルギーの運輸省の事例を紹介しました。彼らは巧みに工夫することによって、すべてのチームが、以前より多くの自在性を持てるようになりました。彼らは、どんな結果を得たら「誇り」と感じるのかを定義しました。しかし、もし、その結果を手にした人が、過度のエンゲージメントを好まない場合、アドバイスプロセスを利用することができました。それは明確な方法であるとともに、新しい強力な会議体でもあるのです。それは、ソシオクラシーやホラクラシーにおける戦術会議や統治会議といった会議体に近い形態ものです。また、「ベースキャンプ」や「スラック」といった、個人間のチャット機能を持ったツールを導入すれば、自分から情報を取りにいく必要のあった古い習慣を過去に追いやり、メンバー間のコミュニケーションがより簡単になります。アジャイル的な実践もできるようになります。少し走って振り返ってを繰り返せば、チームの全員とチームの「目的」を共同作業で作っていくことも可能になってきます。これらすべては、奇妙でも奇抜でもありません。そして、こういったことの良いところは、得意先など外の世界から見たとき、奇妙な感覚を与えないというところにあります。最初の段階では、まだ組織は明確な階層構造を残したままです。各マネージャーも、依然として、明確な「説明責任」を持ったままです。その時点で、なんら奇妙なことは存在しません。もっとも、これからマネージャーの仕事を分解して、多くの「役割」を定義していく必要があるのですが、この時点ではまだマネージャーも従来の姿で存在しています。その時点で、マネージャーの仕事の一部をすでに切り分けていたとしても、組織図上は、まだマネージャーのポジションが存在します。ただし、その組織図に誰も違和感を抱かないのではあれば、その方が奇妙といえます。繰り返しになりますが、その段階まで来れば、プロジェクトに名前を付けてあげてください。その際は、くれぐれも奇をてらわずに、何をやろうとしているのか直感的に分かる名前のほうが良いと思います。そこまでくれば、おそらく、あらゆる種類のエネルギーが沸き立ってくるのを感じられるようになると思います。すべてが楽しく、スムーズに運ぶ瞬間がやってくるのです。そして、メンバーのエンゲージメントはますます高まり、ポジティブな話題が続いて、得意先など外の世界にもそれらは広がっていくことでしょう。あなたのやろうとしていることに異を唱える人はもう誰もいないはずです。

■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。