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「知識は主観的な解釈として顔の見える関係を通じて流通する」という仮説を実証するための個人的な実験です。詳細はこちらの記事を御覧ください→ https://note.com/enf…
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#組織論

自然経営 ダイヤモンドメディアが開拓した次世代ティール組織(内外出版社)

今さらながら、という気もするけど、そういえば上げていなかった一冊。 自然(じねん)経営という言葉は、著者の武井さんとの縁がなければ生まれなかった。 この本そのものは、天外塾の中で武井さんが語っている内容が元になっている。天外さんの発言や解説があってこそ成り立っているし、自分もなぜか少しだけ登場している(書籍に自分の名前がちゃんと登場したのはこれが初めて…) 「組織を生き物のように捉える」という着想そのものは、武井さんと初めて組織論を深く話すようになったときから、全く変わっ

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力(英治出版)

タイトルの通りなんだけど、マネジメントとは「小さな進捗を示すこと」だということを示している一冊。 「マネジメント」の本は読まなくなったし、残っている本もほとんど無い。その中でも、数限られる手元にあった一冊。 (あとはドラッカーの本はいくつか残ってるけど、これは"経営"という意味でのmanagementだし、わりと思想書に近い…) 組織が自律的になる、境界線が流動的になる、という流れは強まっていく。その中だと、適度な距離感のマイルストーンが設定され、各々がそこに向けてエネル

国をつくるという仕事(英治出版)

折に触れて読み返している一冊。そのたびに背筋が伸びる。 自分が「組織」について語るときは、無意識に「営利企業」のことを想定していることが多い。 比べるのもおこがましいが、「組織」を本当に作る/作り変えることに向き合うならば、それは「国」を1つ丸ごと作ることとも等しいくらいの覚悟・信念・熱量を持っていなければならない、と深く考えさせられた。 キングダムの中で「法とはその国や国民にこうあってほしいという"願い"である」というようなセリフがあった。感覚としては同じだ。 著者の

複雑系組織論 多様性・相互作用・淘汰のメカニズム(ダイヤモンド社)

原著は1999年、日本語訳は2003年の出版。軽く20年前。 自分が2006年に企業研修に関わる仕事を始めた頃。日本の大企業では、経営幹部にMBAプログラムを、新入社員にはロジカルシンキングを学ばせるのが流行りだった。 今から考えてみれば、これらは機械的なパラダイムに基づいた組織論が世間一般まで普及したことの表れ。ここ最近になってティール組織が大流行するのも、同じように、20年前から示されていた方向が現実に実装されてきたこと、という捉え方ができる。 この本では、副題のとお

常若マネジメント 日本人の日本人による日本人のための経営思想(みらいパブリッシング)

ふらっと本屋に入る、という時間は、今でもとても大切にしている。 どれだけamazonでone-clickで買うことが増えても、どこを探せばいいか分からないほど、圧倒的な量の本が目の前に広がっていてこそ、偶然の出会いがある。 この本も、吉祥寺の紀伊國屋書店に行かなかったらきっと、出会うことはなかった。 「常若」の読み方が、背表紙を見たときには分からなかった。 それでも、その漢字の並びに惹かれたのと「日本人の日本人による日本人のための経営思想」という副題を目にして、これはいま

新訳 科学的管理法(ダイヤモンド社)

現在の機械的なパラダイムにおける「マネジメント」はこの人から始まったと言える。この本を読むと、当時の時代背景とか、そのときにどんな想いでフレデリック・テイラーが科学的管理法と呼ばれる体系を作ったかが垣間見える。 当時は、職人たちがそれぞれのやり方で仕事をしていた。その中では、決められた以上に働くことは「他の人の明日の仕事を奪う」ことに他ならなかった。その中では、決められた範囲の仕事をやるインセンティブが働くし、生産性を上げようという発想には至らない。 また、当時の

TEAM OF TEAMS(日経BP)

個人的な仮説として、 「組織の最小単位を「個人」から「チーム」に置き換えることが、個人の自律性を高めつつ、かつ全体としての成果を最大化しやすくするアプローチではないか?」 と思っていたので、この本で書かれていることがまさに、という内容だった。 「個人」の力を伸ばすのではなく、「チーム」を基本単位として組成し、その関係性を強化する。事例で出てくるアメリカ軍の中で、精神的にも肉体的にもギリギリまで追い詰められるboot-campの中で、最後の拠り所が「自分」である人は脱落し、「

組織――「動ける組織」のデザイン25のポイント(ダイヤモンド社)

元マッキンゼー東京支社長でもあり、東大EMPの立ち上げを推進した横山禎徳氏の著作。 組織デザインは「身体知」である、という前提に立っているのが非常に納得感がある。学問としての組織論でもないし、組織図をいじることを言ってるのでもなく、組織を動かす仕組みや仕掛けなどが複合的に組み合わされた「高度スキル」として組織デザインを捉えている。 ・組織を変える目的は人の行動を変えること ・組織は「意思決定」「業績モニター」「人材育成」の3つのシステムが肝 ・組織は動的なシステムという前