「風力発電の真実」というフェイクニュース

 宮城の加美町で風力発電事業計画に反対している地元の団体が主催した講演会の動画がYouTubeに上がっているが、以前にも指摘したように、講演者は風力発電をめぐる国内外の噂やデマ、つくり話をもとに不安や恐怖、憎悪をずっと煽り続けてきた人物。その様子は「息を吐くように嘘をつく」という表現以外に適当な言葉が見つからない程、酷い。

 このご時世「風力発電は役に立たない」などとデタラメを主張すれば、今回のように質疑応答の際に参加者からも疑念の眼差しが向けられたり、反論の声が上がって当然。各地の反対派にとっては都合が良くても、風力や太陽光を否定して小水力や地熱だけでやっていけるわけがないのは周知の事実であり、地域住民を余りにも馬鹿にし過ぎている。

 いくつかファクトチェックをしておくと、ピアポントの「風車病」は疑似科学で、ノセボ効果は「気のせい」ではなくて「病は気から」だし、豪ウォータールーの「ゴーストタウン」は典型的なつくり話で、風車と野生動物の激増や凶暴化との関連を示す調査報告は無く、洋上風力の魚礁は国内だと五島列島で確認済。こんな調子で、本人の話の嘘を見破ることは出来る。

 日本の電力消費は減少傾向だが僅かで、7、8割が火力依存では温室効果ガスが減るはずもない。三重の尾鷲火力の廃止の主な理由は石油火力の老朽化。「脱炭素」化が進む世界で風力や太陽光など再エネが安くなった現在、化石燃料やウランの経済性が良くなることはなく、今後は対策を講じない国や企業には炭素税や取引停止に加え、若者中心の気候運動による訴訟が待っている。

 気候危機や生態系危機の要因は、社会的属性の上から下まで、右や左あるいは真ん中だろうが何だろうが、温暖化の事実を否定したり再エネ転換を遅らせる勢力や構造、報道や教育にある。その意味で「風車病」は「温暖化は嘘」同様に悪質。少子高齢化真っ只中、ごく一部の中高年が牛耳る過疎地の反対運動を含め、再エネ転換が思うように進まない日本に未来などあるの?


参考:

風力発電の真実 (録画) 加美町の未来を守る会
https://www.youtube.com/watch?v=Z46BV3MpWxM

グレタさんらスウェーデン政府を提訴、適切な気候対策講じていない
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-25/RLWSCLDWX2PS01


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