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1741市区町村のエネルギーデータベースを公開しました|地域エネルギー需給データ

地域エネルギー需給データベースのリンク


はじめまして!

東北大学工学部の中田研究室に所属している学部4年の直井宏樹です。
研究室で作成している地域エネルギー需給データベースを紹介いたします。
※本サイトは随時更新を行っているため、デザインが変更される可能性がございます。

東北大学 工学研究科 中田研究室の紹介

研究テーマ

私たちの研究室では、持続可能な社会へ向けたエネルギーシステムの設計を行っています。具体的には研究対象として、太陽光発電や風力発電のポテンシャルの推定セクターカップリングを考慮したエネルギーシステム(電力だけではなく他のエネルギーキャリアも用いて、需要と供給を調整するエネルギーシステム)、電力とICT領域を統合したエネルギーシステムの設計等の研究を進めています。

研究室は宮城県仙台市に立地する東北大学の青葉山キャンパスにあり、研究室が8階に立地していることから、天気が良い日には仙台市を一望できます。

地域エネルギー需給データベースの見方

1. コンテンツの紹介

地域エネルギー需給データベースでは、以下のコンテンツを公開しています。

エネルギーフロー 
地域内のエネルギー需給構造(エネルギーシステム)の全体像を可視化した図になります。

つくば市のエネルギーフロー図

未来エネルギーシミュレーター
エネルギーシステムの設計をシミュレーションをすることができます。パラメータを変えることにより、将来のエネルギー構成やエネルギー自給率、二酸化炭素排出量などを確認できます。なお、エネルギーフロー図には、システムを簡潔に示した簡易版と詳細版があります。

シミュレーションを行っている中で、再生可能エネルギー導入量を増やしたとしても、二酸化炭素の排出量が減少しないことがあります。そのような場合、カーボンフリーな電力を十分に使い切れていない可能性があります。カーボンフリーな電力を使い切るためには、電力需要側のエネルギー消費を変える必要があります。具体的には電化を進める必要があります。
シミュレーションにおいては電化を進めることで、地域内のカーボンフリーな電力を十分に活用することができるようになります。また、電化を進めることで二酸化炭素排出を抑えることができるようになるだけではなく、他地域への依存も減少します。つまり、エネルギー資源を起点とした経済活動が地域内で循環するようになるのです。
このように、エネルギーシステムを考えるにあたり、再生可能エネルギーの導入や電化の促進等のアプローチはもちろん、二酸化炭素排出量や電力価格、経済収支などの論点も多様に存在するのです。

CO2排出量や発電単価なども確認できます

エネルギー需給マップ
エネルギー自給率などのデータを地図上に可視化しました。

エネルギー需給マップ

エネルギー需要の地域特性
エネルギー需要の地域特性図とは、合計最終エネルギー消費量における3つの部門の構成割合を市区町村別に3軸で整理をした散布図です。3つの部門とは、①産業部門、②業務・家庭部門、③運輸部門を示しています。エネルギー消費部門の構成により、地域特性を分類することができます。分散図において円の大きさは、エネルギー需要の規模を示しています。

エネルギー需要の地域特性を示した図

再生可能エネルギー発電ポテンシャル
太陽光発電と風力発電を対象に、1時間毎の発電量変化を動画として可視化しました。時間の変動性や地域の偏在性が確認できます。

再生可能エネルギー発電ポテンシャル

2. 詳細が気になる方へ

推定手法などの詳細を把握されたい方は、マニュアルをご確認ください。

3. おすすめの表示方法

サイト内のコンテンツ量の増加に伴い、フォントが小さくなっております。文字がわかりにくい場合には、ブラウザ機能の1つである、拡大・縮小をお勧めいたします。WindowsでGoogle Chromeを使用している場合には、「ctrl」+「+」を押すと画面を拡大でき、「ctrl」+「-」で縮小できます。


エネルギー需給マップ

私が実装を担当したエネルギー需給マップをご紹介します。本データベースでは、

を可視化しています。

実装を担当した 再生可能エネルギー導入ポテンシャル の地図

1. それぞれのマップについて

再生可能エネルギー導入ポテンシャル
再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを、市区町村解像度で色分けし可視化しました。再生可能エネルギー導入ポテンシャルとは、設置可能面積や平均風速などから理論的に算出することができるエネルギー資源量に対して、設置の可否を反映したエネルギー資源量になります。つまり、発電施設を設置することが可能な範囲での発電ポテンシャルとなります。

・エネルギー需要
市区町村別の最終エネルギー消費量を可視化しました。最終エネルギー消費量とは、産業や家庭などの最終需要家によって消費されたエネルギー量になります。

市区町村別のエネルギー需要

・エネルギー自給率
エネルギー自給率は、地域内の最終エネルギー消費量が地域内資源によってどれだけ賄われているかを表す指標であり、 下式により算出しました。

$$
エネルギー自給率 [\%] = \frac{地域内エネルギー供給量 [\rm{TJ}] }{最終エネルギー消費量 [\rm{TJ}]} \times 100
$$

市区町村別のエネルギー自給率

・再生可能エネルギー移輸出可能ポテンシャル
本サイトでは再生可能エネルギー移輸出可能ポテンシャルを、再生可能エネルギー導入ポテンシャルから最終エネルギー消費量を差し引いた値と定義しました。市区町村内にある再生可能エネルギーポテンシャルと消費量のバランスが示されています。

市区町村別の再生可能エネルギー移輸出可能ポテンシャル

2. マップの作成について

本サイトの地図コンテンツの作成は、本研究室に所属している博士課程後期の小野寺弘晃さん(データの作成)と同研究室に所属する学部4年の直井宏樹(地図を用いたデータの可視化)で行いました。なお、地図コンテンツの制作にはkepler.glを使用しております。

お問い合わせ

地域エネルギー需給データベースに関するお問い合わせの際には、データベースに記載されているフォームよりご連絡ください。


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