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大石明弘
2024年5月19日 20:23
19997年、エベレスト北面、標高7000m。 猛吹雪の中、野口健と田附秀起は極限状態で、登高を続けていた。 平地の半分以下の低酸素に加え、体感温度はマイナス20度を下回る世界。 比較的平坦なところで、ふたりが腰を下ろすと、田附は意を決して野口にこう言った。「僕は下ります……。健ちゃん、絶対死なないでよ。」 そして、息を切らせながら、こう続けた。「生きて帰ってくれば、次が、あるじゃん