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乃南アサ『涙』(毎日読書メモ(400))

乃南アサさんって最近はどうされているのだろう。Wikipediaで見ると、2010年以降、作品の発表頻度ががくっと下がっている。
と思ったが、Twitterでは活動されているし、新刊も出ているようだ(Wikipediaが更新されていないだけってことか)。
『凍える牙』で直木賞受賞されたのが1996年。20世紀だったか...。
そんなに沢山の作品は読んでいないのだが、筆致の強さが印象的。
そしてこの作品の教訓は、覚せい剤って恐ろしい、ということでした。

帰りの電車の中で乃南アサ『涙』(上下・新潮文庫)を読了。なんかドラマ「逃亡者」のような、でも最後まで読むとじわじわ悲しくなる話。巻末におすぎのエッセイが付いていたが、この時代に既に生を受けていた人は、その時代の自分と小説の中で描かれる世相を重ね合わせながら読んでしまうようだ。この時代の時点でものごころも付いていなかったわたしでさえ、この時代を思って読める...(でも若い人はどうなる?)。一気に引き込まれる、勢いのある小説だった。運のいい偶然が重なりすぎ、という突っこみもあるし、主人公がこれほどまでに婚約者への愛を尽くせるのもやや現実感がない感じだが、それが最後の悲しい感動を減ずるものではない。(2004年7月の日記より)

#読書 #読書感想文 #乃南アサ #涙 #新潮文庫 #凍える牙

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