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毎日読書メモ(200)やかまし村についてなど

スティーグ・ラーソン『ミレニアム』シリーズを読んで、近年のスウェーデンの暗い面を見せられた感じがして(小説は勿論面白かったのだが)、口直し的にアストリッド・リンドグレーン『やかまし村の子どもたち』『やかまし村の春・夏・秋・冬』『やかまし村はいつもにぎやか』(大塚勇三訳、岩波少年文庫)を読んだときの記録。2013年1月の読書記録より。
『ミレニアム』は、朝日新聞の書評をきっかけに読んでみて、『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』『ミレニアム2 火と戯れる女』『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』は一気に読んだが、ラーソンの死後ダヴィド・ラーゲルクランツが書き継いだ4,5,6は未読。

『やかまし村の子どもたち』
『ミレニアム』を読んだ後、わたしが知っていた懐かしい姿のスウェーデン(って、リアルには行ったことないよ、本の中で知っていたスウェーデンね)をもう一度見たくなり、借りてきた。たった3軒の農家で出来ているやかまし村。あらためて読むと、大人達が一日中熱心に働いていることがよくわかる。村には電話すらなく、自動車もなく、徒歩或いは馬車(冬ならそり)で、どこへでも行く。行動範囲は狭いが、保有する土地は広く、季節のメリハリの中、子ども達は自由に想像力を働かせ、のびのび生きている。なんという至福!

『やかまし村の春・夏・秋・冬』
昔何回も何回も読んだので、物語の展開も何もかも即座に思い出せるのだが、リーサとアンナの買い物の話とか、読みながら、声に出して笑ってしまった。巻末に最近の作家がつけた解説がついていて、リンドグレンが、丁寧に子どもの気持ちを追っているさまを説明してくれていて、そうそう、(ほうほう、そうだ、そうだ)子どもが思ったそのままを速記したようなこの表現がリンドグレンの魅力なんだな、とあらためて感じた。

『やかまし村はいつもにぎやか』
春夏秋冬に出てきた、リーサとアンナが人をしあわせにしようとする話とか、この本に出てくる、小さなケルスティンの面倒をみようとする話を読んでいると、子どもが「かくあるべき」とかたくなに思ってしまい、それで物事がうまく回らなくなる様子を喜劇的に描いているところなんか、リンドグレンの真骨頂なんだろうな、と思う。じゃがいも掘りのため学校から休暇を貰ったり、自分たちのさくらんぼを売りに行って現金収入を得たり、生活の中で、産業とか経済とかをきちんと学びながら成長している子ども達のたくましさ、この辺は大人になって再読したことでわかった。

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