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毎日読書メモ(248)歌野正午メモ

歌野正午にはまっていた頃に、感想メモをまとめていたのを見つけたのでそのまま再掲(2005年12月の記録)。

友達に借りていた『正月十一日、鏡殺し』(講談社文庫)を読んだ。短編集なんだけど、どれもあっと驚かされる仕掛けの施されたミステリー。

歌野晶午の名前を一気に有名にしたのは、2003年「このミステリーがすごい!」で年間1位に選ばれた『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫)。わたしも初めて読んだのはこの本。

これはやられた! 読者をけむに巻く感じが、ちょっと筒井康隆『ロートレック荘事件』(新潮文庫)と似ているかなー、と思ったが(最後に焦って、ページを戻して、自分がどこで躓いたかを探してしまうところとか)、でもパクリとかそういうのではなく、小説の仕掛けを、最後で満喫できた読書であった(但し受け止め方は色々で、そういう読後感を嫌う人もいるらしい、ということがamazonのレビューを読んでいるとわかる)。

このドライブ感が味わいたくて、次々と歌野晶午を読んでみた。どれも、読書の楽しみを味わわせてくれる好著。

『女王様と私』(角川文庫)、当時の最新刊。現実世界の陰惨な事件を思い出させてちょっと辛い...。

『さらわれたい女』(角川文庫)、藪の中、みたいな、視点くるくる小説。

『ブードゥー・チャイルド』(角川文庫)、過去世とか、インターネットとか、色んな要素をえいやっと、理屈でまとめる、一瞬トンデモ本にも見えるミステリー。へいへいほー。

『放浪探偵と七つの殺人』(講談社文庫)、問題篇と回答篇を分けて載せ、読者にも考える時間を与えようとしている趣向だが、わたしは結局、問題篇読んですぐ回答篇を読んでしまう無粋な読者に。わたしにもわかった謎もあれば、全然わからないのもあり。バラエティに富んでいて楽しく読む(2004年6月の日記より)。

『ROMMY 越境者の夢』(講談社文庫)、ミステリーは殺人の謎解きだけではない! あっと驚いた。言われちゃえばそうなんだけど...みたいな。

『世界の終わり、あるいは始まり』(角川文庫)、入間・飯能近辺で連続して起こった小学生誘拐殺害事件の、あっと驚く犯人と家族のねじれた苦悩、それをたたみかけるように描く、展開の読めない小説。相変わらず、歌野晶午の小説は、作中人物に対してではなく、完全に読者に対して謎解きの挑戦をしている。わかって読んでいても、先が全然読めない。そして、タイトルは、どんどん悲惨になっていく物語に、最後に希望の光を差し込ませる、ひとつのヒントだった。ふううん(2004年8月の日記より)。

『家守』(光文社文庫)、ちょっと既視感のある話もあったが、それぞれにつながりのないミステリーがぱらぱらと収められている。

『ジェシカが駆け抜けた七年間について』(角川文庫)、歌野晶午は、で、作家が仕掛けたどういうわなで、そういう謎がかけられるの?、ってのが気になるので(読者にとっては謎でも作中人物にとっては謎でないことがキーとなる)、最後にどうやって読者に種明かししてくれるかが楽しみで必死に先を急いでしまうのだった。いやー、色んなこと考えるよねぇ(2004年6月の日記より)。

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