【丸岡CEOが語る】ENECHANGEを知る エネルギーテック企業編
ENECHANGE(エネチェンジ)は、「エネルギーの未来をつくる」をMissionに掲げ、デジタル技術を駆使して脱炭素社会の実現を目指すエネルギーテック企業です。
現在、ENECHANGEは「プラットフォーム事業」「EV充電事業」「エネルギーデータ事業」の3つの柱を軸に、日本のエネルギー産業におけるグリーントランスフォーメーション(GX)を推進しています。また、ENECHANGEは2024年9月、国連が主導する「24/7 Carbon Free Energy Compact」に加盟しました。カーボンニュートラル社会の実現に向け、電力の脱炭素化を目指すことを目的としています。
本記事では、ENECHANGEが「エネルギーテック企業」として、どのように日本のエネルギー課題解決に挑んでいるのか。代表取締役CEOの丸岡さんと、エネルギーデータ事業を所掌するエネルギークラウド事業部 副事業部長の水本さんが、エネルギーテックの可能性と脱炭素社会への展望を語り合います。
気候変動を止めるには?エネルギー産業で進める脱炭素の挑戦
――東京大学の大学院で気候変動やエネルギー政策を専門に研究した経歴を持つ水本さん。まずは、地球温暖化の現状について教えてください。
水本:産業革命(18世紀後半)以前からの気温上昇を+1.5℃以内に抑えないと、壊滅的な気候の変動が起きてしまい、地球上のあらゆる場所で人間の生活に影響が出ると言われています。今はまだ+1.5℃を超えていませんが、実際に気候の変動は起きています。東京では、年々夏の暑さが厳しくなり、世界でも台風や干ばつといった異常気象が起きています。気温上昇の影響が見えてきていますよね。
――たしかに、夏の猛暑や局地的な豪雨、冬場の雪不足など、日本だけでも1年に何度も異常気象のニュースを耳にします。
水本:実はもう産業革命の前と比べると+1.1℃まで気温上昇が進んでいて、温暖化の原因である温室効果ガスの排出を、世界全体で急激に減らしていくことが求められています。2015年のパリ協定ができたことによって、民間企業を中心に、脱炭素経営やサステナビリティ経営が社会的な義務になってきています。
――脱炭素社会の実現に向けて「待ったなし」の状況だからこそ、エネルギーテックの力が必要だということですか?
水本:日本の温室効果ガス排出量の約4割を占めるエネルギー産業において、ENECHANGEはサービスを提供しているわけなので、この分野で脱炭素を先行して進めていくというのは1つの社会的要請だと認識しています。
「24/7 CFE Compact」への加盟で示す 脱炭素社会への本気
――こうした中、ENECHANGEは2024年9月に「24/7 Carbon Free Energy Compact(以下「24/7 CFE Compact」)」への加盟を発表しました。加盟の理由を教えてください。
丸岡CEO:「脱炭素社会にコミットします」という姿勢を明確に示したかったことと、「24/7 CFE Compact」の理念に賛同していることが理由です。ENECHANGEは「エネルギーの未来をつくる」というMissionを掲げ、テクノロジーとエネルギーを融合させて課題を解決していくエネルギーテック企業です。日本の脱炭素化に向け、電力の切り替えや交通の電化をテクノロジーの観点から支援しています。ですから、「24/7 CFE Compact」の理念に深く共感し、行動で示すために加盟しました。
――国連主導の取り組みでもある「24/7 CFE Compact」に加盟することは難しいことだったのでしょうか?
水本:加盟自体は「24/7 CFE Compact」の理念や目標に賛同し、それを公表すれば参加できます。ただ、「言うは易く行うは難し」で、取り組みのコンセプトを実現するとなると話は別です。
「24/7 CFE Compact」の目指すところは、年間(24時間365日)を通じて、使用する全ての電力を再生可能エネルギーで補い、電力消費量と再エネ発電量を時間単位で完全に一致させることです。現在、世界の再エネ率は30%程度(※Energy Institute, Statistical Review of World Energy 2024)なので、24時間365日全ての電力消費を再エネで補うのはまだ現実的には難しい状況です。
――再エネ比率を向上させるために、エネルギー×テクノロジーはどんな場面で必要とされますか?
丸岡CEO:日本ではカーボンニュートラルに向けて電力システムのあり方が検討されており、今後は、再エネ比率が高まり、太陽光や蓄電池などの分散型電源が活用されていくことが期待されています。分散型電源が広まっていく中では、需要家側のリソースを制御していくことが肝となり、蓄電・放電の制御も含めたデマンドレスポンス(DR)の仕組みが重要となっていきます。それには双方向的なデータのやり取りが必要になってくるので、ますますデータやテクノロジーの役割が大きくなると考えています。
――エネルギーデータを活用するテクノロジーがあるから再エネが広がり、再エネが広がるからエネルギーテックがより重要になる。まさに、良い循環が生まれているんですね。
再生可能エネルギーと環境価値 「eValue-Platform」で目指す世界
――再エネ活用の重要な要素ともいえる「環境価値」について教えてください。
水本:そもそも、再エネでも火力でも原子力でも、発電すれば同じ「電気」になります。ただ、再エネで発電された電気には特別な付加価値があるとされていて、それが「環境価値」と呼ばれます。この環境価値は、企業が排出しているCO2の量と相殺するために利用されていて、環境価値を活用することで「より環境に配慮しています」という姿勢を対外的に示すことができるんです。社会的ニーズの高まりを受けて、ENECHANGEでは環境価値などを管理できるサービスとして「eValue-Platform」を提供しています。
――なるほど。でも、環境価値の活用は、本当の意味ではカーボンゼロに届かないのでは?
水本:その通り。環境価値がいっぱい増えるだけでは、実はあまり気候変動に対して影響がありません。今の日本では、昼間に太陽光発電で環境価値をいっぱい作り上げてたとしても、実は夜に使っている電気は、火力や他の発電によるものでCO2を排出しています。「24/7 CFE Compact」が目指すのは、昼間に使う電力は昼間の再エネ、夜に使う電力は夜に発電できる風力や水力の再エネで補っていくことです。
――「24/7 CFE Compact」が目指す世界と「eValue-Platform」のサービスはどのように結びつくのですか?
水本:「eValue-Platform」では環境価値の全体管理だけでなく、30分ごとの電力使用量と再エネの発電量を一つずつ突き合わせ、可能な限り一致させることもできます。これにより、夜間の再エネの発電量を増やすための技術開発や、太陽光で発電した電気を貯めて夜に使うための蓄電池の生産への投資が進む可能性があります。「24/7 CFE Compact」と目指す先は同じです。
エネルギーテックは「架け橋」 日本のエネルギー課題解決のカギ
――「24/7 CFE Compact」に加盟しましたが、ENECHANGEのビジネスの場は日本のエネルギー市場ですよね。
丸岡CEO:そうですね。エネルギーの課題は、やっぱりその自国で解決すべき問題なんですよ。たとえば、ChatGPTはアメリカで生まれたけど、すごく便利なツールとして世界中だれもが使えます。でも、エネルギーの問題はそういうわけにはいかなくて、海外で開発されたツールをそのまま日本に適応するのでは過不足が出てくる可能性があります。日本にあったエネルギーソリューションと、エネルギーマネジメントが必要です。だからこそ、ENECHANGEのようなエネルギーテック企業が、日本のエネルギーを自分たちで考え、取り組んでいく。これが重要だと考えています。
――日本のエネルギー課題を解決していくために、エネルギーテック企業としてやるべきことは何ですか?
水本:気候変動の緩和やCO2を削減するうえで、実は、すごく難しいテクノロジーは必要ありません。太陽光、風力、省エネルギー、EVのように、今あるものをみんながどんどん導入して、日常的に使えるような環境にしていくところが非常に重要です。今は一般消費者からちょっと遠いものや技術を、私たちENECHANGEが、いかにユーザー目線で使いやすいサービスを作っていけるかが大きなポイントだと思います。
丸岡CEO:「エネルギーテック」というと、「今までなかった大発見をしなきゃいけない」と捉えられるかもしれませんが、「今のテクノロジーをいかに広く使ってもらうか」が重要です。実際、2030年までに必要な温室効果ガスの削減について、約6~8割程度は既存のテクノロジーの活用によって削減可能という試算もあります。そのような中で、既存の技術と社会の架け橋になるのがエネルギーテックの使命だと思います。
――エネルギーテックの使命を果たすにあたり、ENECHANGEならではの強みを教えてください。
丸岡CEO:まず、「エネルギーの未来をつくる」というMissionに共感している優秀なメンバーが多いことだと思います。いい意味での「エネルギーオタク」で、パッションとテクノロジーの2つを併せ持った人たちが一堂に会しているというのが、ベースとしての強みだと思います。
そういうメンバーがいるからこそ、海外の事例まで視野を広げながら、日本に最適な技術の活用の仕方を日々考えて、腕の立つエンジニアが「いったん作って、やってみようよ」とアジャイルなマインドセットで、新たなソリューションを提供できるようにしている、このカルチャーを維持していることだと思います。
――気候変動の課題解決に向けてENECHANGEで働くことの魅力は何だと思いますか?
丸岡CEO:次の世代に自然豊かな日本を残したいと考えたときに、エネルギーの課題を避けて通ることはできません。このテーマに真っ向から取り組むのは、とても意義のある仕事だと感じます。
また、成長産業として注目されるエネルギーテック分野で、社会課題の解決に直結する仕事ができる点も大きなやりがいです。海外の知見を活かしながら、自分自身のスキルや視野を広げられる環境であることも魅力だと思います。
水本:気候変動や地球温暖化といった環境問題は、1990年代後半からずっと議論されてきましたが、いまだに解決には至っていません。私自身、この課題が『解けそうで解けない難問』であり、「とても難しいけど面白そう」と感じたことが気候変動に興味を持つきっかけでした。また、ENECHANGEには、こうした難問にビジネスとして挑戦できる環境が整っています。知的好奇心を刺激されながら、難しい課題に取り組む面白さを感じられる人にとって、とてもチャレンジングで魅力的な職場だと思います。
水本:ところで、丸岡さんはなんでEVを買おうと思ったんですか?
丸岡CEO:唐突ですね(笑)。責任ある市民として、交通の電化に参加しようと思ったからです。
水本:こういう丸岡さんみたいな人を、いかに増やしていくかというのも、我々のビジネスの肝な気がします。
丸岡CEO:ぜひ、「エネチェンジ」で再エネ比率の高い電気に切り替えて、さらに、EVに乗って「EV充電エネチェンジ」を利用して、一緒に脱炭素社会を作っていきましょう!
ENECHANGEでは「エネルギーの未来をつくる」のMissionを胸に、各事業部で多くの仲間が活躍しています。
興味をお持ちいただけた方は、ぜひ採用情報をご覧ください。