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3年半ぶりにミッション、バリューを見直しました!

こんにちは。三度の飯よりエネルギーに夢中な、代表の野澤です。
創業から5周年を迎える今年、enechainはコーポレートブランドのコアコンセプトを見直しました。コアコンセプトとは、ミッションやバリューなどの会社の理念のことです。


ミッション、バリュー見直しの背景

僕たちが目指すものや、enechainがどういうチームでありたいかは、根本のところでは創業時から変わりません。

創業時にはCreating a society in which anybody can buy and sell energyというミッションを掲げました。それから1年半が経ったタイミング (つまり今から3年半前) に、ミッションをBuilding energy markets coloring your lifeという現行のものに変更すると同時に、大切にする価値観としてバリューを策定しました。当時、社員数はまだ20名ほどでしたが、全員が向かう先や価値観をアラインするために、マネジメントで合宿を行うなど侃々諤々の議論を行いました。それが2020年の10月のことです。

早いものでそれから3年半近くが経ちました。enechainを取り巻く環境や事業のフェーズが良い意味で進化しつつあります。enechainで働く仲間も150名を超え、主力の電力では年間のGMVが1兆円を超えました。脱炭素事業の一環で、環境価値の取り扱いを始めました。一方で、2020年時点には手掛けていた2Cのサービス (Good Energy) をクローズしました。このような大きな変化の中で、僕自身、今のenechainの活動とミッションの間、あるいは増え続ける社員の中でバリューの解釈に少しずつズレが生じているのを感じていました。

そのため、シリーズBの資金調達を経て、これから事業展開を加速するこのタイミングで、今のenechainに合った会社の理念を再構築し、リブランディングをすることにしました。

新しいミッション、バリュー、そして...

百聞は一見にしかず。
というわけで、、、ドン!これがenechainの新しいブランドコンセプトです。

enechainの新しいブランドコンセプト

新しいenechainのブランドコンセプトは、ミッション、バリューに加えて、プリンシプルという「会社として大切にする価値観」を新たに作成しました。

  • ミッション:enechainの存在意義。なすべきこと、役割

  • プリンシプル:enechainが会社・組織として大切にする価値観

  • バリュー:enechainのメンバーに大切にしてほしい価値観。行動指針、判断の軸

2024年の年始にリブランディングのプロジェクトに着手してから、取締役、執行役員らからなるリーダーシップチーム8人全員で繰り返し議論を重ねました。途中、社員がどう受け止めるかも都度確認し、そのフィードバックも反映させながら、数ヵ月かけて納得いくものをつくることができました。

このプロジェクトを進めてよかったこと

ブランドコンセプトを見直す中で、特に有意義だったことが4点あります。

1点目:リーダーシップチームの目線が揃った

リブランディングの過程では、リーダーシップメンバーで、enechainがマーケットを創った先に見たい世界や、enechainというチームがどのような組織でありたいかについて徹底的に話し合いました。

実は、それまで、事業については毎日のように話し合ってはいましたが、会社の理念について腰を据えて話す機会はあまりありませんでした。リーダーシップの8人は、加藤や樽井など創業期からのメンバーもいれば、藪内や堀越のようにシリーズAの資金調達後に入社したメンバーもいますし、バックグラウンドも商社、戦略コンサル、金融、テックベンチャー等異なり、理念に対する思いもそれぞれ温度差がありました。

リブランディングの最初に、外部のインタビュアーから各々がインタビューを受けて、それぞれが考えを言語化し、その後に議論を始めたことで、リーダーシップメンバーの考えの違いが明確になり、そこから目線を揃え、理念を浸透させるために熱量を上げることができたのは大きな成果だと考えています。

2点目:ミッションをアップデートしたことで、やっている事業をそのまま伝えられるようになった

ミッションは、Building energy markets coloring your lifeの後半部分を変えて、Building Energy Markets, Coloring Our Societyに変更しただけなのですが、この2語の変更により、自分たちのやっていることが劇的に伝えやすくなりました。

と言うのも、前回ミッションをアップデートした2020年10月は、ちょうど2Cの新サービスとして「Good Energy」というサービスを展開し始めた頃でした。これは、エネルギー事業者と個人をマッチングする際に、大好きなスポーツチームの観戦チケットが付いてきたり、応援する新進気鋭のアーティストに寄付できるなど、エネルギーに色を付けるようなサービスでした。良くも悪くも、この2Cの目線に引っ張られて、「Building energy markets coloring your life」というミッションを掲げました。

「Good Energy」自体は素晴らしいコンセプトだったと思うのですが、その後サービスもクローズし、現在では、2B向けのエネルギー・環境価値のマーケットプレイスにフォーカスして事業を運営しています。資源価格の乱高下と気候変動という、より大きな社会課題に特化しているにもかかわらず、coloring your lifeという2C感が残るワーディングになっていたため、僕自身、ミッションの説明に窮することも多かったのが実情です。

今回、coloring our societyとしたことで、「日本経済全体を安定化させ、日本企業を明るく、元気にしていきます」、「カーボンニュートラルを早期に実現することで、次世代の明るい笑顔と豊かな暮らしを創造していきます」、「エネルギーマーケットという日々の当たり前を支える基盤を通じて、社会全体に彩りを与えていきます」のように、やっていることとミッションの目線が揃ったことは大きな成果だと考えています。

新ミッションステートメント

3点目:(個人ではなく) 会社として大切にすべき価値観が明確になった

社員からのフィードバックを経て、「Social Good」と「Rainbow Matters」が社員にとっても自分にとっても、とてつもなく重要だと気がつきました。そしてこれを社員個人ではなく、会社として大切にすべき価値観 (=プリシンプル) として整理出来たことも大きな成果です。

今回のリブランディングプロジェクトでは、ミッション、バリューのドラフトをつくった段階で、社員にその内容を共有し、少人数のグループごとに全社員と僕とでディスカッションをするプロセスを踏みました。加えて、全社員と担当役員との1on1も行なっています。ミッションやバリューが浸透するには社員一人ひとりがそれぞれに納得し、共感していることが不可欠で、全社員との直接の対話が欠かせないと考えたからです。

実は、社員にドラフトを共有した段階では、プリンシプルに掲げた「Social Good」と「Rainbow Matters」は、理念に含めていませんでした。Social Good (社会に価値ある仕事をする) もRainbow (多様性の力を信じる) のいずれも、会社としてプライオリティを下げる意図は全くなく、一方で、当たり前のことをあえて掲げることがマイナスではないか?という議論を経てのドラフト案でした。

しかしながら社員からは、「残念」、「Rainbowがなくなるのは寂しい」という声が多数あがり、「Social Goodがバリューからなくなるなら辞めます」というショッキングな意見すらありました。他方で、バリューを行動指針・判断の軸として整理している中で、「Social Good」と「Rainbow Matters」が社員個人の意思決定の軸になるかと言うと必ずしもそうではないという葛藤がありました。

マネジメント内での議論の結果、この二つは個人ではなく、会社として大切にし、実現していく価値観として整理するという意思決定を行いました。いずれも、これまではバリューとして掲げて会社として大切にしてきた価値観です。

Social Goodについては、今後も「マーケットを運営する仕事に責任を持ち、公平性と透明性を尊重する。大切な人たちに胸を張れる仕事をしていく」ことを、そしてRainbow Mattersについては、「多様性がもたらす集合知の力を信じ、人種・ジェンダー・考え方などに開かれた組織をつくる」ことをここに宣言しています。

Social Goodの価値観
Rainbow Mattersの価値観

4点目:enechainに根付くDNA的な価値観を、バリューとして再定義できた

最後にバリューについて。創業時から今まで変わらずenechainのDNAとして組織に根付いている価値観を、enechainならではの象徴的なエピソードとともに再定義できたことは大きな成果です。

リブランディングにあたって、Amazonなど複数のテクノロジーカンパニーの本社で技術部門をリードしてきたゼネラルマネージャーの鈴木から、「バリューは、すでにその企業で体現されている価値観で、具体的なエピソードとともに語られなくてはいけない。特に野澤さんの、あるいは創業メンバーが大切にしている価値観が重要だ」というアドバイスを受けました。僕にとって、このアドバイスは強烈に心に刺さりました。

「どうありたいか」ではなく、5年も経営してきたのだから、僕たちがすでに大切にしてきた価値観を言語化する。ひとつひとつのバリューについて、過去にどのようなエピソードがあったかを棚卸しし、それがenechainのDNAと言えるほど浸透しているのか、リーダーシップメンバーで確認しながら見直しを進めました。

新しい4つのバリュー

せっかくなので、バリューのそれぞれの意味と、enechainならではの一言エピソードを簡単にご紹介します。

🚀 Fly High ─ 大胆に発想し、挑戦しよう

Fly Highの価値観

突然ですが、僕はFly Highという言葉があまり好きではありません(笑) でもこのバリューを推したのは僕です。それはこのFly Highという言葉がenechainにすでに浸透している言葉だからです。

CFOの藪内が入社後に、「100兆円のGMVを実現するためにはもっと非線形な成長が必要だ」とFly Highというプロジェクトチームを勝手に始動しました。僕はFly Highと聞いた時、「藪ちゃん、棒高跳びでもするんかな?」と思ったのですが、よくよく聞くとこれはムーンショット、つまりenechain流のアポロ計画をつくるプロジェクトだったんですよ。棒高跳びじゃなくて(笑)、月に行くというこのFly Highという言葉、今では社内に広く、深く浸透しており、じゃあもうFly highでいいやん!と思ったんです。

enechainが挑戦するのは、不可能とも言われる壮大なプロジェクトです。既存の常識や枠組みにとらわれずスケーラブルな世界に向けてThink Bigし、失敗を恐れず挑戦し続ける。enechainには不可欠なDNAです。

💥 Deliver Impact ─ 結果にこだわろう

Deliver Impactの価値観

創業以来、僕たちは信じる大きな未来を実現するために、結果には徹底的にこだわってきました。考え抜き、後がない中でもチャンスを生かし、インパクトをもたらしてきました。

創業初期、突如として始まったコロナ禍にあって、預金残高が4千万円を切って、まさに生きるか死ぬかの中で成約した大きな案件。

市場暴騰で混迷を極める中、託されたとあるプレゼンは、その後、業界で信頼を得るきっかけとなりました。

誰もが諦めかける中、一縷の望みにかけてユーザーと二人三脚で勝ち取った超大型案件もありました。

このDeliver Impactの魂は現在のenechainにも確実に受け継がれており、例えば電力取引本部では極めて難易度の高い案件であればあるほど燃えるメンバーが多いです。ユーザーに価値を届けるために人事を尽くす。そして最後には必ず結果を出す。

enechainが今の信頼を得ているのは、この一つひとつの積み上げがあったからこそ。これも、僕たちが創業期から大切にしているDNAです。

🤝 Galácticos ─ 突き抜けた個とチームワークを両立しよう

Galácticosの価値観

「Galácticosを創る!」は、僕が創業期から大切にしてきたチーム哲学です。Galácticos (銀河系軍団) はかつてのレアル・マドリードの別称ですが、ここで強調したいのはその意味ではありません。

創業以来、妥協せずに追求し続けてきたのは「突き抜けた個」と「チームワークの両立」です。そしてこの考えは、「和を以て貴しとなす」や「チームのために個性を犠牲にする」といった、いわゆる日本らしいチーム哲学ではありません。

各々が特技を磨き、仲間に負けじと切磋琢磨し合う。決して仲良しクラブではありません。意見が対立すれば建設的に批判し、互いの成長のためにフィードバックを送り合う。それでも、一旦フィールドに出ればOne Team。同じ目標を達成するために領域を越えてサポートし合い、成果が出ればHigh-fiveで讃え合う!

決して多くの人に合う哲学ではないかもしれませんが、合う人にはめちゃくちゃ合う。僕たちenechainが目指すのは、そんなチームです。

😌 余白 。 ─ 立ち止まる勇気と遊び心を忘れずにいよう

余白 。の価値観

enechainにも、息を止めて駆け抜けた創業期がありました。寝ても覚めても仕事、仕事、仕事の創業期を経て (でも本当に楽しくて仕方なかった!) 、1年ほど経った頃。現在では執行役員を任せている大津が入社して、「ハッ」とさせられました。

彼が入社してまずやったのは採用と、そして今では「eClear」として商品化した決済の仕組み化です。eClearの構想自体はあるにはあったのですが、彼なりに会社の非線形な成長にはこれが欠かせないと考えたのでしょう。入社して2~3ヶ月が経った頃でしょうか。損保ジャパンさんと勝手に協議を始めてくれ、それから1年弱の協議を重ねた結果、現行のeClearの仕組みを創り上げてくれました。

この時、「仕事、仕事、仕事で視野が狭くなっていたな。サステイナブルな心と身体にこそ、ひらめきや遊び心が宿るんだな」と改めて気が付きました。先ほど、大津が入社してしばらくしたタイミングで経営合宿を行い、バリューを策定したという話をしましたが、「余白。」はその時につくったバリューです。それ以外にも、目まぐるしい日々の中でも、僕たちはサステイナビリティと少しの遊び心を大切にしています。

ここからが勝負...。 今後の浸透に向けた取り組み

米西海岸の著名ベンチャーキャピタリスト、ベン・ホロウィッツが著書で「カルチャーは、理念を基にした一連の実際の行動」と明言していますが、ミッション、プリンシプル、バリューは、作った後が肝心で、会社の隅々まで浸透させてこそ意味があると思っています。

そういう意味では、今回のリブランディングを経て、enechainはまた新たなスタートラインに立ったところです。社員が日常的にミッション、プリンシプル、バリューを口にする状態を目指して、これらを社内外に浸透させるための取り組みを進めていきます。そんなenechainの今後の展開にぜひご注目ください!


enechainでは、この壮大なミッションの実現を一緒に目指す仲間を募集しています。ミッションの先にある、彩りに溢れた未来を一緒に切り拓いていきましょう。

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