マガジンのカバー画像

遠藤良二の短編小説集

77
短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
運営しているクリエイター

2024年2月の記事一覧

強気な俺

強気な俺

#短編小説 #一次創作 #強気な俺

さっき、俺の親父が遺体となって発見された。死因は首吊り自殺。なぜ、そのような行為に及んだのか。貧乏生活に嫌気がさしたか。でも、それなら親父ばかりじゃない。俺やお袋、妹だって同じ思いをしているはずだ。一人だけ逃げたのか。卑怯だぞ、親父! 苦しいのは家族みんな一緒だぞ! でも、そんなことを言っても既に他界した親父には伝わらない。自殺した現場は物置だった。

 俺は

もっとみる
大切な女性たち

大切な女性たち

#短編小説 #一次創作 #女好き

僕は隙をみて彼女にキスをした。すると、

「ちょっと、何すんのよ!」

 と言われ、ビンタされた。

「痛っ! 叩くことないだろ!」

「悪いのはあんたよ!」

 俺をビンタした女は合津清美と言い、十九歳。ビンタされた俺は竹田翔太、二十歳。大の女好き。



 俺は狙った獲物は逃がしたことはない。でも、清美はなかなか落ちない。ガードか固いというか。こんな女は初

もっとみる
【短編小説】彼の死と唐突な発言

【短編小説】彼の死と唐突な発言

ここは北海道のとある町。今は極寒の真冬でこの辺の地域の最高気温は零下。

 今日は父の月命日で一月二十日。午前十一時にお坊さんが拝みに来てくれる予定。なので、今日の仕事は午後から行く。仕事は介護士で、今年で勤務して三年目になる。介護福祉士の受験資格を与えられる年数だ。勿論、受験しようと思っている。勤務している先は認知症老人が暮らすグループホーム。一ユニットに九名住んでいる。それが二ユニットあるので

もっとみる