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『HUNTER×HUNTER』を読んだ素人小説家の感想

 昨晩、冨樫義博先生がTwitterを始められ(本物かどうかさまざまな憶測が飛んだが、村田雄介先生が答え合わせをしてくれたのでおそらく本物だろう。ということにしておく)、『HUNTER×HUNTER』が連載再開するのでは!? と浮き足立つファンがとても多い朝である。

 私は、『HUNTER×HUNTER』を去年読み終えたばかりなので、正直あまり感慨深さはない。しかし、古参のファンからしてみたら狂喜乱舞の大騒ぎであろう。あの遅筆で有名な冨樫先生が筆を執り、なんなら進捗をTwitterで報告してくれるのだから。

 去年、『HUNTER×HUNTER』を読み終えた後、感想を殴り書きしたものがあった。備忘録として、ここに記しておくことにする。

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『HUNTER×HUNTER』

2021年 〜2月4日 読了。

 正直、「少年漫画」だろとタカを括っていたところがあった。

 甘かった。

 圧倒的な文字の量、密度の高さ……作者は相当な知識を有しているのだろう(実際能力名を現存する小説名からとってるっぽいし……)。細やかな心理描写、能力等の考察/説明、戦闘シーンの解説etc……膨大な情報量、圧巻としか言いようがない。

 特に私がすごいと思ったのは、ストーリー展開だ。世界観や設定などを余すことなく多用し、人物たちの関係性や思惑を複雑に絡ませながらも伏線を回収していく様は見事。話の流れを止めないためにザクザクと場面をカットしていく潔さも良い。しかし、そのカットの匙加減も読者を混乱させないギリギリのところを攻めており、たまに鬱陶しくなる「作者のこだわり」をバッサバッサと切り倒している。ここでエピソードが膨らむと思える箇所も潔くカット(しかもその効果で時間経過がわかる構成・構図を作っている)。

 G.I.編ではそれが顕著に表れていたが、キメラアント編では一転して数秒の出来事に何話も消費してキャラクターの心境を細かく描写している。大胆かつ繊細な構成は、ひとえに作者が連載当時ハマっていた物の影響もあるのだろう。自分の世界観を大事にしつつもやりたいことを描き切る。こんな作り方じゃあ、何年も掛かってしまうのは当然だろう。完結しなくとも私は作者を責めることはできない。

 時間経過を大胆にカットしていくところは本当に勉強になった。こんなにシーンをバッサバッサと切っても混乱を招かないものなのか……これは並大抵の人間にはできぬ技だと思う。この潔さは普段からさまざまな作品を読み込んでいないとできない技術だ。

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 読み終わった時、「『HUNTER×HUNTER』が小説だったら、ここまで新刊を出すまでの時間でイジられたりしないんだろうなあ……」としみじみ思ったのを覚えている。

 いやあの情報量、長編小説と同じだって。

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