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短編

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1つの記事で収まった話をまとめました。
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私の爪、あなたのこと

私の爪、あなたのこと

 過去の恋人に手紙を書いた。
 その人とはずいぶん前に別れてしまったが、今でも忘れられないくらい好きで、その人から貰ったイヤリングは机の一番上の引き出しにしまってあるし、その人が好んで読んでいた作家の本はすべて本棚に収まっている。
 住所が変わっていなければ、今頃届いている筈だ。
 山茶花の垣根がひろがった一戸建てに住んでいて、昼間はセールスマンの仕事をしている。その家から見える芝生はあまり手入れ

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あまごいと雨女

 6月も半ばに差し掛かったというのに、雨は一向に降らない。
 窓際で頬杖をつきながら空を睨む。早く降れ、そう願っても分厚い雲からは何も落ちてこない。30パーセントの20パーセント。降るか降らないか微妙なラインだ。しかも最近の山村さんの予報は外れてばかりだから望みは薄い。えーまあ、傘はあった方が安心だと思います。曖昧な笑みを浮かべる山村さんの額は変にテカっていた。それを思い出しながら私ははあ、とため

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うちゅうようせい

「宇宙妖精って知ってる?」
 真理子がそんなことを言いながら爪にマニキュアを塗った。
「うちゅうようせい?」
 私は仕方なしに言葉を返す。そうしないと、真理子は一気に不機嫌になってしまう。
「そう」
「それはなに? 宇宙にいる妖精のこと?」
「うん」
 真理子は人さし指にピンクのラメのマニキュアを落とした。小さな刷毛のついたビンのフタを小刻みに動かしながら、ラメが均等に行き渡るように真剣な表情で小

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