2023年9月に観た映画の感想
あらすじ程度のネタバレがあります。特にオススメの映画にはタイトルのうしろに🌟つけてます。みた順で書いています。
以下のマガジンに他の月のぶんもあります。
スコット・Z・バーンズ『ザ・レポート』
© Amazon Studios
アマプラで字幕版をみました。
イラク戦争でアメリカ軍が捕虜に対して行った数々の残虐行為を明らかにするCIA局員を描いた映画。実話ベースらしいです。
あまり派手な演出もなく淡々と話が進んでいきましたが、内容的にもより緊張感が出ていて引き込まれました。主演のアダム・ドライバーとそのボスの議員役のアネット・ベイングが素敵でした。
このところ実話ベースのサスペンス映画ばかりみていますが、本当に世の中自分の知らないことばかりでつらくなりますね。それ以上に観て良かったなあと思える作品ばかりなのでとくに問題はないのですが。
この映画はアマゾンオリジナルの作品だったので、アマプラに加入している方は是非みてみてください！
ピーター・ファレリー『グリーンブック』🌟
© GAGA Corporation. All Rights Reserved.
アマプラで字幕版をみました。
1962年、アフリカ系アメリカ人ピアニストのドクと、その付き人になったイタリア系アメリカ人のトニーが、いまだ黒人差別の根強く残っていたアメリカ南部でのコンサートツアーに挑戦するさまを描く作品です。タイトルになっている「グリーンブック」は、1969年まで実際に出版されていた、黒人が利用可能な施設をまとめたパンフレットのようなもののタイトルです。実話を元にした作品になります。
ドクから感じられるブラックにもホワイトにも馴染めなかったんだろうなあという雰囲気がずっとつらかったのですが、トニーのある意味大人な歩み寄りで救われた気持ちになりました。もちろんトニーは黒人差別的な側面を持っていた男なので、ドクからも歩み寄りがありそれも素敵でした。手紙のくだりよかったです。
音楽素敵だし衣装とかもかわいくてよかったです。差別が行われているシーンは胸くそだし気が重くなりますが、それでも観る価値のある作品だったと思います。
ウェス・アンダーソン『アステロイド・シティ』🌟
© 2022 Pop. 87 Productions LLC
劇場で字幕版をみました。
時は1955年、アメリカ南西部に位置する砂漠の街、アステロイド・シティ。隕石が落下してできた巨大なクレーターが最大の観光名所であるこの街に、科学賞の栄誉に輝いた5人の天才的な子供たちとその家族が招待される。
子供たちに母親が亡くなったことを伝えられない父親、マリリン・モンローを彷彿とさせるグラマラスな映画スターのシングルマザー──それぞれが複雑な想いを抱えつつ授賞式は幕を開けるが、祭典の真最中にまさかの宇宙人到来！？この予想もしなかった大事件により人々は大混乱！街は封鎖され、軍は宇宙人出現の事実を隠蔽しようとし、子供たちは外部へ情報を伝えようと企てる。果たしてアステロイド・シティと、閉じ込められた人々の運命の行方は──！？
ウェス・アンダーソンの作品は、これみた時点ではほかに『フレンチ・ディスパッチ』だけの状態でした。
なんでも入れ子構造にすればいいってもんでもないだろ！と思ったりしましたがそれはそれとして、本作で繰り返されていた「目覚めたいなら眠れ」みたいな話は、演劇とか脚本とかショー・ビジネスの世界に限らず「なにかをモノにしたい」と思う人は一度は思い当たったことのある話なんじゃないかなあと思いました。『フレンチ・ディスパッチ』は途中寝てしまったのですが（画面の情報量が多いのとモノクロの場面が多く集中しきれずに寝てしまった）、今回は最後まで起きていられてよかったです。
宇宙人と高校生の子達がかわいかったです。
デヴィッド・フィンチャー『ゴーン・ガール』
©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
アマプラで字幕版をみました。
失踪した妻とその疑いをかけられた夫の秘密が徐々に暴かれていくというサスペンス映画です。
長かった…けど久しぶりに怖い映画みれて楽しかったです。ジャンルとしてはサスペンスだと思うんですが、下手なホラー映画よりこういう狂い人がめちゃくちゃやる映画のほうが正直怖くないですか…？
オチはなんかオタクのみなさんが好きそうな感じに落ち着いたのも面白かったです。長かったけど、展開が二転三転するのでみていて飽きるってこともありませんでした。
ウィリアム・フリードキン『エクソシスト／ディレクターズ・カット版』🌟
© 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
劇場で字幕版をみました。
画像でブリッジしている女の子に悪霊が取り憑いてしまい（この時点ですでにちゃんと取り憑かれています）、はじめは医学の力でどうにかしようとするのですが全然ダメなので、最後の手段として悪魔祓いをしよう！というお話です。
ホラー映画をよくみるようになったのはここ2年くらいですが、新しい続編が公開されると聞いてやっと観ました。めっちゃおもろかったです。
怖いかといわれれば全然そんなことはなくて、悪霊云々よりも医療検査のシーンのほうが痛そうで怖かったです。ジャンプスケア演出もそんなになかった記憶があります。むしろ所々うつるパズズの顔がシュールだったり、パズズの放つ神への冒涜がギャグ線高くて結構おかしかったのがお気に入りです。
ストーリーの焦点は生きている人間に当たっていて、イエズス会の悪魔祓いへのためらい方もやけにリアルでしたし、決着のつけ方も素敵でした。メリルもデミアンもオタク心くすぐられるキャラクター造形なんじゃないでしょうか。
最初の発掘調査のシーンが不穏ながらも結構長かったのとなんかデミアンが決着つけたあとも結構うだうだしてたのがよくわからんかったですが、それを差し置いてもとにかく面白い映画でした。劇場でみられてよかった。おすすめです。
ニック・ブルーノ，トロイ・クエイン『ニモーナ』🌟
© 2023 Netflix, Inc.
Netflixで字幕版をみました。
ある凶悪なモンスターからまわりの人間を守ったとされる伝説の騎士の意志を継承し続けている王国で、王殺しの疑いをかけられた主人公の元？騎士（画像左）が、変幻自在の女の子ニモーナ（画像右）と協力して真犯人を捜すという作品です。ネトフリオリジナル作品でした。
シナリオ自体はそんなにめずらしい話ではないですが、年齢関係なく安心して楽しめるアニメ映画として考えると、ディズニーなんかではみられないような絶妙なラインをついていたところがよかったです。アンチディズニーというわけではなく、自社の歴史を踏まえつつ総決算的な方向を向いているディズニーには手が回らない部分なんじゃないかなと思いました。漠然とした感覚ですが。
この作品に登場する王国はあるモンスターをめちゃくちゃ恐れていて、実際登場もするのですが、そのモンスターの最終形態がめっちゃかっこよくて好きでした。ラストの主人公の表情も、わかってはいたんですが実際見るととっても素敵でやられました。
個人的にニモーナの声優のクロエ・グレース・モレッツの声が本当に好きで、声優うますぎたのですが、調べてみたら日本語吹き替え版のニモーナは白石涼子さん（だいすき）がやっているらしいのでぜったい日本語で観直します。
全体的にとても楽しめましたし完成度もすごく高かったのですが、メインの登場人物以外のキャラクターたちの知能が著しく低かったのは結構気になりました。そうしないと進まないストーリーってどうなんですかね…？とは思いつつ、面白いしアニメーションも完成度が高いのでぜひ一度みてみてください！おすすめです。
湯浅政明『犬王』
©2021 “INU-OH” Film Partners
アマプラでみました。アヴちゃんを楽しむためのアニメ映画です。
室町の京の都、猿楽の一座に生まれた異形の子、犬王。周囲に疎まれ、その顔は瓢箪の面で隠された。
ある日犬王は、平家の呪いで盲目になった琵琶法師の少年・友魚と出会う。名よりも先に、歌と舞を交わす二人。 友魚は琵琶の弦を弾き、犬王は足を踏み鳴らす。一瞬にして拡がる、二人だけの呼吸、二人だけの世界。
「ここから始まるんだ俺たちは！」
壮絶な運命すら楽しみ、力強い舞で自らの人生を切り拓く犬王。呪いの真相を求め、琵琶を掻き鳴らし異界と共振する友魚。乱世を生き抜くためのバディとなった二人は、お互いの才能を開花させ、唯一無二のエンターテイナーとして人々を熱狂させていく。頂点を極めた二人を待ち受けるものとは――？
歴史に隠された実在の能楽師＝ポップスター・犬王と友魚から生まれた、時を超えた友情の物語。
超完成度高かったし女王蜂のアヴちゃんが声優めっちゃうまくて良かったんですが、所々演出が肌に合わなくて（とくにコミカルさの方向性）個人的には好みではなかったです。
この映画は音楽が要なんですが明らかに実在のバンドのクイーンを意識していて、「新しさ」のリアリティとして後の時代に現実に起こったスタイルを引用するのがあんま気にくわなかったです。私は普通にクイーン好きですが、我々にとってクイーンはもはやレジェンドですし、言葉を選ばなければすでに歴史なので、せっかくなら独自進化の想像図を見せてもらいたかったなと思いました。現実の偉大さの先駆者がいたかも！というのがやりたかったんだとは思いますが…（ほんとに好みの問題）。あと犬王の最終形態も明らかに実際に存在した（する）アーティストがモデルになっていて感動どころか普通に面白くなってしまってダメだった。
本作で重要な役割を果たす呪いの面があるのですが、そのデザインがあまりにも禍々しかったのが最高でした。
©2021 “INU-OH” Film Partners
ジャスティン・シミエン『ホーンテッドマンション（2023）』🌟
(C) 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
劇場で字幕版をみました。
映画で『ホーンテッドマンション』といえばエディー・マーフィー版ですが、こちらのバージョンとは話は繋がっていないです。
一度足を踏み入れたが最後、二度と出ることが出来ない屋敷に引っ越してきた母子が、落ちこぼれ専門家たちとともにそのホーンテッドマンションから脱出をめざすお話です。「それぞれの集団の異端者が自分のやり方を保ったまま本物になる」というストーリーで、霊能力者や神父や学者など、いろんなタイプの異端者がでます。こういう話、好きに決まってる。
東京ディズニーランドにあるライドのホーンテッドマンションにかなり忠実というかそのままデザインのお屋敷になっていて、「これってあれじゃん！！！」がたくさん体験できて最高です。ダンスフロア？がちゃんと使用されてるのを見ることができて目頭が熱くなりましたし、伸びる絵の人たちが助けてくれる展開とかも最高でした。
まったく怖くはないですし（子ども向けの恐怖演出って感じです）割とコメディチックな場面も多いので楽しすぎて終始前のめりでした。劇場でみたのでできませんでしたが、歓声上げながらみたかったです。ハッピー映画最高✌
マーク・ウェブ『アメイジング・スパイダーマン』🌟
アマプラで字幕版をみました。スパイダーマン、面白すぎ！！！
私はスパイダーマンはサム・ライミ版とスパイダーバース1，2しか観たことなかったのですが、文字通りアメイジングで小躍りしました。
あらすじとかは必要ないと思うので触れませんが、最近熱を上げていたスパイダーマンがマイルス君だったこともあり、アンドリュースパイディがちょっと情緒不安定ぎみな濡れた子犬だったところも含めて新鮮でおもしろかったです。そこを賢くて芯のあるグウェン（画像右）がうまく補完している感じも素敵でした。
散々話には聞いていましたがエマ・ストーン演じるグウェンがちょっとかわいすぎて観た後そのことしか考えられませんでした。私は結構前に2のネタバレ食らっているのでずっと苦しいですﾀｽｹﾃ……
そしてラストシーンの映像かっこよすぎて椅子から立ち上がって喜びました。ありがとう！！！！！なんか全体的にこの作品のNYは色味がかっこよくてそこも好きでした。
さらにスパイダーマンが好きになった。最高！！
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