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2024年4月に観た映画の感想

あらすじ程度のネタバレがあります。特にオススメの映画にはタイトルのうしろに🌟つけてます。みた順で書いています。
以下のマガジンに他の月のぶんもあります。

グスタフ・モーラー『THE GUILTY/ギルティ』

©2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

アマプラで字幕版をみました。
誘拐されているという訴えの緊急ダイヤルに対応し、事件解決を試みる警官をうつしたワンシチュエーションサスペンス。ただ1人の話を聞いて何かを判断することの難しさ、すなわち我々の想像力の限界を突きつけてきます。
大抵の会話では一応お互いの話が噛み合うものですが、その実噛み合ってることになっているという場合も少なくはありません。いくら頑張っても、我々の想像と相手側にある(もしかすると誰の手の内にもない)事実との間の齟齬の可能性みたいなものを完璧に排除できるわけではないんだよなあ、という虚しさを感じました。
約1時間半ずっと主人公しか画面に登場しないような映画なのですが、鑑賞後はそれを感じさせないような緊迫感のある物語の運びだったのが素晴らしいです。良作をサクッとみたいときにオススメ。

ニール・ブロムカンプ『グランツーリスモ』🌟

オタクくんたち
©2023 Columbia Pictures Industries, Inc. and TSG Entertainment II. All Rights Reserved.  

アマプラで字幕版をみました。前々から良いとは聞いていましたがマジでサイコーでした。面白すぎる。
タイトルにもなっている「グランツーリスモ」は、ソニーから発売されているレーシングゲームです。このゲームのオタクくんが「本物の」レーサーになる、という事実を元にした映画です。
マジでクオリティが高い映画でした。出来がいい故に少しハイカロリーというかちょっと急ぎ気味で浮ついた感じが拭えない部分はあるのですが、この辺は好みによるのかもしれない。とりあえず誰にでもおすすめできる映画としてちょうどよかったです。
言ってしまえば結構王道なスポ根ものですが、異様な完成度の高さによって他のスポ根作品と一線を画しています。主人公ヤンという善良オタクボーイ×異様な完成度のゲーム『グランツーリスモ』でハイパーおもしろ映画になっている。すごい。この嘘みたいな話が現実になったのもグランツーリスモというゲームの異様なクオリティのおかげなので、山内一典こそがヤバすぎる説はあります。なにはともあれ、主人公ヤンを素直に応援したくなりますし、演出もお話も気持ちいいです。ぜっっっったいにめちゃくちゃお金がかかっている映画ですが、なんとなくそれを感じさせないのもすごい。
いつも非リアルに逃げているナードの端くれとしては、劇中何度か繰り返される「リアルからゲームへ、ゲームからリアルへ」という演出にかっこいいな!と思わされつつ、やはり人間はリアルに存在してこそなのか…とちょっと辛くなったりしました。
とにかくいちど予告編をみてほしい!!!超オススメです。でかい画面・でかい音でみましょう。

望月智充『海がきこえる』

おもしれー女…
© 1993 Saeko Himuro/Keiko Niwa/Studio Ghibli, N

映画館で観ました。
高校生の主人公の住む街(高知県)に訳ありっぽい超ハイスペな女の子が転校してきて、なんだかんだ仲良くなりなんか2人で東京に行くことになり、親友と好きな人が被り、ギクシャクしたりなんかして、それを親友と数年後にエモい海辺でエモく語る映画です。
武藤(画像の女の子)がこの見た目(優秀さ)であの声・あの口調・あの性格なところがおもしろくて素敵だなと思いました。それ以外に好きなポイントは特にないです。
なんか最後に主人公とその親友が「俺もあのころ武藤のこと好きだったと思う」みたいな暴露をして友情を固くするんですが、なんだこいつらと思ってしまいハマりませんでした。でも劇中の高知は素敵な街でした。武藤の性格もめちゃくちゃでよかったです。

アーロン・ホーバス,マイケル・ジェレニック『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』🌟

© 2022 Nintendo and Universal Studios.

アマプラで字幕版をみました。ジャイアントアカデミー賞あげます!おもしろすぎる!!!4DXでみなかったことを今でも後悔しています。助けてください。
超仲良しのマリオブラザーズはブルックリンに住むあまり売れない配管工。ひょんなことから異世界に飛ばされルイージとはぐれてしまったマリオが、ピーチ姫に弟子入りをして弟(とピーチ姫やキノピオたちの住むキノコ王国)を救おうと奮闘するお話です。
とにかくマリオのコンテンツにになじみがある人全員にお勧めしたいのですが、特にクッパ推しはこの映画ぜったいみたほうがいいです。クッパピーチ姫の限界オタク過ぎます。キモすぎる。ヤバい。
ゲーム内ではあまり(というか基本的に)垣間見ることのできない登場人物達のパーソナリティの造形も素敵でしたし、ゲームでおなじみのアイテムや敵たちの登場のさせかたもおしゃれで興奮しっぱなしでした。やはり人間は馴染みのあるものに出会うと脳汁がたくさん出る生き物ですので、脳汁出っぱなしの2時間は経験してしかるべきでしょう。アンパンマンやプリキュアの必殺パンチを彷彿とさせるアクションシーンもめちゃくちゃ素敵でした。目が喜びますよ。

アンドリュー・ヘイ『異人たち』🌟

(C) 2024 20th Century Studios.

映画館でみました。
山田太一の『異人たちとの夏』を原作とした作品。ある夏、孤独を抱える主人公が、同じく孤独な男と出会って恋仲になったり、とっくの昔に死んだはずの両親と邂逅するという不思議な体験をします。しかも両親の姿はあの頃のまま。もはや自分のほうが歳上になっています。
主人公アダムと恋人のハリーは2人とも大きな孤独を抱えた人間です。2人は互いを埋め合うように距離を縮めますが、孤独はぴったり重なり合うわけではありません。例え境遇が似ていても(例えば2人はゲイです)、境遇がぜんぜん異なっていても(アダムとハリーはひとまわりほど年齢が離れています)私とあなたの孤独がぴったり重なることはありません。他者にはどうやっても踏み込むことのできない領域を誰もが持っている、ということだけしか普遍的でなく、理解や共感というものがいかに困難かを思い知らされました。不可能ながらに我々はだれかに共感したり寄り添い、間違います。そういうもたもたをどう乗り越えるか、跳ね返った自分の孤独とどう折り合いを付けるかを、文字通り時代を超えて自分の両親と向き合いながら、年下の恋人と向き合いながらアダムは模索していきます。
原作小説はかなりホラー要素の強い作品なので作品に触れたときの手応えは結構違うのですが、アンドリュー・ヘイのこの映画は、原作小説がきちんと監督をとおして翻訳された作品だなというのが伝わってきてとても好感が持てました。映像も美しいですしとてもオススメです。

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