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12. 見るたのしみのつづき

額装の見るたのしみについて書きましたが見るたのしみはほかにもいろいろとあります。これは作るたのしみにもつながるのですが、額装のテクニックのヒントになるものが日常の生活のなかに案外と転がっていたりするからです。

額装の技法のひとつビゾー・アンブリケ(こちらの記事で取り上げています)というテクニックがありますが、このアンブリケというフランス語は元々”瓦状の”というような意味があり、屋根の瓦が重なり合っているように見えることから名付けられたようです。ビゾー・ぺロケというテクニックのペロケ(perroquet)は鳥のオウムやインコの意味で、斜めのビゾーの形状が鳥の羽のかたちのようにも見えることが由来だったと記憶しています。言葉がそのまま技法と結びついているものにはたとえばエスカリエという階段の技法があります。階段の段差をそのまま取り入れることで額のなかにちょっとした小さな異空間を作ることができる技法です。ほかにもトゥルビヨン(フランス語で渦巻の意)というテクニックは渦巻のような回転するかたちをモチーフにしています。テクニックが先であとから名前がつけられたのだとは思いますが、モチーフになるかたちはぼくたちのまわりにある日常のかたちのなかにヒントというか似たものがあったりするわけです。

こんな感じで額装に使えるアイデアというのは考えようによってはそこら中に転がっているようなところがあって、あとは想像力を駆使してそのかたちをどう作品に活かすかという腕の見せ所みたいなことになります。

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あとは本なんかも参考にします。少し前に見つけた『世界のドア』という本。世界中のいろんな国々のめずらしいドアの写真が載っているのですが、うつくしいドアのかたちは本当に参考になります。

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こんな感じに額装してみたいという例がいくつもあったり。この色合いとかかたちとかとてもきれいで真似してみたいです。

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こんな豪華なものはむつかしいですが、立体感の表現や色柄、バランスなど参考になるところは本当に多いです。

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ほかにもこれは昔旅先で見つけた窓なんですが、こんな風に飾っているのも何かの参考にならないかなと考えたりします。

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それ以外にも街中にある看板や広告なども同じデザインという部分で参考にしたりしています。街中をただ材料を探して歩くだけでなく、こうした作品の全体像やテクニックのアイデアにも注意して観察してみると街歩きが何倍もたのしくなるのです。

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これは以前にぼくが作った額装作品ですが、ピアノの鍵盤のかたちを階段のテクニックの段差部分に作って、額のなかにピアノがあるようなイメージに仕上げてみました。こんな風に身の回りにあるものからヒントを得て額装作りに応用してみるといろいろおもしろいものができるようになると思っています。

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