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7.まだまだ広がるテクニック

前回に続いてテクニックの紹介です。基本があったら応用の番というのが決まりですよね。

テクニックそれも応用と書くとむつかしそうに聞こえますが、ほとんどが独立した技法、あるいは基本の技法の組み合わせなので根気をいれて取り組めばたいした技術がなくてもほとんどのテクニックを身につけることは可能です。大事なのは技法よりそれが作品にふさわしいか?という部分で、やたらと凝った技法を用いて中身と釣り合わないとごつごつした感じの固い趣の作品に仕上がってしまいます。そうならないようにほどほどにバランスを取るというのが額装のコツみたいなものかもしれません。

ではさっそく解説に入ります。

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ビゾー・クラシックのアレンジパターンとビゾー・アンベルセ。写真だとわかりにくいですが、前回説明したビゾー・クラシックの技法(外側)とその内側にビゾー・アンベルセという技法を組み合わせて額装しています。

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Delicatessen(デリカテッセン)のポストカードのちょうど外側の辺にビゾー・クラシックとは逆の45°の斜断面ができています。カードとマット部分のあいだがちょうど谷のようになっているかたちになります。こんな感じで2つのテクニックを組み合わせることでオリジナルな作品に仕上げることができます。

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こちらもビゾー・クラシックという技法のアレンジです。ここでは45°の斜断面をカードの周辺ではなく横につくることで横のラインを強調する感じに仕上げています。アイデア次第でひとつのテクニックをいろいろなかたちで使うことができるのも額装のおもしろさのひとつです。

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こちらはビゾー・ファンタジーの技法とビゾー・ドロアを組み合わせたパンをモティーフにしたポストカードの作品。たんに幅広にするだけでなく角度をつけることで広がりを表現することができます。

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ビゾー・ファンタジーの幅広の部分をアレンジしたテアトルというテクニック。写真だとわかりにくいですが何枚も紙を重ねて作られているのでマットの表面からカードまで1cm以上の深さのある作品になっていて、奥行きのある立体的な額装になっています。

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幅広のビゾーの一辺に階段上の段差をつけるエスカリエ(フランス語で階段の意)というテクニック。階段がモティーフになっていたり、扉があるカードなどに使うと効果的な技法です。階段に見立てた段差を作るだけで額のなかにひとつのミニチュアな世界ができるような感じがしてとても不思議なテクニックだと思います。

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ビゾー・アンブリケという名前のテクニック。アンブリケとはフランス語で重ねるという意味があります。魚のウロコのようにビゾー・クラシックを重ねることで不思議な奥行きが生まれる立体的な作品になります。

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これまでの作品とは少し趣きが異なる箱型の額装。ボワッタージュというテクニックです。箱型にすることでフィギュアとかお皿とか平面ではない立体物を額に飾ることができる技法です。

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最後はラビというテクニック。ラビとは淡彩という意味で、マット部分に線を入れてそこに色をつける技法です。主にクラシックなものに使われるテクニックですが、工夫次第ではモダンな感じに仕上げることもできるので個人的にはこれからいろいろと挑戦していきたい技法です。

ここで紹介したのは額装の技法のごく一部で、ほかにもまだまだたくさんのテクニックがあります。そんなテクニックに加えて額縁、マットに貼る紙などをコーディネートしてひとつの額装作品が作られていくというわけです。ただたんに作品を額に入れるだけでなくて、それをどう額のなかにおさめるか、それが趣味の額装の醍醐味だと思います。ほんの些細なことでも見る人に与える印象はずいぶんと変わるものなので、いくらでも凝ることもできるし、逆に決められたシンプルな決まりのなかで紙や柄の組み合わせだけでシュッと見せることもできます。そのあたりのことを意識するとすごく奥深い世界が広がっていることを感じてもらえると思うのです。

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