見出し画像

エンカレッジの教室〜先生の座談会〜前編

こんにちは、エンカレッジ広報担当のシロです。
今回は、4月28日にLIVE配信を行った、エンカレッジの職員の座談会の様子をお届けします。
モデレーターにroku you代表の宮城エリさん、エンカレッジからは阿嘉先生と花城先生が参加。
子どもたちと関わる中で見えてきたことなどを赤裸々に語ってもらいました。
阿嘉先生のインタビュー記事も併せてご覧ください。

エンカレッジは何をしているところ?

宮城:では始めていきたいと思います。今日はよろしくお願いします。私宮城エリがモデレーターを務めさせていただきます。エンカレッジの先生方の座談会ということで、エンカレッジがどういう場所で、どんなことを日々行ってて、また、この11年〜12年の取り組みの中で、どんなふうにこう、変容してきたり、また、この先子どもたちがどんな風な将来を描いていくのかっていうところなどなど、先生方に思いの丈をお伺いしたいなと思っています。

今日、お話を聞く先生方をご紹介したいと思います。
まず初めに、今日私読谷教室から配信させていただいているんですが、この読谷教室の教室長の阿嘉先生です。今日はよろしくお願いします。


阿嘉:はい、よろしくお願いします。


宮城:是非、一言自己紹介というか、どれくらい(エンカレッジに)いらっしゃるとか是非教えていただけたら。


阿嘉:はい、エンカレッジの阿嘉といいます。入社して、今年で11年目になります。今日はどうぞよろしくお願いします。


宮城:お願いします、ありがとうございます。
それからですね、今はエンカレッジの事務局の方にいらっしゃるんですけども、元々首里教室で教室長をされていたこともあります、花城先生です。よろしくお願いします。


花城:よろしくお願いします。


宮城:是非一言、自己紹介的なことをよろしくお願いします。


花城:えっと、今年で(入社して)6年目くらいになるんですけれども、教室長含めていろいろとエンカレッジで経験させてもらっています。今日はよろしくお願いします。


宮城:同じ現場にいらっしゃる先生でも、またいろんな違った観点を持ってるお二人かなと思っているので、いろんな角度からお話聞けたらと思っています。

まず初めに、この多分配信をご覧になっている方で、まだこうエンカレッジっていう、なんていうんですかね、場所というか、この組織がどんなことをしてるのかなってことに、あまり馴染みがない方もいらっしゃると思うので、是非阿嘉先生の方から、エンカレッジはどんなことをしている組織なのかとかご紹介頂いてもいいですか。


阿嘉:はい。エンカレッジは立ち上げて12〜3年になるかと思います。主に就学援助の児童を対象にした無料の学習塾になっていて、行政の方のお力を借りながらですね、運用しています。
実際教室では、生活面とかですね、学習面、そういった子どもたちのサポートを行いながら、子どもたちがこう、安心して過ごせるようなですね、居場所を提供している。そういう場所になります。


宮城:ありがとうございます。ちなみに今沖縄県内だと、何教室くらいあるんですか?


阿嘉:えー、今25箇所ぐらいは、あるかなと思いますね。


宮城:一番北は、宜野座ですか?


阿嘉:はい。


宮城:で、離島も?


阿嘉:離島も、宮古にもありますね。


宮城:そうなんですね。で、今生徒自体は何名くらい?


阿嘉:大体1000名近いかなあと思います。


宮城:すごいですよね。なんか数字的なところをちょっとお伺いしてみたいんですけど、延べって大体どのくらいなんですか?


阿嘉:延べ(笑)。・・6000名近いんじゃないですかね。

(*延べ数は現在調査中です。)


宮城:すごいですよね。145万人の島の中で、って考えると、本当に多くの子たちが通っているってことですね。ありがとうございます。
そうですね、まずどういったお子さんたちが来て、何をしてるのかなって。1日をこんなふうに、こんなことやったりこんなことやってます、みたいなことも含めて、どんなお子さんが来て、何をしてるかっていうのを教えていただいてもいいですか?


阿嘉:はい。主に小中学生を対象にしているんですけど、まあ中には毎日くる子もいて、本人たちの居場所になってるなあと感じるんですけども。学校の宿題をですね、やったりとか、復習とか予習とか、そういった感じで学習を通して成功体験を掴んだりとか。
中にはなかなかその勉強だけでは、成功体験を積めないような子たちもいますので、そういった子たちもですね、他の活動の中で自信をつけてもらったりとかですね。勉強以外でも、いろんな活動を(教室の中で)行っている、みたいな感じですね。


宮城:なるほどなるほど。
私以前、エンカレッジさんと一緒に、高校生向けに、勉強だけじゃないいろんな経験の場を作ろうということを花城さんとかともご一緒させて頂いてたんですけども、そのなんかこの、勉強以外の経験みたいなところで言うと、どんなことをやったりするんですか?
これまでしたことっていうのを、ちょっとお二人からお伺いしたいんですけど。


阿嘉:はい。こちらのですね、読谷教室だと、音楽活動に結構力を入れていて。
楽器もたくさんあるんですけど、元々はですね、教室を始めた時に、なかなかその勉強に対しての意欲関心が低い子たちがですね、勉強しかない、という状態がこう、なかなか来なくなってしまったりとか、結構勉強はやってるんだけども、点数になかなか現れずに、ちょっと自信を無くしていくとか、ということがあって、なんかその勉強以外のことからでも、自分の表現をしたりとかですね、そういったことができないかな、ということで。
私自身ずっと音楽やってて。


宮城:あー!そうなんですね!


阿嘉:そうなんですよ。


宮城:何をやられてたんですか?


阿嘉:ま、ピアノとかだと、35年くらいはやってます。


宮城:へー!


阿嘉:はい。あとまあ中学校の時から、バンドもやってましたので。私にできること、音楽だったら、子どもたちに結構教えられるのかなーと思って。で、勉強の合間でですね、こういった楽器の指導をして。
なかなかその、例えばピアノとかだと習い事の王道かなと思うんですけども、なかなかそういった習い事もですね、できないという子どもたちもいますので。例えばギターとかもですね、なかなか普段触れることのない楽器かなあと思うんですけども、こういったことを子どもたちに一つずつ教えていって、弾けるとそれがまた自分の財産になったりとかですね。
なので、音楽活動は、週1回くらいは、ここでも取り入れています。


宮城:そうなんですね。これはこう、教えるみたいな形なんですか?それともなんかこう、バンドみたいなものを組んで、何か発表会にむけてとか?


阿嘉:そうですね、バンドも組んだりしますし、先生たちみんなで教えたりとかしてるんですけど。やっぱ音楽のいいところというか、発表の場を作りやすいなあと思っていて。
例えばクリスマス会とかですね、そういった機会を作って、そこの目標に向かって、みんなでこう、練習をして。
また本番には、お母さんたちにも観に来てもらって、「うちの子こんなことできるんだねえ」みたいな。そこで子どもの成長を見て、嬉しくなったりとかですね、はい。


宮城:そうですね、子どもに対するなんか、親御さんの眼差しみたいなところが、そういう発表会とかを通して変わっていったりすることとか。好循環になったりとか、そうですよね、ありがとうございます。
花城先生、いらっしゃった教室とか、エンカレッジに関わる中で、勉強以外の学びの機会というか、どんなことやられてきてるんですか?


花城:そうですね、なんか今までもいろいろあったんですけど、私が教室にいる時は、例えばその、なんていうかな、季節ごとのイベントを都度実施したりだとか。それぞれの門出をちょっとお祝いできるような、卒業イベントをしてみる。
子どもたちが、なんていうのかな、何かを学ばないといけないとかではなくて、ちょっと単純に楽しめるきっかけってのももちろんありましたし。
あとは私が入社したぐらいの時から、おそらくその、周りの企業さんたちからも、結構、一緒にキャリア教育いかがですかというようなお声がけが増えた時期かなと思っていて。
なのでそうですね、県内の企業の方々と、ちょっと一緒に単発でも、継続的なものも一緒にキャリア教育をして、子どもたちが実際に社会に、自立をちょっとイメージできるような、そういう学びっていうのもありました。


宮城:なるほど、なんかこう社会見学みたいな感じで、フィールドワークみたいな、訪れたりとか、(企業の方に)来てもらって講演してもらったり?


花城:そうですね、両方ありました。実際にどこか見学に行くっていうのもありましたし、今高校生世代が通える教室もあるんですけども、高校生の子たちは、実際にインターンシップで3日4日くらい、ちょっとガッツリ行ったっていう事例もありますね。


宮城:えー、そうなんだ。なんかこのこういった機会、あの、エンカレッジさんの特徴ってやっぱりこの居場所型の子どもたちの支援というか、学びの場ですよ、っていう風におっしゃられていて、なんかやっぱり学びだけじゃないっていう。
学びっていうか、勉強、例えば高校受験のための、とかっていう。もちろんそこも重要視っていうか大切にされつつも、なんかいろんな機会を作られているなってイメージがあって、で、それにやっぱり背景、理由があったと思うんですよね。



子どもたちの背景にあるもの

宮城:生徒たちがやっぱりこういう機会が少ないと思うからとか、こういう特徴があるからとか。あの、要因だったりもするのかもしれないんですけど、そういった居場所とか学び、勉強以外の機会がある背景とかってどういったものがあるんですか。


阿嘉:うーん、そうですね、人間関係の剥奪とかですね、経験の剥奪というか。そういったものってやっぱり、(エンカレッジに来る)子どもたち、あるのかなーと思っていて。


宮城:経験の剥奪・・


阿嘉:例えば経済的な理由で、いろんなことができないとか、習い事ができないとか。
あとは例えばお母さん一人で働いているので、自分はおうちの家事をやらないといけなくて、その間他の子たちとの関わりが少ないとかですね。そういうのもあるのかなって思いますね。


宮城:なるほど、なんかその経験の剥奪?で私思いだすエピソード、エンカレッジの生徒さんの話で聞いて衝撃的だったことがあるんですけど。
なんか例えばどういったことがあったりするんですか?多分観ていらっしゃる方でイメージつかない方も結構いらっしゃる気がしてて。


阿嘉:うん、例えばなんでしょうね、中学生になるとよく皆さん部活とかですね、入られると思うんですけども。
部活によってはやっぱり、結構お金がかかる。ユニフォーム揃えるだけでもですね、お金がかかる部活もあったりするんですけど。
本人はやりたいんですけど、なかなかその辺を考えて遠慮してしまったりとか。
通常はそういうの、気にせずですね、やれるはずなんですけども、なかなかその辺をちょっと気にして、部活もできないし、習い事もできないしとか、そういった子もいたりしますね。


宮城:なるほど、じゃあその、本来はみんながこう、土台というかアクセスできるはずの経験、部活とかもそうですけど、といったものがこぼれてしまっているというか、届かないっていうことがやっぱり現実には結構あるんですね。


阿嘉:そうですね。


宮城:なるほど、ありがとうございます。他にどんな背景が、花城さんの感じたこととか。


花城:そうですね、阿嘉先生のおっしゃる通りで、教室教室見ていた時も、それこそちょっとわかりやすかったのがやっぱり部活動、とか、課外活動、なんていうんでしょう、放課後以降の居場所っていうか、そういうところがちょっと無いなっていうのをすごい感じたので。


宮城:この子たち、ちょっと部活とかやらないっていう選択をしていたら、放課後どんなふうに過ごしているんですか?


阿嘉:そうですよね。まあここに繋がっているような子たちは、毎日来て、勉強したりとか、それ以外の活動に取り組んだり、先生たちに自分の話を聞いてもらったりとかですね、そういう風に過ごしている子もいますね。


宮城:なるほど、じゃあもう本当にここが居場所になっていて、来てお喋りしたり勉強したり、そうやって音楽やったりみたいな。


阿嘉:そうですね。


宮城:私、思い出した話でいうと、経験の剥奪っていう意味で、あの、高校生教室に行かしてもらった時に、バイトができないんですっていう話を聞いて。
それこそ保護家庭とかなのかな、だと、月にいくらぐらいしか稼げないみたいな制約も、しかも2万とか3万とかそれぐらい少額だったと思うんですけど、それを超えられないから。ね、普通のバイトだったら結構すぐ超えちゃうじゃないですか、週2回3回したら。なのであんまり満足にシフトも入れないから、結構できないんですって言ってて、で、その約束の時間(稼げる限度額まで)を超えてしまうと、計画失敗みたいな感じで、バイトをやめざるをえないみたいなことを言っていた高校生がいたのを思い出して。
この子たち自分の将来のためにお金を貯めたいと思って、経験、友達もみんなバイトをしているから、自分もやっぱりそこで友達増やしたいとか経験増やしたいと思ってやっても、こんなバイトができないっていう経験の剥奪ってあるんだ、って思ったことが結構衝撃的で。本当に、何か、非条理って言うんですか、だなーって、すごく感じたんですよね、なんか悔しいというか。
そういった経験とか、先生方が日々現場の中で生徒さんたちに触れ合っている中で、これ絶対おかしい、どうにかしてあげたいけどどうにもできないしおかしいよなあとか、なんかこう彼らが味わっている、どうしようもない現実とかって、あったりするんですかね。


花城:そうですね、、アルバイトの件でいくと、その収入認定されちゃうっていうのがまずその、あるので。
最近は、進学であったりとか、就活をするために例えば車の免許が必要とか、そういった理由を持って、で、それぞれに支援員さんとかケースワーカーさんがつくので、相談できれば、保護家庭でもちょっと貯金ができるケースも。そういう流れにはなってはいると思うんですけど。
ただその情報がやっぱり行き届いてないっていうのとか、すごくあるのかなと思っていて。なんていうかな、それ(情報)を掴むことができないと、そこからちょっと脱せないっていうようなことはちょっと感じますね。


宮城:なるほどそうですね、情報というかいろいろリソースは実はあるんだけど、情報に辿り着けてないと得られないっていうようなこともありますもんね。


花城:場合によっては(エンカレッジに)繋げたいんだけど、今どうしても、なんか、なかなか保護者もうんと言わなくってっていうことも、教室にいるときにちょっとあって。
なかなかそういった、本当はこっちに使える資源が実はあるんだけど、それがあんまり目に見える形というか、なかなかちょっと簡単に見られない。


宮城:これは、親御さんが、情報を知らない、つまりエンカレッジみたいな機会があるということを知らないなのか、どんな背景で今繋げられないんだとかだったりするんですか。


花城:うーん、私が見てた教室、ちょっと前の話なんですけど。その時は、必要と思うと支援員さんがエンカレッジを(家庭に)紹介してくれるっていう流れなんですけど、ちょっとなかなかそのイメージが出来なくって、とかで繋がらないのもありますし、そもそも必要としている子で、保護世帯ではなくて、準要保護世帯の子とかでちょっとシビアなところもあるんだけれども、情報がいかないっていうか、(準要保護世帯の子には)担当の支援員さんとかがつかないので、そういったのはありました。


宮城:なるほど、やっぱり情報が行き渡らない。ありがとうございます。



子どもたちの成長ー信頼関係の大切さ

宮城:子どもたちのエンカレッジにやってくるまでの背景をお伺いしたんですけど、実際にきた子たちがどんなふうに成長をしていってるのかなと。
いろんなケースがあると思うんですけど、こういうことを経験してこんなふうに成長したよ、みたいなことを是非、何事例か聞けるとすごいいいなと。
印象的な生徒さんとか、「あ、この子頑張ったなー」と思う子とか、最初大変だったなとか、どんな切り口でもいいので教えていただけると嬉しいです。


阿嘉:はい。あの、現場の先生たちはやっぱり、子どもたちの小さな変化でも本当に嬉しいんですけど。
例えば笑顔が増えてきたな、とか、挨拶ができるようになってきたな、とか。そういうのも、最初はできない子もいたりして。
私たちの事業の中にですね、生活面を学ぶ授業もあって、例えばなぜ挨拶が大事なのかとか、素直さがなぜ大事なのかとかですねそういった授業も時々入れていて。
その授業を聞いた後から、やっぱり子どもたちがちょっとずつ変化していったりとか、言葉遣い気をつけるようになったりとか、挨拶をするとか。そういうような変化が見られる子もいたりしますね。


宮城:てことは最初、目を合わさないとか、挨拶しないって子も中には・・


阿嘉:そういう子も最初はですね、いたりしますね。


宮城:なるほど。その中でも印象的な生徒さん、もしいらっしゃれば。


阿嘉:例えば学力の面で言うと、ずっと部活ばっかりやってきて、本当にもう勉強の習慣がなくてですね、基礎学力も身についてないっていう子が、受験生になって支援に繋がったんですけども。
その子最初模擬試験をさせたら数学が1点だったんですよ。そのぐらいもう、基礎が全然身についてなくて。1点てことは最初の一問しか、マイナスのついた足し算とかですね、あの辺ぐらいしか解けなくて。そういう状況の中から、本人が希望する高校へ合格まで、成長できたとかですね。
そういったのも(合格できたのも)本当に繋がらなければ、難しかったんじゃないかと思うかな。


宮城:例えば数学が1点だったってことは、なんかこう、そもそも学校の授業にあんまり興味を示してなかったって背景とか、どんな要因で勉学に励めてなかったのかなと。
逆に何があったから成長したのかなってのはすごい気になります。


阿嘉:やっぱりこう、生徒を信じるということは大事かなと思いますね。
子どもたちにも、「あなたのために先生たちはいるよ」とか「あなたのことを理解したいと思ってるよ」とかですね、そういったことを伝えながら、寄り添って、信頼関係を築きながら一緒に見通しを立ててですね、勉強していくと。
そういう流れはありますね。


宮城:なるほど。この信頼っていうキーワード出てきたと思うんですけど、これって子どもたちだけじゃなくてどんな人にでも必要なものだと思うんですけど。
やっぱり特にその信頼してるよというメッセージングみたいなところを強調する背景というか、生徒さんの中にこう自尊心というか自己肯定感の低さがあるのか、なんか背景ってどんなものがあるんですか。
信頼してるよって、信頼っていうか信じてるよっていうことって、あんまり学校の中とかでは言ってもらえる機会がもしかしたら少ないかもしれないし、なんかあなたがやったってできないはず、みたいなメッセージングって学校とかって結構されがちだと思うんですよね。


阿嘉:そうですね、なんか普段からあまりこう、話を聞いてもらえないような子たちもいますので。
おうちに帰ってもなかなか学校の出来事とか話せない子たちもいるんですけども、塾の方では、私たちもとっても子どもたちに関心を持ってですね、いろんなことを話したりとか。そうする中で、だんだん信頼関係ができてきてですね、いろいろ話をするようになって。
その都度できるよ、とかそういう励ましをしながら・・っていうことはやっぱり意識していることですね。


宮城:なるほど、ありがとうございます。
今意識していますよ、ということを教えていただいたんですけど、花城先生も、教室現場にいらっしゃった時に、これをすごくこう気をつけてた、とか、あえてやっぱり強調してたこととかってあります?


花城:そうですね、気をつけていたというか、もう、本当に話をなるべくするように、聞くようにというか。
で、高校進学の受験対策がメインのサポートにはなってくるので、そことの兼ね合いをちょっと見つつというか。
一つ勉強を教えるっていうことも、ちょっと信頼関係を構築する一つのツールでもあったなとは思って。そっからその毎日(教室に)来ていいんだなーとか、ちょっと喋りたかったら喋っていいんだではないですけど、そういう安心感を、教える中でも与えるように、ってのは意識しましたかね。
どれだけこうなんか、笑わせきれるかではないですけど。


宮城:生徒さんたちが最初来た時は、それこそ挨拶、中にはね、しないとかする習慣があまり自分の中に身についてないみたいな子もいたり、他者に対して信頼感みたいなのも、もしかしたら薄い生徒さんもいらっしゃるんじゃないかなとか、勉学にあまり興味関心は持ち切れてない、「なんでこんな勉強するのー?」みたいな子たちが、いろんな話を聞いてもらったり、なんだろうな、こう心地よくなってきて、話をするようになって、信頼を持つようになって。で、自分の意志を共有したりとか、で、そこに向けて目標立てて、歩めるようになる、みたいな。
生徒さんの成長のパスだったりするんですかね。どんな感じなんですか。今話を聞いた上でちょっと推測的な感じですが。


阿嘉:でもそういう感じですよね。


花城:(うなずき)


宮城:なるほどなるほど。ありがとうございます。


エンカレッジに関わる中で変化を感じること

宮城:長い間関わられてきてる中で、11年でしたっけ?11年関わられてる中で、子どもたちのこう、大まかにまとめるのって難しいと思うんですけど、変化とか、教室で起きていることの変化とか、もしくは阿嘉先生自身の見方の変化とかってあったりします?


阿嘉:そうですね、まず活動を始めた時期だと、まだまだ、子ども食堂だったりとか、無料塾ってのは全然なかったので、それが今結構全国的に広がっていて、こう社会的にですね、関心が高まっているということもありますので。
で、エンカレッジはその、最初の方からですね、関わらせていただいて、子どもたちがやっぱり頑張って成果を出したことで、そういったことが知れ渡ってというかですね。いろいろ教室が増えてきて。
教室が増えたことでやっぱり、救われる子どもたちも増えてきたんじゃないかな、とは思いますね。


宮城:確かにこの十何年前ってまだ、ここまでたくさんの事業所、この(子どもの貧困の)課題に対しての事業所が少ない時代ですもんね。なるほどありがとうございます。
花城先生も、変化って感じます?関わられてる中で。


花城:そうですね、あの、私は関わって6年目になるのかな。なんですけど、入職してすぐは県内にも(エンカレッジの教室が)5教室しかなくて、正職員自体も理事長合わせても10名いかなかったぐらいだったと思うんですけど、その翌年から一気に3倍とか事業所が増えたということもあったので、なんかちょっと目まぐるしく色々こう、短期間のうちにいろんなことが変わっていったなっていうのが正直で。
なんかこういい問題悪い問題はちょっと言えないんですけど。うーん。でもなんか、今改めてどうだったかなって考えたときに、それぐらい必要だった、深刻な問題だったから一気に広がったっていうのもあるし、で、まだまだそのなくなるというよりは、もうちょっと広げていかないといけないっていうフェーズでもあるので。うん、なんかそうですね、そう言った意味では、続けていかないといけないなってのは改めて感じていることではあります。


宮城:そうですよね。生徒さんたちってもちろん一人一人違うと思うんですけど、教室が少なかった時代の生徒さんと、今の生徒さんで、なんか変わったというか、これこそ良くなったなあみたいなことがあるのかとか、逆にこんな課題前なかったけど新しく見えてきたなあとか、そういった変化とかってあったりするんですか、生徒さんの中で。


阿嘉:昔は、今みたいに各市町村にですね、無料塾っていうのはなかったので、そのない地域に住んでる子どもたちは、無料塾がある地域にこないといけなかったんですね。なので結構かなりの距離を、例えば自転車で通ったりとか。そうやって遠いところからでもですね、通ってきた子たちはたくさんいてですね。
今は各市町村に無料塾ができたので、通いやすくなっているなってのがありますね。


宮城:なるほど、子どもたちのその、通う負担みたいなところは軽減されてるんじゃないかと。
他の観点で、花城先生あったりします?


花城:そうですね、すごくその、生徒たちの様子の大きな変化っていうのはないかなあと。増えたことでやっぱり、ちょっとかぶっちゃいますけど、通いやすくなったりとか。
あと地域との連携が少し最近は取れるようになったかなっていうのは感じています。各市町村で応援してくれる子ども食堂とか、団体の方がいらっしゃったりとか。
子どもたちの変化ではなく、その、応援団が増えてきたなっていうことはありますね。


宮城:なるほど、ありがとうございます。となるとやっぱり、子どもたちはそんなになんかこう、持ってる課題感とかはもちろん元々千差万別で、それが何か大きく変わったという感じ、ではないっていうことですかね。


阿嘉:そうですね。



印象に残っている生徒、成長

宮城:今日一番聞いてみたかった質問としては、印象に残っている生徒さんとか、すごい先生方が悩まれた、このアプローチに悩んだとか。
なんだろうな、それこそ手がかかったみたいな生徒さんかもしれないですし、逆にこんなふうに成長するとは思ってなかったみたいな、ある種驚きの成長を果たした生徒さんかもしれないんですけど、印象的な生徒さんとの関わりがあればぜひ教えてもらいたいなあと。


阿嘉:そうですね、たくさんあるんですけど。
やっぱ生活面がちょっとよくない子たち、言葉遣いとかだったりですね、結構反抗的な態度をとるような子たちもいるんですけども。関わりの中でですね、子どもたちがそういったところを改善していきながら、最後手紙を書いてくれたりとか。今までのことを自分で反省して、それを手紙にして、もらった時もあったんですけども。だいぶ大きな成長だなっていうふうに感じましたね。
あとはエンカレッジのnoteにも書いているんですけども、なかなかその大人への信頼とかそういったものが無い中でですね、少しづつ本当にもうぶつかりながら、子どもたち成長していって、最後は高校受験までしっかり迎えて、合格を掴み取ったような子どもたちもいっぱいいますので。そういう意味でやっぱり、たくさんケースとしてはあるなと思いますね。


宮城:なるほど。花城先生ももしよかったら。いらっしゃいます?


花城:そうですね、1年目の生徒たちがやっぱり印象に残っているなと。
そのとき、ADHDだったりだとか、ちょっと学習障害とか発達に難を抱えているっていう子たちも少なく無いな、って実際入って思ったことで。例えば数学とか英語とかは別室で受けてるんだけどとか、そもそもクラス自体が違うんだけど、って子も混在してたんですけど。
本当はテストでちゃんといい点取りたいし、少しでも点数上げたいし、褒められたいし、みんなみたいに学びたいし、っていうような気持ちがすごい見られる時があって。
周りは特別支援高校を進めるんだけど、本人はちょっと一般高校(の受験)に頑張ってみたい、みたいな感じで相談も何件かあったので、なんというか、なんだろう、どの選択がこの子にとっていいのかって特別支援高校も含めて検討するんですけど、やっぱその、なんというのかな、貧困と併せて学習に対しての引目じゃないですけど、そういうことを感じてきたっていう子も少なくないなって感じたので。
エンカレッジで勉強することで少し自信がついたなっていうのはたびたびありましたね。


宮城:なるほど、自信を積み重ねるような経験があり、自信が積み重なっていったみたいな。


花城:そういう子たちの、その、悔しさとか成長とかそういうの印象に残ってます。
(続く)




すべての子どもたちに夢と希望を、あなたも一緒に!
エンカレッジサポーター300人募集中!
↓↓↓

アセット 1@2x


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?