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目に映っているのに、脳は無視するモノたち。


歯ブラシは一か月ごとに交換しましょう。

はい。

使い終わった歯ブラシは、掃除に使うといいですよ。

はい。


厳しい歯磨き指導の歯医者さんに通っているので、10分以上かかる歯磨きを1日3回行う。歯の間にもハブラシを差し込むので、一か月もしたら使い物にならないくらい、ブラシがあっちこっちに乱れる。

一方掃除は好きじゃないので、歯ブラシで細かいどこかを磨くのは、一度に15秒くらいだし、それも毎日じゃない。水回りで特別汚いなあ、と思った時と、犬のトイレを数か月に一度洗う時と、窓のレールのホコリを吹き飛ばす時くらい。。

そんな訳で、歯医者さん指定の、高くて新しいハブラシはどんどん消費され、汚い掃除用はどんどん溜まっていく

きっと、いつか私は掃除に目覚め、もうこの古歯ブラシも十二分に活用したから、ありがとうとお礼を言って、さよならしよう。という清々しい別れの日が来るはず、と思って蓄えてあるけど、そんな日は来ない。

家中の、「ここに歯ブラシがあったら、きっと掃除の時にすぐ手に取れて便利だろう」と思った場所には、もれなく古い歯ブラシが置いてあるけど、ただあるだけ。何年も入れ替わらない。そのうち洗濯機の裏に落ちたり、ベランダの片隅で土まみれにになって触りたくもない代物に。

生活の中には、目に入っているけど、見ないふりをしているものが、こんな風にいろいろあって、ある日はっとすると、10年も同じ賞状が玄関に飾ってあったりする。

古歯ブラシの周りは時間が止まっていたようなので、今日は、家中の掃除用歯ブラシを、「新しい古歯ブラシ」に交換して回った。掃除する時に「有って良かった」と思いそうな場所にひとつづつ置いて、余ったのは捨てる。たった、それだけの、日ごろから余ってるなと思ったら捨てればいいだけの事だけど、人目に触れない家の中の澱みは、そうやって作られていくんだと思う。

見ないようにしている沢山の問題の中で、向き合える準備ができた事から意識にのぼってくるのかもしれない。10年そのままだった賞状も、今日外した。

#歯ブラシ #歯医者 #掃除 #賞状 #澱み #止まった時間

#エッセイ #随筆



疲れる毎日を誰かの文章で癒されたい。そして、私も誰かを癒したいです。いつかできたらいいな。