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「アリとキリギリス」

 札幌市には、石狩川へと合流する豊平川が北東に市街地をゆったりと流れているせいか、橋が非常に多い。
トップ写真は、ミュンヘン大橋あたりの写真。

ドイツのミュンヘン市とは、1972年に姉妹都市になったようですが、同じ年に夏冬のオリンピックの開催地になった縁よりも、気候風土や盛んな産業などにも共通点があるように感じますが。

時間にゆとりがあると、橋巡りが趣味のようなもので。変わった趣味ですねと言う人もいますが、
旅先でも、海外でも、一人時間が出来ると決まって橋巡り。

札幌市内では、現在のところは、このミュンヘン大橋が、素晴らしいと感じています。

橋の構造形式が好み。

「札幌市とミュンヘン市の姉妹都市提携15周年の年となる1987年(昭和62年)に事業着手したこと、橋の構造が戦後ドイツを中心に発展した橋梁形式(斜張橋)であることから、橋の名前につけられた[3]。札幌市創建120年記念事業として1991年(平成3年)に完成した[4]。夜はライトアップされる。」   Wikipediaより

ところで「アリとキリギリス」ですが、
年末から、いつものように親戚が子供を連れて集まっていましたが、なぜか小学生達の間で、アリとキリギリス話が盛り上がっていました。

イソップ童話の「アリとキリギリス」は、元来は「アリとセミ」だったらしく、ギリシャではセミは生息していますが、ヨーロッパ北部ですと、セミが生息していない地域もあり、ヨーロッパへの翻訳段階でセミからキリギリスにしたという話はよく知られています。

コツコツ型のアリと、享楽的なキリギリス。
勤勉であれとの教えで、幼少時から読み聞かせる童話ですが、子供達の受け取りかたは、少し私達の時代とは違っているように感じました。
勤勉より、お洒落で、好きなものを食べて、好きな音楽を聴いて、アリのように毎日朝から晩までコツコツ働くなぞ、バカバカしい、、なにせ、何かでドカンと当てて一発勝負で好きなように生きるのも、素敵ではないかのような考えに流れているような。

時代は動いているなぁ、変化してきているなぁと思いましたが。
これが、受験を目の前にした中学生になると、また少し考えは違うようでして、早い段階から進路を決定して、コツコツと勉強をしておくべきと実感しているようで、やはり、アリさんですよと、多少苦々しい口調で。

幼稚園児のゆめちゃんは、性質が私によく似ていて、タブレットを胸に抱いて、年賀に訪れる人を玄関で、

「えーー。さとうさんは、アリさんです。」

「こまりました、きむらさんは、アリさんかキリギリスさんか、、どっちでしょう?」

などと、母や姉の横にちょこんと立って、ぶつぶつ言いながら、タブレットに打ち込んでいます。

アリタイプかキリギリスタイプかを、分類しているようですが、

なにせ幼稚園児の年中さんですから、

小さい人はアリ。スラッとした人はキリギリス、
そして、少し太めの人だと、シロクマさんになるようで。

「アリとキリギリス」のイソップ童話とは、まるでかけ離れた世界になっていて、

今日は、姉が朝から相当にご機嫌ななめで、
自分の娘が、人間分類にはまってしまったのは、
いつものことながら、風変わりな私のせいらしく。姉の怒りは偏に私へと向けられ。

で、まあ、一組従姉妹が東京に戻るのを空港まで送りがてら、空港からの帰り道にゆめちゃんと、
橋巡り。

そして、私は基本はアリタイプのようですが、もしかすると、、キリギリスタイプの願望も強そうだと気付いてしまい。

池内紀さんの20人の作家さんの作品を紹介しながら、その作家さん達の人生を論じた作品ですが、

池内紀さんが偏愛する作家さん達であり、

「アリとキリギリス」の寓話の、キリギリスタイプの人ばかりだと、書かれています。

借金の内田百聞さんに始まり、心中の太宰治、
退屈の坂口安吾、ホラの寺山修司、などなど、

この本そのものは、池内紀さんらしく、鋭く、面白く、忘れられない一冊になっていますが、

今日、たまたま思い出したのは、「アリとキリギリス」話からでして。

昨年の夏に池内紀さんは亡くなったはずですが、
私は、池内紀さんの出版されている書は、ほぼ読んでいて、つまり、好きなんですね。
評論のようなエッセイのような作品が。気どらずに鋭く、面白く。

この作品の中で、池内紀さん自身も、自分はアリのようなコツコツではない、キリギリスタイプであると書かれていて。

この作品で取り上げている20人の作家さん達は、アリとキリギリスが妙にこんがらかっているのだ、本来はキリギリス型の人間が、どういうことかアリが混ざり混み、心身のバランスを崩し、それが、まわりまわって作品を生み出したのだと
論じているのです。

この見方は、非常に面白くもあり、的を射ているようにも思いまして。

作家、作家たらんとする者は、普通、通常、当たり前、みんなと同じでは、成立不可能ではないのかとも受け取れてしまい。

池内紀先生は、東京大学、都立大学などの先生でもあり、教授職を早期に退職して後は、ドイツ文学者、エッセイストとして活躍されていました、

キリギリスタイプとは思えませんが、ご自身が、
キリギリスタイプと仰有るのですから、キリギリスタイプなのでしょう。
楽しいことを先にして、勉強はそのあとでも良いではないかと、幼いころは考えていたとか。

すると、やはり、キリギリスタイプですね。

そんなことを考えて、noteに打ち込んでいると、

姉が横に座り、、

「ゆめに、へんな入れ知恵をしないで!!
本当に、恥ずかしいったら!
お客様に、面と向かって、アリさんとかシロクマさんとか、、、とんでもないことよ!!」

姉は、何から何まで完璧で、、アリタイプです。