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大河ドラマ「光る君へ」感想 (3)


 昨日はめっちゃ寒いなと思っていたら午後に雪が舞ってた。。☃︎☃︎☃︎
 寒波到来。

 清少納言は
「冬はいみじう寒き。夏は世に知らず暑き。
(夏はめっちゃ暑いのがいい。冬はとことん寒いのがいい)」
ってなことを言っていたけど、うーん……わからんでもないけど、これってなかなか雅度の高い発言だな。

 んでは、今週の大河感想をば。


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*ドタバタの前回終了時点からドタバタと再開。
 誤認逮捕されそうになる道長を助けようと駆け寄るまひろ!
 が、道長はそれを眼力で制し、
『来るな! 俺は大丈夫だ!』
とテレパシー(?)で訴え……愛の力ってやつかな、ビックリした。
(ところで平身低頭の放免の人たち、そんなに悪くないと思う。
 そもそも指さしたのはまひろだし、見間違うほど同じ色合いの恰好だったし、道長もその場で反論すればいいし、なんならまひろに「その人じゃありません」って普通に言ってもらったらよかったんじゃ……と思うんだけど(^_^;))

*兼家の前でいけしゃあしゃあとした態度の道長。
「(民の暮らしを)なまじ知れば、思いきった政はできん」
っていう兼家。まあ、的を得ているよね。
 この時代の上級貴族って下々の民など人とも思ってなさそうだし、この考え方はむしろ情のある考え方だな。

*ところで、いくら実姉でも皇子までなした今上帝の女御さま相手に御簾も扇もなしにそんなあけすけに頭も高く接しちゃって道長……やはり御簾のない世界線なのか??
 でも道長、やっぱりわざとヌケ作のフリしてたんですね。

*為時邸。屋根から語りかける謎の男。(こやつ、忍か?)
 そんで画伯まひろは下手な絵を描いて太郎に道長探しを頼む。

*そしてお待ちかね、源氏物語の帚木巻“雨夜の品定め”を彷彿とさせる宿直シーン!
 艶文談義、着崩した束帯でのくつろいだ姿、冠の纓を何気なくはらりとはらう仕草、水差しから碗に注ぐ動作、後ろに無造作に並ぶ弓箭、「和歌はうまいが顔はまずい」発言……
 F4(-1)、いと若うきらきらしくて目の保養でございました。現時点で一番身分の高い(従四位上。関白の嫡男だからね)黒袍の公任、サイコウです。めちゃくちゃ推します。
(正直、実際の公任はモテイメージあんまりないけども。枕草子では斉信のほうがそういう描かれ方よね)

 はぁぁぁそれにしても、令和のこのご時世に宿直する公達を実写動画で拝めるなんて……おかげさまで寿命が十年伸びました、ありがとうございますありがとうございます(伏拝)

*ところでベーコンみたいなキレイなピンクの文。
「和歌はうまいが顔はまずい」という遵子さま付きの女房からの和歌。
「こひと~」で始まり「しらせむ」で終わってるのをヒントに(そこだけ解読できた)、後半の女子たちのくだりから古今和歌集で、猛アピール中っぽいから“恋一”やろと推測して探したけど見つからず……⤵︎ ⤵︎
 SNSで答えを出してらっしゃる方がいてやったー!(ありがとう令和、ありがとうSNS)
 出典は拾遺和歌集だったらしいです。

【詠人知らず】
恋といへば おなじ名にこそ 思ふらめ いかでわが身を 人に知らせん
(あなたはどうせ、恋なんてみんな同じものと思っていらっしゃるんでしょ? どうやって私の存在を知らしめたらいいものかしら)

拾遺和歌集 巻十一:恋一

『拾遺和歌集』の成立は一条朝1005~6年頃と言われているけどそのもとになったのが他ならぬ公任撰の『拾遺抄』。
 このへんの小ネタもちゃんと考証がなされてるんだなぁと嬉しくなっちゃう和歌オタク。

*意外にもまじめに道長探しをしてくれる太郎かわいい。
「俺はかしこくないけど、やる時ゃあやるんだよ」
 仲の良い姉弟だ(^^)
 貴族のおぼっちゃんらしく、ちゃんと従者が従ってるのもいい。

*晴明のアレっぽい祈祷の図 (アレ↓↓↓)

『泣不動縁起絵巻』

 この右端にちーんと並んでる式神たちがかわいいんよ。

 しかし祈祷って、前回言ってた遵子さまに皇子ができぬようにせよとかいうあっちのことじゃなかったんか。
 円融帝のご容態かんばしからず……いつのまにそんなに。。

*秋山実資のぎょろっとした目がなかなか鋭くて、堅物な感じが出てていいな。
(木彫りの熊とか言ってたくせにもうかなりハマってきてる)

*「(手先に使った陪膳の女房を)抱いたのか」っていう兼家がマジ兼家。
 さすがだわ〜蜻蛉日記でおなじみのモテ男みがある。
(ところで陪膳するのは采女だから女房というより女官かと思ってましたが内裏女房ってことなんですかね)

*東三条第。幼い定子さまと懐仁親王さま。
 いとこ同士の親戚だんらん風景のなかで、もうすでにこの二人は妻合わされることが確定しているという平安藤原お世継ぎ戦略。
(道長に追いかけまわされて地に転ぶ定子さま……うぅっ)
(おい道長! 道隆は妹とはいえ女御の詮子に敬語を使ってるぞ! お前も叙爵されてる身ならば見習いなされ!)

*悪い顔の安倍晴明に譲位をすすめられる円融帝。
 しかしバックに流れる不断の読経、マジでしんどいな。こんなの四六時中聞いてたら休まるもんも休まらんと思う(^^;
 そして兼家と円融帝の直接対決。
(帯剣に、束帯の裾を石帯にはさんであげてる姿、かっこいいいい)

円融帝「懐仁が東宮になるのか?」

 つまり→師貞親王が東宮でなくなる=即位する=円融帝譲位。
 まわりくどいのか直接的なのか……とにかくバチバチです。

*それにしても女人たちに取り囲まれる実資おもしろすぎた。ずいずい追い出されて無言の圧力がすごいw
 そして道兼に対する「あ、そ」←なにこれ、もう大好き(すでにドップリ秋山実資にハマってる)

*道長と道兼も直接対決。
 一献やろう、とにこやかに笑い合いつつ、後ろを向きざま、笑顔を消す二人……。
(個人的には柄本佑さんて少女漫画チック恋愛よりこういう演技が真骨頂だと思う)

*そして為時に対する兼家が急。
 いや、兼家はこれでいいんだけど、脚本のこういう唐突なセリフの流れにまだのりきれないの、あたい。許して。

*土御門第だ~!

 ↓↓↓現在の京都御苑、そのなかの仙洞御所にまたがるあたりが土御門第跡地と言われておりますね。

2024年1月撮影

*倫子さま、片膝をたてて箏の琴を奏してられるの、お素敵です。

*宇多天皇の曾孫を何がなんでもぶっこんでくる雅信パパ。
 Xでもつぶやいたけど、なにかの伏線なんかな?

 源氏物語には桐壺巻にお名前だけ出てくる、宇多帝。
 寛平御遺誡で海外の者との面会について制限してる、と。それで高麗人による光源氏の人相見は鴻臚館で行われることになった。

“宮の内に召さむことは、宇多の帝の御誡めあれば、いみじう忍びて、この御子を鴻臚館に遣はしたり。”

源氏物語 桐壺巻 


(寛平御遺誡ってもともとは醍醐帝への譲位に際してまだ13歳の息子に訓戒書として与えたものというけどその後、明治時代までずーっと守られてきたって言うから宇多帝の御遺誡の影響力すごいな)

*さてここではっきりと、やんごとなき貴族の姫君と下級貴族のまひろとの格差が出ました。

 邸内に足を踏み入れるや目に飛び込んでくる、枕草子の卯の花の牛車もかくやというド派手 雅な牛車。
 もっともっとはっきりしてるのが装束。
 幾重にも美々しい衣を重ね、裾を引きずっていざる姫君たちに比べ、とにかく衣の丈が短く、枚数も少なく、足もとも手もとも丸見え。源家の女房らしき人よりも粗末な衣服なんですよね、まひろさん。
 外を出歩く姿とか、ずっと違和感があったのはこれだったんだなぁ。
(にしても、為時パパも自分の指令で潜入させてるんだし、もう少し身なりに気を遣ってもらいたいものだけど……それができない性質だから出世できないんだろうけども……
 母を早くに亡くした弊害、という意見も見かけたけどまひろには乳母っていないのかな? 姫君にとっては大事だよ、乳母の存在)

*初登場、赤染衛門パイセンお美しい~~~!
「(漢字や漢文を学んでおかねば)我が子の指南はできませんよ」
(そしてゆくゆく、倫子さまの娘の彰子さまにはまひろが指南するというね)

 空気クラッシャーまひろ、偏継ぎでここぞとばかりに学んできた知識を使えて嬉しそう。(姫君たちはドン引き)
 倫子さまは本心から「すご~い」と思ってそうだけど、ただのふわふわお嬢さまじゃなくて同時にまわりの状況に目配りができる方なんだなぁと解釈しました。
 後世、長生き子沢山の強者はやはり違うということかな。

*そしてそして、ついにF4がそろったー!
(あとここは四条第ですか?!? 違いますか!?!)
 ちょっぴりイヤミのある出来すぎイケメンの公任さま推せる~~~!!

 行成! なんでいるの? ってちょっと思った(ごめん)けどやはり嬉しい。待ってました(*^^*)
 彼はなんとこの当時12~3歳。
(もうすでに元服してたんか? と思って調べてみたら行成、10歳で元服してるんだね。摂関家九条流の父や祖父を早くに亡くしたことが関係してるのか、母方の祖父のもとで育ってきて成人も早かったんだね……( ;∀;)ホロリ)

*みんながお勉強してた孟子はほとんど知らないので調べてみた。

「人皆有不忍人之心一一」

【書き下し文】
人皆人に忍びざるの心あり。
先王人に忍びざるの心ありて、ここに人に忍びざるの政あり。
人に忍びざるの心を以て、人に忍びざるの政を行はば、天下を治むること之を掌上にめぐらすべし。

【訳】
(人は皆、人の不幸を見過ごすことができない気持ちがある。
古の王は人の不幸を見過ごすことのできない気持ちを持っていたので、人の不幸を見過ごさないようにする政治を行っていたものだ。
人の不幸を見過ごすことができない心をもって、人の不幸を見過ごさない政治を行えば、天下を治めることは手のひらで物を転がすかのようにたやすくできる。)

孟子 不忍人之心   

↑↑↑ これは兼家の言葉とは対照的な感じかな。


*土御門のお姫さまたちは、次は和歌のお勉強。

古今和歌集 巻十五:恋五
【詞書】題知らず
【詠人知らず】
見てもまた またも見まくの ほしければ 慣るるを人は いとふべらなり
(一度逢うと、またさらに逢いたいと願ってしまう私なので、あの人は慣れ親しむのを嫌がっているように思える)

古今和歌集 巻十五:恋五

*そのまま盗んではダメだけど、古歌をリスペクトしてオマージュするような、本歌取りは技巧として認められている。
 あるいは紫式部はこの古歌を意識して、源氏物語中で光源氏から藤壺への和歌を詠んだかも?

【光源氏が藤壺との密通に及んだ後朝に詠んだ和歌】

見てもまた 逢ふ夜まれなる 夢のうちに やがてまぎるる 我が身ともがな  
(こうしてお目にかかっても、ふたたび逢うことの難しい世なので、夢のようなこの逢瀬のなかで、このまま紛れ消える我が身でありたい。)

源氏物語 若紫巻

*赤染パイセンはまるでいずれかの女御さまのように古今和歌集を諳んじているとのこと。

【小野小町】
秋の夜の 名のみなりけり あふといへば 事ぞともなく あけぬるものを
(秋の夜長なんて、名前だけ。いざあなたに逢うとなると、あっけなく夜が明けてしまったわ)

古今和歌集 巻十三:恋三

 しかしまひろさん、目上の方に「すごい、合ってます!」はマズイ……
 世間知らず感爆発ですね。
(細かいことをいえば古今和歌集恋三には小町の和歌は五首載っております(数えてみた))

*そしてまたまた散楽。
 いや~昭和のトレンディドラマばりに互いに思いを募らせたあげく再会を果たすソウルメイトの二人だけど、個人的にはそのあとの謎の男こと毎熊さんのハラり‪☆素顔! のほうが好みでちょっとときめいてしまった笑

 つづく。

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 ところで、公任が道長といると安心するって言ってたのは、まあこの時点では右大臣のマイペース三男坊は関白のエリート嫡男の敵ではなかったわけだよなぁってちょっと思った。
 しかしあの顔面強強町田公任が
「このあたりに若紫やさぶらふ」
とか戯れかけてくるんですか……え、やばい光る君が実在しちゃうやん……

 SNSなんかでは考証的なことがあれこれと議論されているけど、私はまあ、エンタメとしてドラマを観ているのでそういうことよりもストーリー上の疑問のほうが気になってしゃあないです。
 謎のテレパシー能力とか……笑

 独特の現代的な演技をする主演のお二方なので、回を経て、王朝サスペンス劇とかに発展したら、なかなかスリリングに楽しめそうな予感はヒシヒシとしております(*^^*) 


 ではまた次回!


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