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大河ドラマ「光る君へ」感想 (11)


 賛否両論…………だった気がする今回の大河ドラマ。

 北の方か妾か、とか。
 まひろと道長の恋愛観とか。
 前者は説もいろいろあるし、後者は好みもいろいろあるのでなんとも言えない気もするし。うーん。

 とりあえず、以下感想。


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*哀愁ただよう為時家。
 けどまぁ、「自業自得」とは言わないけど「そりゃそうやろ」とはなりますね(^_^;)

*そしてお久しぶりF4のみなさん!
 なんと公任、父・頼忠のもとに駆け込んできた道長を物陰から見てたんだね。
(そういうシーンをセリフで補わずいちいちちゃんと入れたらいいのにと思う一視聴者)

 花山院の突然の退位の件。
「聞かないほうがいいよ」って道長、もう逆に隠すつもりもない感じ。
(ところで王維について論じるって言ってました??)
 道長の顔つきが変わった、という行成。アオハルの親友ポジですね。
「頼まれていた詩経の写しを」と道長に差し出す行成。
 行成が書いた文字はのちのち『権蹟』と呼ばれ、その書は書き損じの下書き紙であっても貴族たちがこぞって奪い合うほどの価値があったという。
 この頃からほいほい書かせてる道長はさすがとしか。


*まひろは倫子のもとへ。
 父の処遇について、左大臣にお願いを。
 と、ここで強く「それは無理」と否定する倫子。
(黒木華さんてそういう役柄を演じるイメージある。一見おっとりしてるようで芯が強い役)

「おやめなさい」と言われたのに行くまひろ。(なんでやねん)
 っていうか、マジレスすると道隆のもとへ行けばよかったんじゃ……為時は漢詩の会に呼ばれてたし、まひろも面識あるじゃん。そこを足がかりにしなよ〜(そういうところがいちいちどんくさそうな親子ではあるが)


*ことさらにどすどすと歩いてくる段田兼家が良き。
 数々の古典文学で傲岸不遜を謳われた兼家みがあるw

 まひろ……「父は真面目に努めていたのになにゆえ何もかも取り上げられなければならないのか」って。
 すごいビックリした。お願いに来たのになぜへりくだらずに相手を責める口調なのw
 案の定、返ってくる兼家のド正論。そうそう、為時が兼家のためには働けませんって言ったんよ。
 どのツラ下げて、って言われても仕方ない。そりゃあそうよ。
 為時がマズったんだよね、明確に ( ;ᗜ; )


 ところでこの後、道長がまひろを見かけて隠れたのがわからないんよね……
 なんで隠れたんだろ。逆ならわからんでもないけど……。
 そして兼家にとってはまひろは虫けら。道兼と同じ思考ですね。

*この“高倉の人”って、なんでこんなに丁寧意に見せるんだろう……なにか重要な伏線なのか?
 このドラマの意図、基本的によくわからない。

*労りにきた宣孝「お前すごいな」←ほんとだよw

「婿をとれ」「顔は悪くないんだし北の方にこだわらなければ」と結婚をすすめる宣孝。
まひろ「妾になるのは……」(基本的に紫式部ってプライド高いもんね)
宣孝「若くて富のある男がいい。わしのような」←お前だよ(全視聴者のツッコミ)

 そしてちょいちょいカットインする淫靡な回想……やめて恥ずかしい(/ω\*)


*直盧! 執政者の証・直盧! &臨時の除目!
 昇進して嬉しそうな為光に笑っちゃった。(前々から思ってましたがあなたの娘さんたちスゴいですよね!)
 そしてここから道隆(&道兼)の露骨な出世が始まるわけで。。

 それはそれとしてちっちゃいお引き直衣の一条帝〜〜かわいい〜〜〜!(癒され)
 詮子さま、「命をかけてささえる」の言葉どおり、この先しっかりベッタリ前面に出てきますよね。

 そしてそして居貞親王(三条天皇)だー!
 帝より歳上の東宮。どちらも兼家の孫なのに(しれっと情報出しましたね)やはり母后の存在は大きいということか。

 言わずと知れた、百人一首68番歌の帝ですね。

【詞書】 
(例ならずおはしまして位などさらむとおぼしめしけるころ、
月の明かりけるをご覧じて) 

 心にも あらでうき世に ながらへば
  恋しかるべき 夜半の月かな

【訳】
(病を得て退位を決意されたころ、明るく輝く月をご覧になって)

 心ならずもこの浮世(憂き世)に生きながらえていたならば、
 きっと恋しく思い出されるに違いない。
 今宵のこの月を。

後拾遺和歌集 巻十五 雑一

(詞書読むだけで悲劇の予感しかなくてツラい( ;∀;) )

*道綱、道綱。
 もっぱら癒し枠(?)になってしまった道綱31歳。少なくとも二児の父。
 いくらなんでも幼すぎて笑うしかないw 役に立つ自信ないとか言っちゃってるけど、後年までわりと図太く生きますよねこの方w

*そして本日の見どころポイント、即位式!!!

 まだ稚い帝の美しい礼服……両肩に日と月。背中に北斗七星……!
 袞冕十二章でございますわよ、みなさま!!!

 今上天皇の御即位のテレビ中継(正座して観てました)でおなじみになった高御座が出ましたね。
 そしてそこに、子どもの生首が……

 こちらは大鏡ネタ。

(略)前一条院の御即位の日、大極殿の御装束さすとて人々集まりたるに、高御座のうちに、髪つきたるものの頭の、血うちつきたるを見つけたりける、あさましく、いかがすべきと行事思ひあつかひて、かばかり隠すべきかとて、大入道殿に、「かかることなむさぶらふ」と、なにがしのぬしして申せさせけるを、いと眠たげなる御気色にもてなさせたまひて、ものも仰せられねば……

【訳】さきの一条天皇のご即位の日、式場となる大極殿のお仕度をするのに人々が集まったところ、高御座の内に髪の毛の生えた、なにか得体の知れないものの頭で、しかも血がついているのを見つけた。
 あまりのことに驚き、どうしたらよいかと行事(責任者)が対処に困り、「これほどの大事を隠しだてするわけには」と、大入道殿(兼家)に「こういうことがございます」と何某殿(殿上人の誰か)を通してお伝えしたところ、ひどく眠そうなご様子で何もおっしゃられません……

大鏡 人 道長・雑々物語

 スルーしたのは兼家ってことになってますね。しかも狸寝入りw
(前賢故実の絵ってこのシーンを描いたものなのかな ⇃⇃⇃)

菊池容斎『前賢故実』


 ドラマではこれを花山院の呪詛のしわざみたいな演出にしちゃったのか~
(失敗して失意の花山院は書写山へと旅立って行きましたナレーションはさすがに……曲解しすぎやろw)

道長「鴨川に捨ててまいれ」←けっこう遠いぞ鴨川w
 ここで“穢”、言い出した。あったんですね。穢。
 座面を袖でごっしごし拭く道長。そんな上等の衣で……さすがに畳紙とかで拭こうよ。。
 でもこのへんの豪胆さは道長の解釈としてちょっとわかる。

 あと、引用内で太字にしたんだけど道長が言ってた“装束せよ”は“(儀式のための)室礼をせよ”っていう意味だそう。

 死穢などの凶事はバレなきゃOK……
 えっ、兼家、これが誰の仕業かわかってんの!? まさか花山院の呪詛とか言わんよね? だ、だれ!?(置いてけぼりの視聴者)



*そして本日の見どころポイントその2!
 あああああ~~~中関白ファミリーですわ!!!!
 12歳の伊周さまがご立派にお育ちあそばされすぎてて、後ろに控える阿古君(推し)が見えませぬぅぅ( ;∀;)
 しかしこの伊周のいらんこと言いっぷりw
 聡明というか賢しらというか……空気読めなのはこの頃からだったということか。(それでこそ我らの伊周アニキだ!という感じもするw)
 myガデス定子さま! きました!(もぐもぐお料理召し上がってててかわゆい!!)
 道隆パパ! もう一人いますよ! 大事な弟君が! 後世、日本を救う英雄が! 私の推しが!!!


 そこへ踏み込んでくる道兼。
「なぜ私が呼ばれていないのですか!?」
 とかストレートに言っちゃう道兼に涙。一周まわってもう切ないな。
 まあまあ、まあまあする兼家、道兼あからさまに不憫すぎて笑ってしまった。わかってたけど(^_^;)

 しかしこの兼家の傍若無人で口八丁なところがすごくゴッドファーザー兼家で好き。
 三兄弟、もう少しこのへん見習えやw

(道兼の娘の話題が出ましたね! この時3歳なら尊子!)


*しかし道綱。
「どう!しっかりやってる?」
「見に来た~(^^)ニコニコ」
「おお……どうも(誰だっけ……?)」
 このおバカっぽさすごいな。想像以上にすごい笑
 これなら「漢字は自分の名前くらいしか書けん」とか言われても納得できちゃう (^^;

*為時邸では家人のみなさんにお暇を。
 お給金払えないもんね……さよなら従者のみなさん

 お手紙眺めるまひろ。
(こういうシーンがとにかく多いけど、個人的に恋愛ドラマ経験値が低すぎて私にはわからん……顔ばっかり見せられてもな~って思っちゃう(^^;))

【詠み人知らず】
 君やこむ われや行かむの いさよひに
  真木の板戸も ささず寝にけり

【訳】
 あなたはくるかしら。それとも私が行こうかしら。
 そうしてぐずぐすしているうちに十六夜の月が出て、真木の板戸も閉めないままに寝てしまったわ。

古今和歌集 巻十四 恋四

 詠み手は寝てはいないと思います、というまひろ。
 私にはわかる感。そうね、恋してるからね。。

 しかし、倫子さまの「いま狙ってる人がいるの」にまたまたビックリ。
(思うに、ポップでライトな平安絵巻を描こうとして失敗しているのでは……なんというか、装束も調度も道具類が立派なだけに軽いノリが浮いてるような気がする。ちょっとさみしい)

「思う人がいる」本来なら、それこそ親に言わなきゃ、倫子さま。
「かならず夫に」って、なおさら言わなきゃ。
 そんでこれはあからさまな後々のための伏線なのかな。。


*働くまひろ。
 掃除や洗濯。
 書物の書写。(これ、写本売ったりするのかな。紙は貴重品なわけでございますが……まあそれはそれとして)
 書写していた書物 ① 史記。
 枕草子のタイトルのきっかけとなったのが一条天皇が書写していた史記ともいわれますね。“敷き”に対し“枕”をお書きになったら? と定子さまに進言したところ、「そなたがお書き」と紙をくださったという。前漢の司馬遷による歴史書で、当時の漢文の基本中の基本らしいですね。大学寮の紀伝道でも学ぶ。
 書写していた書物 ② 長恨歌。
 こちらはおなじみ唐の詩人・白居易による玄宗皇帝と楊貴妃を詠った長歌。桐壷帝と桐壷更衣のくだりなど、源氏物語に何度も引用されていることは有名ですね。


 そしてめっちゃ働くまひろ。もりもり働くまひろ。
 そんでそこへ…………会いに行くんかい道長!
 なんでやねん、わからーん ( ;∀;)
「もういい加減にしてくださいませ!」←よくぞ言った乙丸のこれ、今までにも何回も逢い引きしてるってこと??
 ここまで来て垣根のうちまで覗いてたんやったら自分で言えばいいのに、言伝にはこだわる道長。
(あとここのBGM笑ってしまった。そんな感じなん??w)
 まひろもほいほい行っちゃうんかい! またぶっちゅーするんかい!!
 もうわからない、若気のいたりこわい ( ;∀;)
(と思ってたら、一緒に観ていたティーネイジャーの娘たちも「行ったらあかんやろ!」とツッコんでたのでここはもう燃え上がる恋の暴走か)

 さらに道長の「妻になってくれ」には度肝ぬかれた。
 前回駆け落ちあきらめたのに??
(わからーん! もうわからん!)
道長「政のいただきにたつから」
「そばにいてくれ」
まひろ「北の方にしてくれるってこと?」
「妾になれってこと?」
道長「北の方は無理だ」
(当時は婿入り婚なのでね、偉くなるにはもちろん、妻の身分は高いほうが良いのでね)
まひろ「そんなの耐えられない!」
 ここでブチン‼‼ と二人の仲に亀裂が!
「遠くの国はいや」「偉くなれ」「北の方でなければいや」「勝手なことばかり!」
 キレる道長。ぜんぶ全部、そのとおり。。

 でもだからそもそも、付き合えないって話だったはずなんよ。
 きっぱり別れてそれぞれの道を歩めばよかったのに、道長がどうしても一緒にいたいというから話がぐだぐだになっとるんよ。。
 なので、これはどっちもどっちです!
 双方、若気のいたり恋愛! ドロー!!


 いやー、恋愛パート、いろいろキツイですね( ;∀;)
 これを今後の成長に……ラブでなく別の何かにうまく昇華させてほしいものです。。

(でも「勝手なことばかり言うな!」っていう道長、これこそ道長やんって感じがようやくしたのもまた事実。なにせ彼は望月の男)


*わざとケンカ別れするようにまひろがしむけったって意見も見かけたけどさすがにそれはない、と個人的には思いますね。
 これは、若く青い恋が燃え上がって燃え尽きてその先までを辿るための過程……だとまだ思ってるので。

 あとですね、↓↓↓のネット記事で呼んだんですが、「大石静さんの脚本のセリフが矛盾してることが多くてそれを吉高さんが見事に演じててすごい」って、柄本明さんが発言してるのを見かけたんですが……
 あれ、わざとなの。ちょっとよくわからない矛盾したセリフの数々!(゚д゚)!

 たしかに宣孝が以前に、「揺れるのはお前が人だから」って言ってたし、光源氏なんか揺れ揺れだしそういうことを意図してセリフ書いてるのかもだけど。
 それって高度なテクニックなのかズルい手法なのか。うーんわからん。
 どちらにしても私にはなかなか理解が難しい……



*東三条第で、兼家が自分でシュレッダーかけてるってSNSで見かけて笑ってしまったw
 ほんとだねww

 道長がなにかをお願いしにやってきて、待て次回。


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 次回はいよいよ道長の結婚かな~
 倫子の猫しか愛でません! がちょっとナゾだな……まさか明子のほうが先に縁付いちゃったとか??
 明子との結婚に関しては、兼家にメリットがあるようには思えないけどどうなんかしら。


 まひろのほうもそろそろNew当て馬 気になる人が出てきたりするんかな。上原作和氏が唱えられてた紀時文とか??(だったら個人的には激熱ですが)



 まひろ(為時)が越前にいくのも道長の世になってから……つまりまだあと10年弱はあるしね。
 そういえば、「めぐりあひて」歌の“雲がくれの君”こと平維将の娘さん(ドラマではさわさん)もまだ登場してないんだった……

 さすが大河。まだまだ先は長い!


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