大河ドラマ「光る君へ」感想 (2)
衝撃のラストから1週間。
今週は6年後……と前情報を仕入れていたのだけど、まさかのっけから6年後からとは。
(今回、悩みに悩んだすえ、ガイドブック的なものはまだ一つも読んでない。まずはまっさらな気持ちで、毎週挑む所存……(お前は何と闘っているんや))
あ、ちなみに今回のトプ画は平安神宮です。
七夕の風鈴祭りの折のもの。
では、以下感想。
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*永観2年(984年)
まひろ裳着からスタート。
貴族の姫の成人の儀ですね。
職場の人に訊ねられたんだけど、当時の成人は20歳(今は18歳?)ではない。
男性の元服と同じく、第二次性徴期ごろ。
宣孝が言っていたように、女性にとっては“婿がとれる、子が産める”という身体に成長したら(ぶっちゃけてしまうと“生理が始まったら”)ってこと。
腰結の役がゆくゆく夫となる宣孝だったのはちょっとときめいたかも。
元服の加冠と同じく、裳着の腰結役は尊長の者が頼まれて行い、名付け親のように先々まで後見してくれるという。
それを未来の夫君が結ぶというのはそこはかとなく色っぽさが漂うなって。
*6年の確執。
まひろは道兼について秀吉……もとい宣孝に訊ねる。
前回以降、ずっと父とは溝があったよう。
うーん……もちろんそうなんだろうけど、6年間一度も宣孝に訊く機会なかったん?
*重たい装束を脱ぎ捨てて文机に向かうまひろ。
脱いだ装束が空蝉になってるのがポイント。
(とても立派な唐衣裳一式、おそらく借り物の装束じゃないかと思ってたんだけど扱いそんなでいいのかい?)
*ちなみに文机の上でまひろが書き写してたのはやはり後撰集。
紫式部の曽祖父・兼輔の部分でしたね。
前の和歌が“藤原滋包女”の五節の和歌、というならびから後撰集の巻十五とわかった。
太上大臣・藤原忠平(道長の曽祖父)がまだ左大将であったころ、相撲の節会の還饗、つまり宴にて中将であった兼輔が子を思う親の心を詠んだという和歌。
兼輔は百人一首の
「みかの原 わきて流るる 泉川 いつ見きとてか 恋しかるらむ」
でおなじみだけど、この「人の親の」歌もかなり有名。
ちなみに紫式部は源氏物語の桐壷巻でこちらの和歌を引用している。
*町の絵師(小遊三師匠!)のもとでこっそり代筆、代詠業をやっているまひろ。
身分があまり高くなくて職にもあぶれているような歌人などは、そういうことを生業にすることがあったらしい。
ちっちゃいミニミニすずりがかわいいな!
*依頼主による貧富の差が細かくてよき。
良い紙もあれば悪い紙もある。板も陶器もある。
当時、紙は高級品ですもんね。
*円融帝の御前のシーン。
あいかわらず声のはらない関白さま。
そしてロバート実資の顔見せ!
実資は頼忠の父・実頼の養子になっているので頼忠は義理の兄弟ということになる。も少しサポートしたげて~〜
扮装スチール写真初見では「木彫りのクマみたいだ実資……」と思ったけど、慣れてくると恰幅がいいのでなかなかサマになっておられる秋山氏。
「正直いって右大臣さまは好きではない」←三回言いました。
でも正しいことは正しいと認める。そういう率直なところが実資という人の魅力だね。
*兼家の三兄弟
年代的に時姫はお亡くなりとは思ってたけどナレ死ですらない……と思ってたら、さらりと「“亡き”時姫の息子たち」言うてたわ。
長男・道隆。従三位、右近衛中将、31歳。
次男(実際は三男)道兼・従五位下の蔵人。23歳。
三男(実際は五男)道長・同じく従五位下、右兵衛権佐。(あっ、佐殿だ。流人になる前の頼朝と一緒……ということはやっぱりこのころの道長の昇進速度はそんなに速くない)18歳。
個人的には武官装束をたくさん拝めて眼福です。
*いっぽうそのころ、不遇の身の詮子。
第一皇子懐仁親王(のちの一条帝)を産んだものの、円融帝は兼家を警戒して子のない遵子を中宮に立てた。帝のお召しもとんと絶え、ときめきたまわぬ女御、つらい。
(ぬるっと藤三位の局こと繁子さま登場。懐仁親王の御乳母にして道兼の妻になる人)
そんな帝にゆさぶりをかけようとする兼家。露骨すぎる父に引きぎみの詮子。
たしかに第一皇子に対して“生かすも殺すも私の自由”は言い過ぎでございます右府さま。
*道長と詮子の恋バナ。
道長、まひろのこと忘れられなかったんだ……2回会って菓子食べて話しただけなのに……?
(あと細かいことを言えばたとえ弟といえど、さすがに今上の女御の御前にそんなズカズカと上がりこめませんよね(^_^;) 都合上、御簾とかのない世界なのかな??)
*今週の為時パパの漢学講座は孟嘗君。
鶏鳴狗盗(けいめいくとう)……犬のように盗む、鶏のように鳴く、などの特技を持つ(バラエティゆたかな?)部下たちを従えていた孟嘗君。そんなつまらない特技でも主の役に立つことがある、という故事らしい。
百人一首でもおなじみ、かの有名な清少納言と行成のアレですな。
*代筆業には、なかなか恋がうまくいかない青年が何度も相談にやってくる。
和歌を詠むにあたって思い出の花以外にもなんかあるやろ……と思ってたら夕顔でしたね。
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 花の夕顔」
(もっと近くに寄って見てみたら? 黄昏にぼんやりと見えた夕顔を(そしたら僕が光源氏かどうか、わかるだろう?))
和歌はこれでいいんですかね。これって“ただしイケメンに限る”的な和歌じゃないかと……。
*今週の散楽は詮子と遵子と帝の三角関係。
最後の「弟よぉ~」って道長に詰め寄る、あれはなんだったんだろ。あの演出、何か意味あるんすか??
*例のなかなかうまくいかない男性について、和歌を渡したときに言ってくれたらよかったのにっ……とぼやくまひろちゃ。
(どっこい彼は実は字が読み書きできないんですね)
むしゃくしゃして草履をぶっとばし、道長の後頭部にポコン。拾ってくつをはかしてくれるプリンスな道長。足のキズで気づくまひろ。
ソウルメイト再会……って、こんなさらっとした感じ??
ところでまひろ、代筆屋で男のフリしてたんすね。
うん。どう聞いても男の声ではなかったな。(大人のフリをしてるのかと思ってた (^^;))
*詮子久しぶりのお召しでざわつく後宮女房たち。
しかし「湯浴みもすませてヤル気満々(笑)」て。さすがに下世話。
が、女房たちっておそらくこんなだったんだろうなぁ。
それよりも円融帝が酷すぎて。
史実としても入内して子が一人……ということは、いわゆる夫婦仲はかんばしくはなかったんだろうけど、それでも好悪の感情をこんなあからさまにするのはまったく意味がない(どころか悪手な)気がするなぁ。
愛されない女御。「しあわせな女子なんているのね……」と弟にこぼす詮子…………あああああ、これは間違いなく定子に影響してしまうやつでは……。
*師貞親王の親子丼談話。
「しばしばじゃ♪」じゃないんですよ、まんまとセックス&バイオレンス路線とやらの餌食ですよ、東宮さま。。
*道兼に、帝に毒を盛るよう指示を出す兼家。
ここで6年前のちやは殺害の件をもってくる兼家。
さてSNSなどではここ1週間、この件の“穢”について、いろいろと議論がありましたが……
「ここで回収されました!」という意見も見かけたけど、これはまったく“穢”については回収されてないよね。
「高貴なものは自らの手で人を殺めん」とかいう掟?(というかそれは人道?)の話を兼家はしていたけど、それはこの当時の“穢”とはまったく別物。
これはフツウに現代的な殺人事件としての“手を汚した”話だと、私は解釈しました。
どうもこのドラマの世界では“穢”の概念については「ナシの方向で」ということなのかも?
*小遊三師匠の絵。鳥獣戯画みたいなのもあってかわいいなぁ。
*まじめに兼家に東宮の近況を報告しつつ、まじめに教育にも励んでいた為時。
見るべきほどの者はちゃんと見ているという師貞親王。
(本郷奏多氏、イケボやな)
トリッキーだけど、「お前だけは見捨てないでくれた」とか、かわいいことも言う親王さま。
さてどんな帝におなりあそばしますことやら……。
(親子丼ネタが出てきたのでひとまず即位の儀が非常に心配な古典オタク)
*代筆業がバレて、為時と口論しているまひろ。
書写していたのはまたまた後撰集。
素性法師の文字が見えて、嬉しくていそいそ調べちゃった。
(素性法師は百人一首の歌人。父は同じく百人一首の家人にして六歌仙の一人・僧正遍照)
この和歌の前は詠み人知らずの「浜千鳥」歌。後は同じく素性法師の「音にきく」歌。
詞書までちゃんと読めますね!(^^)
*そして脱走したまひろ。
放免だ! 放免が出てきた!(歓喜)
放免とは、検非違使つまり警察的な機構の手足となって働く元・受刑者たちのこと。文字通り放免されるかわりに下部の労働義務を果たすんですね。
摂関家の子息にそんな無体を働いて大丈夫かっと心配になっちゃいました。
*まひろと道長(と毎熊さんと放免たち)がバタバタっと遭遇して次回へ。
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個人的な感想としては、今のところまだ、「わりと淡々と進むなぁ~」って感じかな。
ちりばめられた小ネタや伏線。そして衣装、大道具小道具の舞台装置。
穢の概念や御簾など、細かいことはさておき、ドラマとしては興味深く観ておるわけなんですが……。
うーーーーん、やっぱりどうにも、まひろと道長のソウルメイトラブストーリーにはピンとこず。
いまはこういうあっさりめの恋愛が主流なんかしら。
まあそこらへんは気長に見守ってこ。
そしてそして、来週はいよいよ町田公任が出るぞー! ビバ! 三舟の才!!!
行成と斉信も出るっぽいぞー!!
続々と出てくるあの人この人。
楽しみなり(^^)
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