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プロフェッショナル✖️先生


「この子には,どんな武器作ったんだっけ?」

「この子は,どんなボスと戦ってたかな?そういえば経験値は結構もらってたな。」

年度末,成績処理をしているときの私の頭の中は,こんなこと考えています。だから全然進みません。面白いからいいんですけどね。


私が行いたいのは,無力なゲリラである若者たちが,自分たちが弱者である日本社会というフィールドで戦えるように,「武器としての教養」を配ることなのです。

京都大学客員教授として,「意思決定の授業」をしていた,エンジェル投資家の滝本哲史さんの本,「武器としての決断思考」の中に書いてあります。





今週,目の前の現実から逃げるため,この本を読んでいました。この中の「プロフェッショナルとエキスパートの違い」について,考えてしまったので,まとめてみようかなと。武器の部分はあまり関係ないですけど…。


エキスパートの価値は暴落する。


毎年のように最新機能を付けて,販売される最新家電。

ついこの前買ったばかりなのに,自分のものにどこか古さを感じてしまい,新しいものに買い替えてしまう…。
これと同じような状況が社会の中でも起きています。


速いもの競争。常に利益を出さなくてはならない資本主義社会。

こんな社会の中では,せっかく積み上げていった知識やスキルは,あっという間に過去のものになってしまい必要性がなくなってしまいます。
最新技術もどんどん更新されるため,その変化に対応するのにいっぱいいっぱい。

一つのジャンルに特化し,
専門性を高めていく「エキスパート」には,

とても大きなリスクが存在している,ということです。


プロフェッショナルを目指せ


滝本先生は,本書で2つの条件で説明しています。

①専門的な知識・経験に加え,横断的な知識・経験を持っている。
②それらをもとに,相手のニーズに合ったものを提供できる。


歯医者を例に出すと,

ただ虫歯を治すのが,エキスパート。

虫歯にならないように予防から治療,もっといえば生活習慣の改善まで提案できるのがプロフェッショナル。

電動ドリルがよく売れる状況から,

「もっと高性能のドリルを作ろう」

はエキスパート。

より根本的なところまで考えて,

「お客が欲しいのはドリルではなく,穴。」

と考えるのがプロフェッショナル。
(この考え方,面白い。)


漏れる汚染水を解決したのは,トンネル工事の知識


福島の原発で問題となっていた,漏れる汚染水の問題の解決策を考えていた原発の専門家たち。なかなか解決策が見つからなったそうです。右往左往した結果,最終的に水ガラスを使う方法で漏れを防ぐことができましたが,この「水ガラス」を使う方法は,トンネル工事を行う建築業界では当たり前のこと。

結局,世の中には,それぞれの問題に対するエキスパートはたくさんいても,全体を見て判断できるプロフェッショナルはあまりいないのです。


専門性を高めた結果,限られた視点でしか物事を考えられない大人が,複数人集まっても,あまり意味がないのかもしれません。

幅広い知識を持つ人間の方が,鋭い洞察力で本質を見抜いたり,考えもしなかった策を思いついたり,様々な専門家が集まったチームは,今までなかったような新しいものを生み出したりするのでしょう。


「引き出し」の多さにプロフェッショナルを感じる。


ここまでまとめてみて,個人的に思ったことが2つあります。

一つ目に,先生という職業は,プロフェッショナルの条件②「相手のニーズに合ったものを提供できる」という部分において頑張ることが多い職業。

二つ目に,相手のニーズに合った手立ての中に,プロフェッショナルの条件①にあった「横断的な知識・経験」を活かすってなかなかできない…。


毎日,様々な出来事が起こる学校。授業でも生徒指導でも保護者対応でも職員室の中でも,相手のニーズに応じた”何か”をしていると思います。

学校という場所は,専門性を高めていくことも大切だと思います。ただ,高めるべき専門性の種類も,挙げようと思えばいくらでも出てくるんじゃないかな。それもどんどん増えていくし…。

学校現場でプロフェッショナルを感じる先生は,知識の幅も広いし,何より「引き出し」が多い!

そんな気がします。


「穴」に注目できる視点もほしい。


「引き出し」を増やすことに関して,やっていこうと思っているのは,いろんな本を読むことですかね。学校の中で学べることもたくさんありますが(学校に必要な知識の領域は学校で学ぶスタンス),教育とは別の領域で活躍する人の本や話は注目していきます。というか学びたい。

noteも大切な情報源ですね。本当に勉強になります。



そして先ほど出た「お客が欲しいのはドリルではなく,穴」という視点。

そもそもの問題を捉える枠組みを変えてしまうリフレーミングは,

子ども見る視点としても,大切な考え方であると思いました。



プロフェッショナルな先生。難しいなぁ。









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