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Photo by
15aya
運命だとか未来とか
ベランダが好きだ。
ベランダが好き、というと、真っ青な夏空に白い入道雲が流れておひさまの下敷布団を干す、みたいな光景を思い浮かべるんじゃないか。
人によっては、プランター菜園だとか、水草の鉢だったりするかもしれない。
だけど私の好きなベランダは、冬の夕暮れだ。
真っ暗で、空気が冷たくて、物悲しい風の歌が吹き抜ける。そんな冬のベランダが、私は好きだ。
頼まれていた洗濯物を全部取り込んだあと、何もなくなったベランダにひとり残って、
RADWIMPSの『スパークル』を、聴く。
暖かい部屋で過ごしていたときのジャージのままで、上着もマフラーもなく、冷たい空気が肌を裂こうとするのも構わず、ベランダを行ったり来たりする。
たぶん、もうすぐクリスマスなのに、とか、感傷に浸る時間もたまには必要で、
雲の切れ間からくっきりした淵の月が見え隠れするのを眺めて、
白く息を吐く。
体が冷え切ってからようやく中に戻って、また口ずさみながら夕食の準備をする。
運命だとか未来とかっていう
言葉がどれだけ手を
伸ばそうと届かない
場所で僕ら恋をする
運命も未来もすぐそこにある場所で
私はひとり恋に恋している。
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