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「成功するコミュニティを作る3つのデザイン」 vol.51

起業した会社が10年以内に倒産する割合は93%と言われていますが、エコビレッジなどのコミュニティもその例外ではありません。


世界中のエコビレッジを調べた研究者によると、10年以上残っているのは1割にも満たないそうです。同じ志を持った仲間たちが集まっているにも関わらず、なぜ僕らは失敗してしまうのか。


様々なコミュニティに立ち会い、成功と失敗を目にしてきた経験と、開村から10年を超えることができたサイハテ村の成功の秘訣をまとめたいと思います、題して〝成功するコミュニティを作る3つのデザイン〟です。

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コミュニティマネージャー的視点にはなりますが、振り返ってみてコミュニティが発展していくために必要な要素は、大きく分類して3つある事が分かってきました。一つは〝フィールドデザイン〟 日本語で「場の審美性を根源にもつ計画的行為」という意味があります。


「場」には「物事が起こり進行している所や局面」という意味があり、美しく豊かな場をデザインすることで、コミュニティに活力を与え、様々な局面を生み出してくれるようになります。


サイハテ村で言うと、焚き火スポット、アースバッグハウス、パーマカルチャーガーデン、ゲストハウスや木工工房、染色工房やアトリエ、ラボやヒーリングサロン、コワーキングスペースやプールに遊具、にわとり小屋やコンポストなど、一万坪の敷地に作られてきた物質的な場が生み出す力です。

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例えるなら、漂着ゴミが溜まりやすい海岸に、斬新な掃除道具やゴミを入れると音楽が流れるゴミ箱をアートのように配置したらどうなるでしょう?人を惹きつける美しさや魅力があると、人はなんらかのアクションを起こさずにはいられなくなるのです。


快適なゲストハウスやBarができると人が集まり、関係性が生まれ始めるし、家庭菜園やにわとり小屋があるおかげで、作物の作り方や命の循環を意識し始めるのです。


逆にその場がゴミに溢れていたり、掃除が行き届いていないような時、コミュニティの力は発揮されず、対立や不信感が蔓延しやすくなるので注意が必要です。

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2つ目は〝ストーリーデザイン〟です。物事が審美性を持って具現化していくためには、物事が滞りなく流れるための動機、つまりストーリーが必要不可欠です。


そもそもデザインとは、課題を解決するための手法ですので、ニーズを拾い上げ、なぜそれが必要なのか、どうやって形にしていくかなどのブラッシュアップを重ね、実現可能な物語へとデザインしていくことになります。


時にはマーケットをリサーチしたり、企画書や事業計画書を作ることもありますが、フィールドデザインを作り出すための原動力であり、画期的なアイデアや方法論を生み出し、人を惹きつけ新しい関係性を生み出してくれたりもします。(誰もやりたがらない開拓をイベントにしちゃったりね)

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他にも、コミュニティに何が起こっているのか、僕らはどんなことに心を揺さぶられているのか、などを個人的な視点やコミュニティの視座で語ったり、喜怒哀楽を織り交ぜ物語を紡ぐストーリーテリング(物語を共有する社会的・文化的活動)もデザインの一部と言えます。


優秀なストーリーデザインはコミュニティの存在意義やビジョンを語り、美しく豊かな物語を視覚的な世界へと創作する行為なのです。


そして3つ目が、人や場を囲んでいる独自のムード、無形であるものの人の感情や気分に大きく影響する〝マインドデザイン〟です。

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人の気分や場の雰囲気に働きかけるため、デザイン自体を視覚化させる事が難しいのですが、例えるならムードメーカーやカリスマが発する独自の空間演出のようなものや、人の感情にアプロ ーチさせる美術品や仕掛けと言ってもいいでしょう。


プロジェクトをするにしても、コミュニティを作るにしても関わる人が放つムードによって、出来上がってくるものも違えば、語られるストーリーも変わってきます。


大げさかもしれませんが「この世界は気分でできている」と言っていいほど、感情は思考を操り、言動や行動としてこの世界に発露されています。

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コミュニティが崩壊する原因の大半が人間関係と言われていますが、複雑かつ深い関係性になるほどマインドデザインは扱う事が難しくなります。


人の感情はその瞬間だけでなく、過去や未来にもアクセスするため、些細なきっかけから嫌な記憶が呼び起こされ関係が悪化したり、未来に不安を抱いたりしますし、感情は伝染するので、大衆化された雰囲気を変える事はとても難しいのです。


なので、傷ついた感情を癒したり、思考や意識を変化させたり、高揚させたりという感情をデザインするには、高い精神性や安定性を持った人が扱う事が多いのですが、それを視覚化させているのが、神社やお寺の住職だったり、ディズニーランドなどの細部にまでこだわったデザインによるものなのでしょう。

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そして、これを悪用することがカルト化だったり、カリスマ優位なコミュニティだったりするわけですが、持続可能性の高いマインドデザインは、特定のプレイヤーだけではなく、個々人がポテンシャルを発揮しやすい世界観を作ることが求められるのです。


VUCAの時代(これまでの常識を覆すような社会変化が次々と起こる時代)では、柔軟に物事を見極めていく必要があり、その時代にあったコミュニティデザインが求められると思いますが、この3つのデザインはいつの時代も普遍的に存在していたと思います。


これからはコミュニティの時代です。フィールドデザイン、ストーリーデザインそしてマインドデザインを上手く組み合わせて、あなたのコミュニティが10年も100年も続きますように。


次回は、vol.52「ユニット型新住人〝イナカデイエタテ〟」です。フォロー、スキ、シェアしてくれると励みにります!^ ^

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