「でもあの人、良い人なんですよ」「日大監督指示無し」「安倍総理の言葉」

最近、個人の思考力というか読解力が試されている気がしています。

特に、日本人の性格タイプであるエニアグラムのタイプ6は、思考センターの否定点にあり、「思考停止」ともいえる性格タイプです。
タイプ6は、自分で考えずに、偉い人、ニュースなどの他者が作った考えに依存します。自分で内容を吟味することなく結論を求めます。

「で? 言いたいことは?」
「結論は?」

あるタレントさんが、言っていた言葉に
「話の中で人の悪口をさんざん言っても、最後に“でもあの人、良い人なんですよ”とフォローを入れたら、それまで言っていたことがチャラになる」
というのがあって、

これって、
入試試験などで、「作者の考えを書け」という問いに対し、文章を全て読まずに、最後の方だけ見て、それっぽいのを探したり、「~なのである」「~と言えるだろう」の前の方を拾ってくる。そんな行為に似ていて、
そういう人は本当には“読めていない”ということになります。
つまり読解力が無い。

こういった、思考力と読解力にまたがるものを何と言えばいいのでしょうか?
読解力でまとめても良い?
この文章では「思考力・読解力」という形で、話を続けてみます。

日本大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、
警視庁は5日、内田正人・前監督と井上奨(つとむ)・元コーチについて「容疑はない」とする捜査結果の書類を東京地検立川支部に送付したそうです。
試合映像の解析や関係者への聴取結果などから選手への指示は認められないと判断したとのこと。
一方で、タックルをした日大選手は、名前と顔をさらして告発までしたのに、書類送検されました。

「結論は?」
「監督・コーチは悪くない。悪いのは選手。はい、終了」

この結論に対して、
日大の第三者委員会で内田前監督らの指示を認定した勝丸充啓(かつまる みつひろ)委員長(元広島高検検事長)は、
結論を受け入れること無く、反論しています。

「上からの指示がない限りあのようなプレーはできない」
「(反則で受けた)15ヤードの罰退(陣地の後退)を知った時になぜ監督は選手に何も言わなかったのか説明がつかない」

https://www.asahi.com/articles/ASM255D4MM25UTIL02Y.html

このかたの思考は動いています。「結論」を受けても思考停止していません。

再度、言いますが、
最近、個人の思考力・読解力が試されている気がしているのです。


安倍首相は衆院予算委で、厚労省が不正な抽出調査を行っていた毎月勤労統計で昨年、担当者が全数に近づける修正をひそかに行っていたことについて
「(それ自体が)間違った行為というのはいかがなものか」
と問題ないとの認識を示した。(共同通信)

この発言に対して、はてコメでは、
「なんか答弁の原稿書いてる官僚が、どこまでバカなこと書いたらアベが気付くかチキンレースやってるような気がしてきた。今日も賭けに勝った模様」というコメントが入っています。

この、コメントを入れたかたは、「結論」を受けても思考停止していません。
これが正しい姿であるはずなのですが・・・、たぶん安倍総理の結論を鵜呑みにしている人も一定数いるものと思われます。

ちなみに、安倍総理も思考の否定点のタイプ6です。
なので、総理自身が、答弁を書いた官僚の「結論」を信じている可能性があります。
安倍総理の思考力・読解力も試されています。
チキンレースはどこまで続くのでしょうか?

タイプ6は依存体質です。結論も外に依存します。
それで、思考停止になってしまいます。
昨今のように複雑さが増している問題に対して、結論を自分で考えずに外に依存しがちになります。
権威の言った結論、相手の言った結論、誰かが言った結論。

依存をしているとタイプ6は楽です。自分には責任が無いと感じられます。
もし結論が間違っていたら、その結論を言った人が悪いとタイプ6は思います。

「自分は悪くはない、だまされたんだ」

少し話は飛んで、
「国際成人力調査(PIAAC:ピアック)」
の話をしたいと思います。

より

先進国の成人の約半分(48.8%)はかんたんな文章が読めない。
先進国の成人の半分以上(52%)は小学校3~4年生の数的思考力しかない。
先進国の成人のうち、パソコンを使った基本的な仕事ができるのは20人に1人(5.8%)しかいない。

※PIAACの例題はこちら → http://www.nier.go.jp/piaac/

 ヨーロッパの国を見ると、PIAACの結果は南が低く北に行くほど高くなります。ユーロ危機のときにPIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシア、スペイン)と呼ばれ、財政が悪化し失業率が高く、右派や左派のポピュリズムに翻弄される「南」に対して、北欧など得点の高い国は、排外主義的な政党が勢力を伸ばしてはいるものの失業率は低く社会は安定しています。

これが本当であれば、という条件付きですが、
国民全体として見たときに、思考力・読解力が高い国は、国としての強度が高いということです。
誰かが作り上げた「結論」や、誰かが語る「ストーリー」に惑わされることが無いということです。
また、国の強度を上げるためには、構成員の思考力・読解力を上げれば、その分、強度があがるという話にもなります。

なんというか、舌が肥えたお客が来る店の料理が、お客に鍛えられおいしくなるように、
思考力・読解力の肥えた国民がいる国は、その分、引き締まる。
ということです。

「国際成人力調査」だけ見れば、日本は点数が高めの国となるようです。
ですが、国民性としては、自分で結論を考えずに、他者の結論に依存するところがある国です。
つまり日本は「右へならえ」となりがちな国です。
なので、国の強度としては弱いと考えられます。

これは、
伊藤祐靖の言葉から日本のタイプ6な国民性の箇所を抜き出してみる
で紹介した伊藤祐靖(いとう すけやす)さんの言葉

大勢の流れが変わり始めると一気に右の端から左の端に吹っ飛んでいくのが日本人の特性ではないかと思います。

とも合致しています。

それで、話がまた元に戻るのですが、
最近、個人の思考力というか読解力が試されている気がしているのです。

出された答えを無批判に受け入れたほうが楽なんですよね。
自分に都合の良い話だけに耳を貸したほうが楽なんですよ。

そのような中で、自分の舌が試されているわけです。

2019/03/05追記
権利者の許可なくインターネットに上げられたと知りながら漫画や写真、論文などをダウンロードすることを全面的に違法とする著作権法改正を進めようとしている文化庁が、
法改正を進めるために賛成意見を水増しして与党に報告し、海外での先行事例も恣意(しい)的に選んで都合のいいところだけ紹介している、というニュースが流れてきました。
https://www.asahi.com/articles/ASM3351BKM33UCVL007.html

与党に不正確な判断材料を提供した?これは国民に対しても同じことになるのでは?

先月(2019年2月)、タレントのフィフィさんが立憲民主党の蓮舫参院議員について、2004(平成16)年に「 児童虐待防止法改正に反対した」という誤った情報をツイートした問題がありました。
この発言の事実関係の確認をせずに取り上げた、日刊スポーツやスポーツ報知、朝日新聞が非難されたと記憶しています。
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/fifi-renho

ですが、
政府の統計が正確では無い現在、
文化庁が、与党自民党に正確ではない説明をする現在、
どこまで、さかのぼって、その正確性を確認するのか?という問題が今、出てきています。

個人が嘘をつくのと、有名人が嘘をつくのと、マスメディアが嘘をつくのと、官僚が嘘をつくのと、政府が嘘をつくのと、
同じ嘘でも、影響度も重要度も罪の大きさも違うのですけどね。

いやあ、嘘を見抜くのは難しい。自分の舌に自信が持てない。


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