「米中会談、非難応酬の大波乱」で思ったこと(後半有料)

冒頭発言まさかの1時間超 米中会談、非難応酬の大波乱:朝日新聞デジタル

 米バイデン政権が発足してから初めての米中外交トップの会談が18日、米アラスカ州アンカレジで始まった。新政権下での米中関係の行方を占う重要な会談は、初日の冒頭から双方が非難を繰り広げる大波乱のスタートとなった。
非難応酬、10分未満の冒頭発言が1時間超に

なんて書かれています。

混沌を嫌うタイプ6の日本人は、こういった圧をかけあう話し合いは苦手なものでしょうが海外ではこれが普通のようです。

これは、ロシア語通訳の米原万里さんの言葉が参考になります。

日本人は交渉ごとでも、なるべく対立をぼかそうとする姿勢が強いですね。ロシア人も含めてヨーロッパ人は、中国、韓国人もそうですが、問題点を鮮明にしようとしますから、対談は対決で、それは一種のゲームなのです。ところが日本人は、人間関係までも壊れるのではないかと慮って、対決を避けよう、対決点をぼかそうとする答え方になる。だんだんまどろっこしくなって、相手は「通訳が下手だから通じてないのではないか」と誤解して、さらに攻撃的になってくる。

『言葉を育てる 米原万里対談集』より


岡村 進さんはこう言います。

 私も、かつて日本企業のマネジメントとして、数多くの社員と面談していたときには、気配りの意義をとても大切に考えていた。威勢がよい血気盛んな後輩たちに、「大人になれよ」「人の気持ちに配慮しろよ」と迷わず助言したものだ。
 この気配りの文化を愛おしく思いながらも、実はその気配りが呪縛となって、変化の時代に変化できない日本を作り上げてしまっているのではないかと、今は思うに至っている。20年間勤めた日本企業を離れ、グローバル企業の日本法人に転職してから、自分の常識が世界の非常識であることを痛いほど思い知らされた。
 例えば外資の会議は、日本人、外国人を問わず、とにかく議論が激しいことに驚かされる。参加者がみな、言葉を選ばず、言いたいことをとことん言い、徹底的に議論しあうのがグローバル基準だ。よく言えば本音の対話だが、最初の頃は、ルールなき言葉の格闘技とすら感じた。
 耐えかねて、気配り発言などしたら、あいつはポリティカルだと批判されたときは心底参った。ポリティカルというのは、私自身が、もっとも嫌うスタンスだったからだ。だから正直、馴染めなかった。私は日本企業の米国法人で社長も勤めていたから、それなりに海外通だと自負していたのだが、日本企業の外国法人には、日本の気配り文化のスパイスがかかっていて、かなり日本に適応していたようだ。グローバル企業の現場は、思っていたよりもはるかに泥臭くてシビアだった。
 その激しいコミュニケーションの根底には、異なる価値観の人材が集まっている組織では、個々の思いを発散させないと澱みがでるという知恵があった。当時の私には、それが理解できていなかったのだと振り返る。

『「気配りの呪縛」がニッポンを滅ぼす(岡村 進 2014/7/23日 日経ビジネスオンライン)』より


浜松ホトニクスの晝馬輝夫(ひるま・てるお)さんは、その著書の中でこう書いています。

 議論を例にとっても西欧的な発想というのは、テーゼかアンチテーゼのぶつかりあいということで成り立っています。日本政府とアメリカ政府の交渉事を見ると、アメリカは、最初はともかく「日本はけしからん」と無謀な主張をしてきます。
 すると日本政府は大慌てで、「向こうはカンカンに怒っているから、すこしは譲歩するか」と、手土産を持って行く。アメリカ側にすれば当然、「ほら見ろ、日本人というのは言えば引っ込むじゃないか」となる。
 アメリカ人同士でこれをやれば、おたがいに「てやんでえ、バカやろう」とひどいことを言い合い最終的には、よりひどいことを言ったほうが勝ちとなるのが普通です。しかし、日本人というのはそういう性質ではありません。


こういうのを見ていると、日本人の好きな形のコミュニケーションは、
世界の中では、ガラパゴスなコミュニケーションと言わざるをえないようです。

日本人は、こういった混沌を嫌いますから、米中の言い争いを浮き足立って見ているのでしょうが、
別に気にしなくてもよい話です。気にしなくてもよいというよりは、“常(つね)”に意識しておく話です。
安定を欲し、安全を欲し、安心したいから、混沌を不安がりストレスを感じるのです。
この混沌を“常(つね)”としなくてはなりません。タイプ6には無理な話なのですが、それはガラパゴスなのです。世界の中では。
本当に今の世の中はタイプ6の日本には生きにくい時代です。

2021/03/23追記
ガラパゴスな日本の実情として「揉め事や言い争いや強い調子の言葉のやりとりに忌避感を抱く」最近の日本人について『今井絵理子「批判なき選挙」発言関連、今ごろになっての感想 』で取り上げています。


ここから先、中国とアメリカの非難応酬で少しだけ、つまらない感想があるので書きたいのですが、
今は有料で見えないようにします。

※ 『国民性の一部の話は有料で書きます

――― この先、有料です。 ―――

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