「始めてしまえば、こっちのもの」

漫画『スケジュール問題 | AOZUMI SORA | noto 』
を読んで思ったことを書いてみます。

最近似たような話を読んだな、と思ったら、日本企業のエストニアでの態度が似ているのでした。

『エストニアで「日本人お断り」のスタートアップが増えた理由』
では日本企業の時間を守らない態度が問題視されています。

(エストニアの)現地企業から「日本人は時間を守ると思っていた……」といった声を聞くことも多い。確かに日本人は会議の開始時間は守る。ところが終了時間となると、平気で30分、1時間と時間オーバーするケースが少なくないのだ。エストニア人は時間に厳密だ。当然のことだが、始まりの時間のみならず、終わりの時間も守ることもマナーである。


他にも、例えば、雑誌などでの、誰かへのインタビューも、
始まりの時間こそ守りはすれど、終わりの時間はナアナアで長引くことを気にしないインタビュアーを見掛けたりもします。相手が立場のある人だと次の予定もあるわけです。広報の人も「そろそろ」と言います。そんな状況が分っていて、なお、「最後に、もうひとつだけ」なんて質問をするわけです。
つまり、日本には、始まりこそ厳密さを要求するけども、後はあまり問題視をしない傾向があるということです。相手が許せばなおのこと、です。つまり、その場の雰囲気次第では流されても良しとする傾向があるようです。
『完璧主義』のタイプ1のように、自分で自分を律することは無いということです。

これは時間だけではなく、お金でもそういう傾向があるように思えます。
例えば、今現在 進行中で2020年のオリンピックの経費がどんどんと膨れ上がっていますよね。誘致時 想定予算の7,000億円が、いつの間にか3兆円越えです。さらに増える可能性すらあります。でも日本人は怒らない。自分に害が出れば怒るのでしょうけども、自分に害が出ない限り、基本的にそれを問題視しない。

日本はエニアグラムのタイプ6の国です。
安心・安全・安定が好きで、その反対の未知が嫌いなタイプ6日本では、
始まりの時間に人が居ない状態は、不安定で未知であるので、嫌います。なので、始まりの時間は厳守が求められます。でも、始まってしまえば、既知なので、後は気にしない傾向が、どうやらあるようです。
何かの事業も、始まるまでは心配で心配で気にします。未知や混沌が嫌いで、決断ができないタイプ6日本人は、始めるまでが大変です。でも始まってしまえば、既知になるので、その後に何かまた決断が必要になっても、日本人は決断嫌いなので、対応ができず、問題が脹れ上がることになります。

始まったものを急に止められない雰囲気が日本にはあります。
既知になったものを急に止められない雰囲気が日本にはあります。

これ、法律の拡大解釈がまかり通る下地でもあります。始めは「そのような運用はいたしません」と言って法律を作っておいて、後で、しないはずだった運用をするようになる。「小さく始めて大きく育てる」、よく聞く話です。

「始めてしまえば、こっちのもの」なのです。

始めに挙げた漫画の中では被害者が漫画家さんとなっていますが、
これ、つねに被害者が仕事を受ける側、とも限らない話です。

コラムニストの小田嶋隆さんが対談の中で、コラムニストの心得として、
「原稿(たぶん、連載ものの原稿を指している)は落としてもいいが、新しい仕事の依頼を断っては絶対にダメ」
のようなことを言っていて(少し格言めいている)、
同業者の対談相手(誰だか思い出せない、名前は良く聞く人でした)も、
「そうですね」
と、同意し、
それを聞いていた、原稿を落とされては困る編集者の人が、
「ちょっと・・・」
と言っている場面があって、
ここでは、被害者が編集者さんになっています。

漫画だって連載が続けば続くほど、掲載が滞っても、止められませんよね。

この場合も、「始めてしまえば、こっちのもの」なのです。

どうやら、日本には、そういった傾向があるようです。


日本は継続に安定性を見出し、それを尊びます。

一度就職した会社を三日で辞めた人は信用されません。
再度、就職した会社をまた四日で辞めた人はもっと信用されません。
正当な理由があろうとも、疑いの目を向けられます。
正当な理由と認められない場合は、さらに厳しい目を向けられます。なぜなら日本では継続こを正義だからです。


たぶん、一番始めに引用した漫画家 AOZUMI SORA さんも、正当な理由だから、仕事を断ってもいいのです。
相手が約束を守っていないのですから。
でも、そういうことが二度三度と続けば、それがどんなに正当な理由であろうとも、日本では信用を失うわけです。


日本は継続を尊びます。

だから、それを悪用すれば、「始めてしまえば、こっちのもの」となるわけです。


次回は、継続を尊ぶ日本と比べる意味で、タイプ3アメリカの話を書こうかと思います。

2019/06/15追記
でも「始めてしまえば、こっちのもの」を見逃していると、
最悪な起こりうる結果としては、『茶色な朝』を迎えることになるんですよね。

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