タイプ5の採算度外視

 ある会社で、職場の機械が壊れました。
 それでタイプ5のAさんと、タイプ3のBさんが、代用品を持ってきて、これで、なんとかしようとしました。

 タイプ5は『考える人』とも言われる性格タイプ、タイプ3は『達成者』とも言われる性格タイプです。

 それで、代用品なのですが、品物からマニュアルから全て英語で、しかも、そのとき、なぜか、うまく動かなかったのです。
 タイプ3のBさんは、始めのうちは、ネットで調べたりして、動かす気が満々だったのですが、それでも代用品はなかなかうまく動きません。Bさんは、そのうち、年上のAさんに「もう止めましょうよ」「日本語のものを買ってきましょうよ」と言い始めました。『達成者』のBさんから見ると、達成の見込みが無いものは早く止めちゃいたくて、ちょっとお金を出せば、日本語の製品が買えるのに、これ以上頑張る必要なんてどこにもなくて、だから、もうサッサと切り上げたいわけなのです。

 でも、Bさんより年上のAさんは、「いやまだ」「もう少しやってみる」と、その提案をはねのけて、問題にのめり込んでいきました。
 こういったAさんの行為を、「タイプ5の採算度外視」と言います。
 「やれ」と誰にも言われていないのに・・・、場合によっては「もうするな」と言われても、やってしまう。そんな状態になることがタイプ5にはあります。

 一人で問題と格闘するAさんを見ていた職場のC君がAさんにこう尋ねました。「難しいんですか?」と。

 このときに、C君はAさんに訊いているのに、D君が割って入ってきました。D君もAさんと同じタイプ5です。技術も無く、分からなくて見ているだけなのに、D君は、さも自分が聞かれたかのようにこう言います。「いやねー、こういったものは、大抵、たったひとつのことに引っかかって止まっているだけだから、そこさえクリアできれば、後は上手くいくもんなんだけどねー」
 それを聞いて、タイプ5のAさんは、「そう!そう!そう!」と返します。
 エニアグラムを知らなくとも、タイプ5同士では、意見は一致するようです。しかも話に割り込まれても、自分と同じ見解なら怒らないところにも性格タイプが出ていたりします。

 しばらく問題と一人で格闘していたAさんは、とうとう問題を解決し、機械を動かしました。


 タイプ5は、採算度外視モードになることがあります。
 給料とか、時給とか、そういったお金に換算すると割の合わないことをやり始めたり、
求められていないこと、役割では無いことをやり始めたり、
そういった、他人から見るとやる必要の無いことをやり始めることがあります。

 今回の例で言えば、新しい製品を買っても誰も文句を言わない中で、Aさんは、問題にのめり込みました。ただ、タイプ5は、こういった行為の蓄積で能力を磨いたりもします。

 こういった行為は、「就業時間の20%を自由に使っていい」という会社だったら問題が無いのでしょうけども、日本では理解を得るのがむつかしいところがあります。周りの理解が無いと、少しこじれたりします。

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