日本の「ROM専」病と「信用できない」病

他人を信用できない「ROM専」日本人のせいで経済が伸びない?
という見方を加谷珪一さんというかたがしています。

エニアグラムのタイプ6日本人という観点からも一致しているので、この話をとりあげて見たいと思います。

ところで、私がタイプ6を紹介する場合、たいてい『忠実な人(ドン・リチャード・リソ)』『慎重な人(レニー・バロン&エリザベス・ウエイゲル)』という呼び名で紹介しています。
ですが、タイプ6は、『疑念者(ヘレン・パーマー)』と言われる性格タイプでもあったりします。

今回はほんの少しばかり『疑念者』の面が出た話となります。
「他人を信用できない」とは、この『疑念者』の動きが出ているからです。

文章を紹介する前に、
タイプ6の性格説明を簡単にしておきます。
タイプ6は、安心・安全・安定がとても重要な性格タイプです。
そのため、タイプ6は、安心・安全・安定からはみ出すことを怖れ、自ら判断することを避けます。大抵、判断を行なう場合は、権威や定番、テッパン、前例、それでも分からない場合は、周りを見て基準を決めます。

それでは文章を引用しながら解説していきたいと思います。

日本人はリアルな世界でも他人を信用しない傾向が強く、ネットの利用形態もこうした状況を反映した形になっている。見知らぬ他人を「信用」する能力は、資本主義の原動力の一つだが、この部分において日本社会には改善の余地がありそうだ。

安心・安全・安定が好きなタイプ6日本人が「見知らぬ他人」を「信用」するなんてありえないじゃないですか。
また、タイプ6日本人であれば「見知らぬ意見」を「信用」することもありえません。

タイプ6が「見知らぬ○○」に安心・安全・安定を見いだせず、「疑い」「信用しない」となるのは、当然の話です。

例外的にそれらが安心・安全・安定を提供してくれそうなら、無批判・無思考に依存していく場合があります。

総務省が公表した2018年版情報通信白書(略)によると、日本人のソーシャルメディアの利用方法は極端に閲覧するだけの「ROM専」に偏っており
(略)
日本の場合、発信する人が少数ということに加え、ネット上の情報の多くが、すでに存在している情報のコピーであるケースも多く、同じ情報が拡散されることでさらに偏りが生じている可能性が否定できない。
「みんなの意見は正しい」という(集合知の)命題が成立するためには、①意見の多様性、②意見の独立性、③意見の分散性、④意見の集約性、という4条件を満たしている必要がある。つまり、多様な価値観を持った人が集まり、皆が他人に左右されず、独自の情報源を使って自分の考えを表明した結果を集約すれば、必然的に正しい答えが得られるという理屈である。
その点からすると、発信者の数が少なく、情報に偏りがあるという状況では、その信頼性が低下してしまうことになる。

タイプ6は、安心・安全・安定の外に自ら出ることを嫌います。つまり、判断を嫌い、自分の意見を言いたがりません。言うすればどこかの誰かが言ったコピーです。そこにオリジナリティーはありません。
また、タイプ6は一択主義ですから「意見の多様性」や「意見の分散性」は嫌います。受け入れることもありません。

noteには個人で情報発信しているかたも多いので、異論は出るかと思います。
確かに個々人では違うかも知れません。ですが、傾向(調査結果を元にしたパーセント表示)としての日本社会ではこのような結果になってしまう、ということです。
情報発信の率は、とても低いです。詳しくは本文をご覧ください。

これを読むと、結果としてタイプ6社会では、集合知が役立たなくなることになるようです。

日本人のソーシャルメディアの利用方法は極端に閲覧するだけの「ROM専」に偏っており、自ら情報を発信している人は少ない。

日本人は「ROM専」とは新しい表現が増えました。
今までも、
「Not Action Talk Only :話すだけで行動をおこさない」な「NATO」、
「Look Listen Learn Leave :見て、聞いて、学んで、(そして)去って」な「4L」がありましたが、
これらは、「ROM専」ということだったんですね。
仮想世界においても、行動を起こさない日本人であれば、現実世界においても言うに及ばずな訳です。

引用の文章は、「信用」の話もしています。

ネットかリアルかは区別せず「ほとんどの人は信用できる」と回答した日本人はわずか33.7%しかおらず、その割合は各国の半分しかない。つまり日本人は基本的に他人を信用しておらず、ネット空間ではその傾向がさらに顕著になっているに過ぎない。
米国は契約社会といわれるが、それは一部のカルチャーを極端に取り上げたものにすぎない。米国では意外と信用ベースで話が進むことが多く、後で金銭的に揉める割合も低い。中国に至っては、一旦、信頼関係ができると、ここまで信用してよいのだろうかというくらいまで、相手から信用してもらえることすらある。
もしかすると日本人や日本社会がグローバル化できないのは、英語などの問題ではなく、他人を信用できないという性格が大きく影響している可能性がある。

なぜって、ここまで書いた通り、日本人は『疑念者』ですから。
簡単に人を信用しませんし、また、簡単に人の話も信用しません。

その人が安心・安全・安定か、はたまた、その話が安心・安全・安定か、
簡単に分かるわけ無いではありませんか。
ですから、タイプ6は『疑念者』になります。

タイプ6日本社会は、この「疑念」を払拭するために、「地位」「肩書き」「実績」などを頼りにする傾向があります。

実は経済活動において、相手を信用できないことによって生じるコストは膨大な金額になる。
血のにじむようなコスト削減努力を行っても、あまり儲かった実感が得られないことの背景には、こうした見えないコストが関係している可能性があるのだ。

日本の病気に、
「ROM専」病と、「信用できない」病が加わったようです。

日本の性格タイプから来ている病気なので、これらは簡単には治らないでしょう。


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ここから先は蛇足です。
単なる疑問をつぶやきます。

・「ROM専」で言えば、経営者がネットで発信している企業と、そうで無い企業で差が出るということになるのですが・・・、どうなのでしょうか?

・企業の社員、または役職ある人が実名で情報発信することの意味。

・というか、情報発信をしている人材を企業は受け入れるのか?

・朝日新聞の社員が実名で165人が運用しているのはすごいことでは?他の新聞社はどうなのだろう?

・しかも朝日新聞の社員はツイッターで自社批判しました。安心・安全・安定が崩れることを嫌がる日本社会では異例なことです。こういったことができることと経営状態や変化への対応との関係。

2018/11/02追記
「朝日新聞の社員」の動きに関して、ネットで取り上げられていました。

より

ジャーナリスト池上彰氏のコラム掲載を、朝日新聞が一度は見送り、その後に掲載してお詫びした問題は、ネットでも大きな話題となった。新聞社が一度決めた方針を数日後に変更するのは異例だが、その背景には「記者の実名ツイート」があったという指摘がある。
今回の騒動で(略)会社批判のツイートをした人は少なくとも32人いたという。これにはネットで勇気をたたえる声がある一方で、サラリーマンが採る方法としてふさわしくないという人もある。

「サラリーマンが採る方法としてふさわしくない」というのは、組織の安心・安全・安定が第一のタイプ6日本人らしい意見ですね。


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