ネットの炎上から思っていること

自分の安心・安全・安定が確保された状態で、心置きなく叩いている人と、
自分の安心・安全・安定を守るために、叩いている人がいるように思います。

後者はさらに分かれていて、
海外の危険地帯に行った人を責めたりするのは、その事件がもたらす安心・安全・安定が損なわれた混沌を見るのを嫌がっているのでしょうし、
昔、北朝鮮拉致被害者を否定的に言っていたのは、その人たちが行動を起こすほどに、政治や交渉が不安定になるのを嫌がっていたからでしょう。
森発言などで炎上したのは、海外が騒ぎ始めて混沌が起きたので、その海外からの非難という混沌から逃れるために自分は違うのだとばかり炎上が起きたのだと見ています。

毎回書いていますが、日本はエニアグラムのタイプ6の国です。
タイプ6は、安心・安全・安定を欲しがり、それが崩れた状態の混沌を嫌がります。


炎上騒ぎを見ていて、いつも思うのは、
「なぜ、今だにウナギが売られていて、それを皆が許しているのか?」
「将棋の棋士が対局のときの昼食に絶滅危惧種のウナギを食べても、なぜ炎上しないのか?」
です。

炎上が正義・論理から来るのであれば当然ウナギも炎上しているはずです。

ウナギ消費問題を「将棋関係者(記者・ファン含む)の論理感の欠如」で話をまとめようにも、外食チェーンやスーパーでもウナギが売られているのを見ると、これは日本人全体の問題だということが分かります。

養殖のため捕られる(ニホンウナギの稚魚である)シラスウナギの量は、1966年以前は100トン以上だったものが、2019年は3.7トンまで減っています。
日本はここでも「止められない病」にかかっています。
ここまで減れば、ロックダウンでしょう普通(lockdownは都市封鎖と訳されていますし、元々の意味にしても、受刑者が所内で騒ぎを起こしたときに監房に閉じ込められる際の刑務所用語だったそうなので、意味を間違えて使っていますが、言いたいことは伝わっていると思います)。現状を回復するまで。絶滅危惧種なのですし。
もしくは別の食材に切り替えでしょう。
完全養殖品に切り替えでも良いです。現在だと、数万尾の仔魚(しぎょ)を孵化させて、なんとか成長できた数十匹からゼロ匹の超高額なシラスウナギを元に、さらに成長させてウナギになったものが(採卵用のウナギを確保しつつ)市場に出るわけです。毎年これだけの数です。これで絶滅危惧種でも食べることができます。将棋の棋士なら、そんな超高級料理も食べられるかも知れません。

ところが現状は「違法或いは不適切なかたちで採捕されたウナギ稚魚は全体の7割を占める」形になってまで消費が行われている始末です。

なのに炎上しない。
「うなぎ売ってます」「うなぎ好きです」「うなぎ食べました」が炎上しない。
まったく炎上しない。
結局、頭の切り替えができていないのは、老世代だけではなく私たちもなのです。

いつかは炎上するとは思っています。
ただ、現状を見ると「論理で動いているのでも無さそうだ」「ウナギにおける日本人の論理・道徳ってなんだろう?」と思ってしまいます。

たぶん、ウナギが炎上しないのは、それが、日本人の嫌う、安心・安全・安定が崩れた状態に直結してないからです。
ですが、もしも海外から日本人のウナギ消費への大バッシングの波が来れば、その混沌から自分を切り離して守るべく、日本でもウナギ消費に対する炎上が起こると予想しています。

それまで自力では「止められない」「変えられない」。

「止められない病」「変えられない病」はそこまで深刻であるということです。この病気を日本人は無意識にせよ受け入れているわけです。炎上が及ばないほどに。

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