キャッシュレス手数料は消費者が払ってもいい

新聞に『キャッシュレス手数料 メリット享受の側が負担を』といった意見が掲載されていました。
書いた人は、株式会社「旅籠屋」代表取締役 甲斐真(かい・まこと)氏

 オース卜ラリアに滞在中、クレジットカードで買い物をしようとしたら、手数料の負担を求められた。現金なら表示通り100ドルだが、カード払いなら数%高くなる、というわけだ。初めての経験だったので驚き戸惑ったが、調べてみると、一部の国や地域で、クレジットカード利用客にサーチャージ(手数料)を取ることが認められているようだ。
 考えてみれば、ごく自然で理にかなったシステムではないだろうか。
 カードを使えば、利用者には現金を持ち歩かなくてよい、引き落としが先になるのでやりくりできる、ポイン卜がたまる、などのメリッ卜がある。だから、手数料の上乗せを求められる根拠がある。もし、手数料がイヤだと思うならば、現金払いを選べばよいだけのことだ。
 ところが、日本では利用者の多くが、現金払いと力ード払いの値段が同じなのはごく当然だ、と思っている。手数料は通常、店舗が負担しているから、利用者はその存在さえ知らないことが多く、同じ料金であることを不思議に思わないのだ。
(略)日本は治安が良く、偽札も極めて少ないため、店舗側の利点は少ないし、現金化が遅れるデメリットも無視できない。「価格」は「価値」に対応するという原則をあいまいにすべきではない。
 今、世の中は政府の方針もあって「キャッシュレス化推進」の声で満ちている。外国に比べて遅れているとか、海外から訪れる客の増加を妨げているのでは、という点が強調されている。ますます手数料への疑問は置き去りにされ、「現金のみ」派には厳しい環境になってきそうだ。そこで力ード会社に、利用者が手数料を自己負担することを選べるカードの新設を提案したが、「そんなの無理ですよ」と一蹴されてしまった。
 私は、力ード利用の手数料に払うお金があるなら、施設の改善やサービスの充実に充てるほうがいいと思っている。キャッシュレス化時代、道理のわかる賢い消費者に鍛えられながら成長したいと願う企業は、流れに取り残されていくのだろうか。

カード払いのメリットを言う人がいますが、「そのメリット分は本人が払うべき」という話でスジは通っていると思います。

こういった議論は、もっと、日本で起きても良いと思っています。

ところが日本はこういった議論が苦手です。
何度も引用している話ですが、
『DeNA・パットンが見る日本の野球文化 「これが日本のスタイルと言い聞かせよう」 | ベースボールチャンネル(BaseBall Channel)』から引用すると、
https://www.baseballchannel.jp/npb/32041/

(略)アメリカでは奨励されている「なぜ」と聞く文化を、日本で行うと、敵対的に見られ、さらに、説明を受けても聞く前よりさらに困惑することになると述べられている。
「(略)大抵、『なぜ』と聞くと、『これが日本のスタイル』という答えが返ってくるだろう」と文化の違いについてパットンは語る。
 「これは、彼らが質問に完全に答える理由を持っていないことさえも意味する。私は、日本で行われる大抵のことは、歴史や伝統への尊敬から、常にそのようにされてきたから行われていると結論付けた」

別に、「歴史や伝統への尊敬から」という訳でも無く、
キャッシュレス化も議論をしようと「手数料への疑問」を口にして「なぜ」と聞こうとすると、

パットン氏が野球でされたことと同じように、
「これが世界の流れ」とか、「政府の方針」とか、自らの判断の無い、何かに依存するような答えが返ってくることでしょう。

この「旅籠屋」代表取締役 甲斐真(かい・まこと)氏は、力ード利用の手数料を払わない、払いたくない、とうい立場です。
手数料をこちらが払うくらいなら、そのお金を施設の改善やサービスの充実に充てるという立場です。そういう戦略のかたです。だから、利用者が手数料を自己負担することを選べるカードの新設を提案しています。

全体でワーっと思考停止で右へ習えで流れていくのではなくて、こういった意見を拾える社会にならないかな、と、そう思う今日この頃です。

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