万難を排して憂いましょうよ

先憂後楽を絡めて「タイの日本企業の話」の感想を書きます。


突然ですが、私の基本姿勢は先憂後楽です。

日本も日本企業も(もう少し)先憂後楽であったほうが良いと思っています。

ですが、日本はエニアグラムのタイプ6の国。
憂うことには抵抗を示す国民性です。

それはなぜかと言うと、
タイプ6は、安心・安全・安定がとても大事な性格タイプだからです。
「憂うこと」は、安心・安全・安定から外れた場合の可能性を考えることです。
なので、タイプ6にとってはストレスになり、憂うことを避けることになります。

さて、ここまで書いてやっと、ここからが本題です。

今日のネット記事で、タイの日本企業での薬物検査の話が載っていました。

背中を拭くだけ。従業員の薬物使用が即・判明!
日本駐車場開発がタイで始めた画期的サービス
(2018/02/16 三田村 蕗子 日経ビジネスオンライン)


記事によると、
タイは実は、不正薬物大国であるそうで、
2016年に押収された不正薬物は約86トン(日本は約1.6トン)。
人口が日本の約半分だということを考慮すると、(日本の百倍ということになり)かなり薬物が蔓延しているようです。

そんなタイで効率の良い「不正薬物検査サービス」を行なっている会社を記事の中では紹介しています。

その記事の最後のほうでは、こんなことが書かれていました。

これだけメリットがある検査なのだから、不正薬物が蔓延しているタイでは引く手あまたに違いない。(略)依頼は殺到しているのではないかと尋ねると、検査に及び腰の企業はまだ多いという。
「いま実施したらクロ判定の従業員がたくさん出そうだし、そうなると人手不足になって生産に影響が出るから検査はやりたくない、という会社もありました。驚きの経営感覚ですよね (笑)」
「やらない」理由は、「予算がない」「人が足りない」「尿検査でじゅうぶん」。「うちに限ってありえない」と、我が子の不始末を信じたくない親のような弁もある。
問題を表面化して波風を立てたくない、「寝た子を起こすな」的スタンスもよくあるパターンだ。タイに赴任する日本人駐在員の任期はおおよそ3年~5年。自分の任期中はできるだけ穏便に済ませたい、もし不正薬物の使用者がいるとしても、発覚するのは後任の人が来てからでいい。自分のときは勘弁してという無責任な発想だ。
「興味深いことなんですが、企業の業績と不正薬物使用者の数とは相関関係にあるケースが多いんですよ」
「会社の従業員というのは家族といっしょ。愛情があれば社員ファーストで考えられるはずですよ。(略)でも、残念ながら社員への愛が少なく、自分で責任を取る判断ができない 『なんちゃって社長』がいるんですよね……」

日本の国民性であるタイプ6の性格は、安心・安全・安定がとても大事です。
ですから、安心・安全・安定から外れた状態の「混沌」や「未知」を嫌います。
「混沌」や「未知」の可能性も嫌います(そんな可能性なぞ考えたくも無い、特に悪い可能性は無視したい)。

また、追い詰められたタイプ6は、「自分だけの」安心・安全・安定を求め始めます。
それで、「事なかれ主義」「寝た子を起こすな」という態度になってしまいます。

そして、タイプ6は「判断」も嫌いです。
なぜなら、判断は自ら安心・安全・安定の外に出る行為だからです。
ですからタイプ6の基本は「前例踏襲」です。また、既存のルールに頼ったり、他人に合わせたりして、自らの判断を避ける傾向があります。

この記事からは、そのようなタイプ6文化な反応をしている日本企業がある程度いることが分かります。

一方で、

「検査結果が良い会社は業績は上り調子。見事なまでにリンクしています。一事が万事という言葉があるように、不正薬物使用者の撲滅活動は社員の健康管理の一環。ガバナンスそのものなんですよ」

という言葉の通り、積極的に、憂い、対応できている日本企業もいるようです。

今まで私は、タイプ6文化に侵された日本企業の悪い話を多く書いてきました。
ですが、今回の記事を読んでいて、

「もしかすると、日本企業の中で二極化が始まっていて、タイプ6文化を乗り越え出している日本企業も出始めているのかも知れない」
という感想を持ちました。

「不正薬物使用者の撲滅活動」のような、先憂すべきことを先憂することにより、後楽している日本企業もあるようです。
そして、そういう企業は結果も出ているようです。
そこのところは嬉しいかぎりです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?